文部科学省が実施した令和5年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査によると、2023年12月時点で大学・短期大学・高等専門学校および専修学校卒業予定者の内定率は、86.0%とされています。
周りの人たちが続々と内定を勝ち取る一方で、自分だけが未だに内定をもらえていないと非常に焦るでしょう。
しかし、まだ内定を獲得できていなくても遅くありません。
本記事では、内定が出ない人の特徴を踏まえて、内定を勝ち取るためのポイントを紹介します。
現在も就職活動を続けている方は参考にしてください。
この記事を読んで、内定を勝ち取るための秘訣を身につけ、就職活動を成功させましょう。
そもそも内定とは
内定とは、企業と内定者が将来の入社について合意することです。
両者が入社に向けて準備する期間を設けるために内定制度が導入されました。
内定によって入社する人と時期が確定するため、企業は人材配置や手続きを計画的に進められ、内定者は就職活動を終え、生活面の準備が整えられます。
内定は「始期付解約権留保付労働契約」とされ、合理的な理由がなければ一方的に取り消すことはできません。
内定と内々定の違い
内々定とは、企業が採用候補者に対して内定前に採用の意思を通知することです。
内定と内々定の主な違いは、労働契約が成立しているかどうかです。
内定は、労働契約が成立しており、法的拘束力があります。
しかし、内々定は労働契約が成立していないため、法的拘束力がありません。
したがって、内々定は企業や学生が自由に取り消せます。
一方、内定を承諾した場合、内定者には法的拘束力が生じますが、労働者側からは2週間前に申し出れば解約できます。
内定と採用の違い
採用とは、企業の採用選考をすべて通過することです。
採用と内定の違いは、雇用契約の成立にあります。
採用は、求職者が選考プロセスを通過し、企業が採用基準を満たしていると判断した状態を指します。
しかし、採用段階ではまだ雇用契約は結ばれていません。
採用はあくまで企業側が一方的に採用を決定しただけの段階で、求職者の入社意思は確認されていません。
一方、内定は企業が求職者に選考合格を通知し、求職者も入社意思を示した状態です。
内定時点で雇用の合意が成立し、労働契約が成立したとみなされます。
内定を出すと、法的拘束力が生じ、企業が一方的に内定を取り消すと不当解雇と見なされる可能性があります。
内定の現状
就職みらい研究所によると、2024年3月1日時点で2025年卒の大学生のうち、12.1%が既に2社以上の内定を保有しています。
卒業年度 | 割合(%) | 企業数(社) | |||||||
0社 | 1社 | 2社 | 3社 | 4社 | 5社 | 6社以上 | 2社以上の合計 | 平均 | |
2025 | 1.5 | 86.3 | 8.3 | 3.0 | 0.6 | 0.2 | – | 12.1 | 1.16 |
2024 | 0.8 | 88.0 | 8.2 | 1.9 | 0.6 | 0.3 | 0.1 | 11.2 | 1.15 |
2023 | 1.3 | 85.1 | 10.5 | 2.0 | 0.1 | 0.6 | 0.4 | 13.6 | 1.22 |
第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)によると大卒の求人倍率が1.75倍と、近年は売り手市場の傾向があり、約半数の内々定保有者が第一志望への入社を予定するような結果となっています。
卒業年度 | 入社予定企業が第一志望(%) | 入社予定企業が第二志望(%) | 入社予定企業が第三志望(%) | それ以外 |
2024 | 48.7 | 20.2 | 8.0 | 23.1 |
2023 | 48.1 | 22.8 | 7.9 | 21.2 |
2022 | 46.1 | 21.7 | 8.5 | 23.7 |
一方で、従業員が5,000人以上在籍している企業の大卒求人倍率は0.34倍と大企業は買い手市場となっているため、中小企業やベンチャー企業と比較しても内定の取得が困難となっています。
内定が出ない人の特徴【7つ】
内定取得時期や取得数には、個人差があります。
似たようなバックグラウンドやスキルを持っていても、行動やマインドによっては、就職活動の進捗に差が出てしまいます。
なぜ、人によって内定率が変わるのでしょうか。
ここからは、内定が出ない人の特徴を7個紹介します。
やりたいことが不明確
内定が出ない方は、将来のビジョンが明確化されていない状態で就職活動へ臨む傾向があります。
選考では、応募者が企業とマッチしているか把握するために、入社後のビジョンを質問する場合があります。
内定が出ない方は、具体的な目標や自己理解が不足している傾向があるため、企業側に自分の強みや適性を効果的に伝えられません。
その結果、面接での印象が弱くなり、内定獲得が難しくなります。
企業・業界研究が不十分
内定が出ない方は、企業・業界研究が不十分な状態で就職活動へ臨む傾向があります。
企業の求めるスキルや価値観を理解せずに応募すると、面接での質問に的確に答えられなかったり、自己PRが企業のニーズと一致しなかったりするでしょう。
その結果、企業に対する熱意や適性が伝わらず、内定を得るのが難しくなります。
就職活動の軸が定まっていない
内定が出ない方は、就活の軸が定まっていない状態で就職活動へ臨む傾向があります。
就活の軸がブレていると、自分が何を重視し、どのような職場環境や業務内容を求めているのかが明確になりません。
そのため、応募企業や業界が一貫せず、面接での説得力が欠けてしまいます。
その結果、企業側に真剣さや適性が伝わらず、内定獲得が難しくなります。
エントリー数が少ない
就職活動へのモチベーションが高まらず、エントリー数が少なくなることも内定が出ない原因のひとつです。
応募先を限定しすぎると、自分に合った企業と出会う機会が減少し、内定獲得の確率が低くなります。
また、少ないエントリーでは面接経験が積めず、自己PRや志望動機のブラッシュアップが進みません。
そのため、面接でのパフォーマンスが向上しにくく、内定を得るのが難しくなります。
将来のビジョンや就活の軸の明確化、企業・業界研究を入念にしすぎても外せない条件が多くなりすぎて、エントリーしたいと思う企業が限定されることもあります。
応募書類を複数企業で使い回している
内定が出ない方は、応募書類を使い回していることがあります。
企業ごとの求めるスキルや価値観に合わせた内容にせず、一律の書類を提出すると、企業側に対する熱意や適性が伝わりません。
その結果、面接に進む機会が減少し、内定獲得が難しくなります。
面接での印象が悪い
内定が出ない原因として、面接時の態度や受け答えが悪いことが考えられます。
不適切な態度や不十分な準備、自己表現の不足などが原因で、面接官に対して自分の魅力や適性を十分に伝えられません。
その結果、他の候補者に比べて評価が低くなり、内定を獲得するのが難しくなります。
落ちた選考の振り返りが不十分
内定が出ない原因として、選考についてうまく振り返られていないことが考えられます。
不合格の原因を分析せずに同じアプローチを繰り返すため、改善が見られず、次の選考でも同様にミスしてしまいます。
これにより、面接官に対する印象が向上せず、内定を獲得するのが難しくなります。
内定を勝ち取るためのポイント【7つ】
ここからは、内定を勝ち取るためのポイントを7つ紹介します。
まだ内定を取得していない方や志望度合いの高い選考が控えている方は、参考にしてみてください。
焦らず自分を信じて、次のチャンスに向けて準備を続けていきましょう。
自己分析をやり直す
ほとんどの方が就職活動を始める前に自己分析しているでしょう。
しかし、就職活動をはじめてからさまざまな企業や業種の存在を知ることで、自身の価値観が変わることがあります。
内定が出ない場合は、再び自己分析を実施すると、ESの作成や面接の受け答えがスムーズになるため、選考の通過率が高まります。
自己分析を実施する際は、以下のようなフレームワークを利用してみてください。
- 自分史:自分の人生を年表形式でまとめるフレームワーク
- モチベーショングラフ:モチベーションを基準に過去を振り返るフレームワーク
- ジョハリの窓:自分の特性を「開放」、「盲点」、「秘密」、「未知」の要素に分類するフレームワーク
- マインドマップ:自分のマインドを「放射状」、「右型」、「ツリー型」、「組織図型」のような図式でまとめるフレームワーク
- ストレングスファインダー:177個の質問から自分の強みを見極めるフレームワーク
就職活動の軸を考え直す
自分のポテンシャルや適性を把握したら、就職活動の軸を考え直しましょう。
就職活動の軸を明確にし、キャリアビジョンを見つめ直すことで、自分の適性にマッチした企業と出会う確率が高まります。
就職活動の軸を定めるためには、複数の企業を比較しなければなりません。
インターネットやSNSなどで情報収集するだけでなく、合同説明会などにも参加してみてください。
企業・業界分析をやり直す
就職活動の軸が定まったら、再度エントリーする業界や企業属性を絞りましょう。
企業や業界分析をやり直すことで、面接の受け答えがスムーズになります。
企業のHPや就職サイトの情報だけでなく、OB・OG訪問などで実際に働いている社員のリアルな声を取り入れることで、他の応募者と差別化できます。
エントリーする企業を見直す
業界や企業属性が定まったら、エントリーする企業を見直しましょう。
エントリーする企業を絞りすぎると内定数が増えにくくなりますが、エントリーする企業を増やしすぎると選考準備が不十分になるため、選考通過率が下がってしまいます。
キャリアセンターや就職エージェントなどと話し合いながらエントリーする企業を決めましょう。
応募書類を見直す
エントリーする企業が決まったら、応募書類を作成します。
エントリーシートを書く際には、企業が求める人材像に合わせて志望動機や自己PRを具体的に記述し、自分の強みや経験をアピールしてください。
また、結論を先に述べる「結論ファースト」を心がけ、記入欄の8割以上を埋めるようにしましょう。
面接練習を繰り返す
書類選考の通過率が高まったら、面接対策を講じなければなりません。
面接練習することで、自分の印象を客観視し、視線や座り方、表情、話し方などを改善できます。
面接の流れやよくある質問への回答を事前に準備しておくことで、本番で落ち着いて臨めます。
回答は、要点を覚えるようにし、丸暗記は避けましょう。
さらに、イメージトレーニングを取り入れ、緊張をほぐす方法も決めておきましょう。
一旦就職活動から離れてみる
内定が取れていないと、ストレスを感じすぎてしまい、精神的・身体的負荷がかかりすぎてしまいます。
就職活動で悩んだ場合は、一旦就職活動から離れてみましょう。
気分をリフレッシュすることで、自身の行動を冷静に客観視できます。
就職活動の悩みは一人で抱え込まない
就職活動の不安やプレッシャーを一人で抱え込んでいると、ストレスが溜まり、視野が狭まるため、正常な判断ができなくなります。
そんな時には、第三者への相談がおすすめです。
ここからは、就職活動の主な相談先をメリットとデメリットで紹介していきます。
大学のキャリアセンター
就職エージェント
内定が獲得できなかった場合の進路【5つ】
一生懸命就職活動しても卒業までに内定が獲得できない可能性もあります。
しかし、それは決して終わりではなく、新たなチャンスの始まりです。
ここからは、卒業までに内定が獲得できなかった場合に考えられる進路を5つ紹介します。
就活浪人
就職浪人とは、大学を卒業後に就職せず、翌年度に再度就職活動することです。
もう一年就職活動に専念することも一つの選択肢です。
この期間を利用して、自分のスキルや経験をさらに磨き、自己分析を深めることができます。
次のチャンスに向けて、より万全な準備を整えましょう。
非正規社員
非正規社員とは、正規社員とは異なる雇用形態で働く労働者のことです。
非正規社員には、契約社員、パートタイム、派遣社員などがあります。
派遣社員や契約社員として働き始めることで、実務経験を積むことができます。
非正規の立場からスタートすることで、正社員への道が開けることもあります。
業界の知識やスキルを高める良い機会です。
アルバイト
内定が獲得できなかった場合、就職先が決まるまでアルバイトとして働くこともできます。
アルバイトは、短時間の労働を提供する一時的な雇用形態です。
興味のある分野でアルバイトをしながら、次のステップに向けて準備を進めることもできます。
アルバイトの柔軟性を活かして、自己啓発や資格取得に取り組む時間を確保することができます。
フリーランス
フリーランスとは、個人で仕事を請け負い業務委託契約で働く形態です。
自由度が高く、自分のペースで仕事ができる点が魅力です。
しかし、労働基準法の保護がなく、自分で税金や保険を手続きしなければなりません。
また、新卒のフリーランスは、スキルや実績が不足していることが多く、自己学習や経理の自己管理が求められます。
起業
起業とは、自ら事業を始めることです。
日本では就職が主流ですが、最近では最低資本金の撤廃などで起業のハードルが低くなり、若者の間で注目されています。
多くの場合、経験を積んでからの起業が推奨されますが、その過程で得られる知識やスキルは貴重です。
また、起業はリスクが伴うため、十分な準備と冷静な判断が求められます。
しかし、そのリスクを乗り越えた先には、大きな達成感と充実感が待っています。
ーまとめー
内定獲得には焦らず第三者のアドバイスも大事
今回は、内定を勝ち取るためのポイントを紹介しました。
近年は、採用プロセスの柔軟性を高めるために、中途採用だけでなく新卒採用でも通年採用を導入する企業が増えています。そのため、内定がなかなか出なくても焦ることはありません。
キャリアセンターやエージェントなどの第三者から的確なアドバイスを受けつつ、内定獲得を目指しましょう。
まとめ
内定獲得には焦らず第三者のアドバイスも大事
今回は、内定を勝ち取るためのポイントを紹介しました。
近年は、採用プロセスの柔軟性を高めるために、中途採用だけでなく新卒採用でも通年採用を導入する企業が増えています。そのため、内定がなかなか出なくても焦ることはありません。
キャリアセンターやエージェントなどの第三者から的確なアドバイスを受けつつ、内定獲得を目指しましょう。