退職を決意することは誰にとっても大きな決断です。
しかし、その過程で失敗してしまうと、退職後のキャリアにも悪影響を及ぼす可能性があります。
円満退職を実現するためには、適切な退職理由を伝えることと、トラブルを回避するための対策は欠かせません。
では具体的に、どのようにして円満な退職を実現できるのでしょうか?
この記事では、円満退職の秘訣に加え、退職理由の伝え方からトラブルを未然に防ぐ方法まで、詳しくご紹介します。
この記事を参考に、円満退職を目指し、次のステップへ進みましょう。
円満退職はなぜ必要?
退職を考える際、多くの人は次のキャリアステップに集中しがちですが、円満に退職することの重要性を忘れてはなりません。
ここでは、円満退職が必要な理由について考えてみましょう。
事務手続きがスムーズに行える
退職時には、退職届の提出、業務の引き継ぎ、貸与物の返却など何かと事務手続きが必要なもの。
もし会社とのトラブルが発生すれば、これらの手続きが円滑に進まず、余計なストレスを抱えることになりかねません。
一方、会社との関係が良好であれば、必要な書類の発行や手続きの確認がスムーズに行えます。
これにより、退職後の手続きに関するストレスが軽減され、新しい生活への準備に集中することができます。
退職後も周囲と良好な人間関係を保てる
今いる会社に戻らないとしても、職場で築いた人間関係は、今後のキャリアやプライベートにも大いに影響を与えることがあります。
例えば、同僚や上司との関係を良好に保つことができれば、将来的に仕事で再会する機会があったり、元職場の人々から紹介や推薦のサポートを受けられる可能性があるかもしれません。
人間関係を大切にすることは、長期的に見ても自分自身の大きな財産となるのです。
後ろめたさが残らない
退職時にトラブルを避け、円満に退職することで、後ろめたさを感じることなく新しい環境に飛び込むことができます。
これにより、新しい仕事や生活に集中しやすくなり、ポジティブなスタートを切ることができるでしょう。
精神的にも余裕を持って次のステップに進むためには、気持ち良く退職することが大切です。
円満退職をスムーズに進める5つの秘訣
円満な退職を実現するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
以下では、退職をスムーズに進めるための5つの秘訣をご紹介します。
退職の意思は1ヶ月半~1ヶ月前までに伝える
円満退職を望むのであれば、退職を決意してからできるだけ早めに退職の意思を会社に伝えることが重要です。
一般的には、後任の選定や引き継ぎ業務を行うための時間的余裕が必要であり、多くの企業では「退職予定日の1ヶ月以上前には申し出をすること」と定めています。
退職日の直前に退職の意思を伝えると、引き継ぎが慌ただしくなったりと、周囲に迷惑がかかる可能性があります。
そのため、職場に余計な負担をかけず、円満に退職するためにも、早めに退職の意思を示すことが大切です。
また、企業によっては、「退職の意思は2〜3ヶ月前に伝える」とするなど申し出の期限が異なる場合もあります。
就業規則に記載があるため、退職の意思を伝える前に必ず確認しておきましょう。
最初に退職の意思を伝えるのは「直属の上司」から
退職の意思を伝える際は、最初に直属の上司にその旨を話すことが基本です。
直属の上司とは、あなたの仕事を直接管理し、日常的にサポートしてきた人物です。
上司に伝えた後は、課長や部長など上位役職者に順次報告し、最終的に人事部へと伝えるのが適切な順序とされています。
一部では、最初から上位役職者や人事部に直接伝えた方が手続きが円滑に進むと考える人もいますが、直属の上司を飛ばして報告することは、「直属の上司には管理能力がない」という誤解を招く恐れがあります。
役職による決裁権がないからといっても、体制や組織の尊重を忘れず、適切な手順を踏むようにしましょう。
退職の意思は直接対面、口頭で伝える
現在では、上司とのやり取りもメールやチャットが主流となっていますが、退職の申し出をする際は直接対面で口頭で伝えることが非常に大切です。
対面でのコミュニケーションでは、メールや電話では伝えきれない表情や態度を通じて、あなたの本気度や真摯な姿勢をしっかりと伝えることができます。
また、相手の反応をその場で確認できるため、即座に疑問や不安を解消できるというメリットもあります。
事前のアポイントメントをメールや電話で取るのは問題ありませんが、退職の意思を伝える際は、直接対面で口頭で伝えることが円満退職に繋がる秘訣です。
繁忙期は避ける
退職の意思を伝えるタイミングとして、会社や部署の繁忙期を避けることが重要です。
繁忙期に退職を申し出ると、組織が迅速に対応する余裕がなくなり、引き継ぎや業務の以降もスムーズに進まない可能性があります。
さらに、そのタイミングで退職の話をすると「自分のことだけしか考えていない人」という悪い印象を与えてしまうかもしれません。
退職の意思を伝える際は、組織の業務負荷を考慮し、繁忙期が落ち着いたタイミング、もしくは繁忙期前のタイミングを選んで切り出すようにしましょう。
退職日まで責任を持って働く
退職が決まったからといって、仕事の質を落とさず、最後の日まで責任を持って働きましょう。
退職するまでは、その会社の社員であることを忘れてはいけません。
特に退職前に自分の業務をしっかりと完了させることも大切です。
最後までプロフェッショナルな態度を貫き、同僚や上司からの信頼を維持するよう心がけましょう。
円満退職をスムーズに進める退職理由の伝え方
上司に「退職理由をどのように伝えるか」も、円満退職を実現するための重要なポイントです。
適切な伝え方をすることで、より相手の理解を得やすくし、最後まで良好な関係を保つことも期待できます。
以下では、円満退職の実現のための退職理由の伝え方について解説します。
ネガティブな退職理由はポジティブな内容に変える
退職理由がネガティブな場合は、それをポジティブな内容に変えてから伝えるようにしましょう。
現在の職場に不満がある。
という理由を、
新しい挑戦をしたい。
自己成長のために新しい環境に身を置きたい。
といった前向きな理由に変えることで、相手に対して良い印象を与えることができ、円満退職を実現しやすくなります。
不満を直接的な退職理由として伝えると、「その不満は改善できるので、退職を考え直してほしい」という引き止めの機会を与えることにもなりかねません。
そのため、退職理由を伝える際には、会社への不満やネガティブな感情を避け、ポジティブな内容で進めることが重要です。
上司が納得する引き留めにくい理由にする
退職の際に、単に「一身上の都合で」とだけ理由を述べたり、会社への不満を理由に挙げたりすると、引き留められることが長引く可能性があります。
そのため、退職理由は納得してもらいやすいようなものを選ぶことが大切です。
上司が「その理由なら仕方ない」と思えるような理由を伝えると良いでしょう。
例えば、以下のような誰もが共感できる理由を挙げることが効果的です。
キャリアアップのため。
スキルアップのため。
また、以下のような個人的な事情や不可抗力の理由も相手が理解しやすく、納得して受け入れてもらいやすいでしょう。
家族の状況が変わったため、移住することになった。
健康上の理由により、働く環境を変える必要がある。
転職の話は伝えない
退職の意思を伝える際、上司から「転職先は決まっているのか」と質問されることがありますが、仮に転職先が決まっていても、その旨を伝えることは避けましょう。
特に同業他社への転職であれば、情報漏洩のリスクや感情的な対立を引き起こす恐れがあります。
そのため、転職先を聞かれた場合は、以下のように濁して回答する方が無難です。
まだ検討中です。
これから探す予定です。
また、転職先が決まっており、入社予定日が確定している場合もあるでしょう。
その場合は、具体的な転職先を伝えずに、「転職先は決まっています」とだけ回答し、退職日の調整を行うことが望ましいです。
円満退職のための退職理由の例文3選
ここでは、円満退職を目指すための具体的な退職理由の例文を3つ紹介します。
これらの例文を参考にして、自分に合った退職理由を上手に伝えましょう。
将来を見据えたポジティブな退職
私のキャリアをさらに発展させるために、新しい挑戦が必要だと感じています。
〇〇の分野でスキルを磨きたいと思い、退職を決意しました。
このような前向きな理由は、上司や同僚に良い印象を与えてくれます。
新たな挑戦やスキルアップを目的とする場合は、自分の成長意欲を強調し、感謝の気持ちも忘れずに伝えましょう。
健康上の問題による退職の場合
最近、健康上の問題が発生し、医師からも働く環境を見直すように指導されています。
健康を最優先に考え、退職を決断しました。
健康上の理由は、相手が理解しやすく、引き留めにくい理由です。
あまり詳細に説明しすぎず、簡潔に伝えることで、相手の理解を得やすくなります。
家庭の事情による退職の場合
家族の状況が変わり、今後は〇〇(例:親の介護、配偶者の転勤)に専念する必要が出てきました。
このため、退職を決意しました。
家庭の事情は、相手が納得しやすい理由の一つです。
具体的な状況を説明することで、上司や同僚の理解を得やすくなります。
ただし、プライベートな詳細は避け、必要な情報にとどめるようにしましょう。
円満退職をスムーズに進める6つのSTEP
会社に退職の意思を伝え、いざ退職することが確定したら退職に向けて動くことになります。
以下では、円満退職するための具体的な流れについて順を追って解説していきます。
まずは、自分が退職を希望する日を確定させましょう。
その際は、後任者の選定や業務の引き継ぎに必要な期間も考慮する必要があるため、上司に相談して決めた方が会社の負担も軽減できます。
注意点としては、1人で一方的に退職日を決めないことです。
あくまで自己都合での退職となるため、会社の意向もしっかりと組んだ上で退職日を調整することを心がけてください。
退職日を確定させたら、次に退職願や退職届を作成し、直属の上司に提出します。
この際、退職願と退職届の違いについて理解しておくことも重要です。
退職願は会社に「退職を願い出る書類」
退職届は会社に対して退職の可否を問わず「退職します」という最終的な意思表示をする書類
会社によっては、書類のフォーマットが定められている場合もあるため、会社の指示に従い手続きを進めることをおすすめします。
退職が正式に決まったら、業務の引き継ぎを計画的に進めましょう。
自分の担当業務やプロジェクトの詳細なリストを作成することで、後任者がスムーズに業務を引き継ぐことができます。
また、進捗状況を定期的に確認し、不明点がないように対応していくことでスムーズに進み、後任者への負担も軽減することができるでしょう。
業務の引き継ぎが完了したら、同僚や会社でお世話になった人、自分が担当している取引先に挨拶をしましょう。
社内の場合は、部署ごとに訪問し、感謝の言葉を伝えます。
「今までお世話になりました。皆さんのサポートのおかげで成長することができました。」
など、具体的な感謝の言葉を添えると効果的です。
主な取引先には直接訪問して退職の挨拶をし、今後の担当者の引き継ぎなども伝えます。
「この度、退職することになりました。長い間お世話になり、心から感謝しています。」
といった形で感謝を伝えましょう。
また挨拶は、直接会って伝えるのが理想ですが、遠方の場合や時間がない場合はメールや電話でも構いません。
退職に伴い、退職金や社会保険の手続きが必要となります。
会社の人事部や総務部に問い合わせ、必要な書類や手続きの詳細を確認しましょう。
また、制服や社員証、名刺などの備品も返却しなければなりません。
退職後に再び会社に戻ることは避けたいものですから、退職前にはデスクやロッカーなどの私物も隅々まで整理し、会社の備品や貸与品があればすべて返却するよう心がけましょう。
もし、有給休暇が残っている場合は、退職前に消化しておくことをおすすめします。
その際は、必ず退職前に有給休暇がどれだけ残っているかを確認しておきましょう。
残日数を確認できたら、有給休暇の消化について上司と相談し、スムーズに退職日を迎えられるように調整するといいでしょう。
有給休暇は労働者に与えられた権利ですので、遠慮せず活用してください。
円満退職に失敗したかも。よくあるトラブルと回避方法
円満退社を望んでいても、中には「失敗したかも」と、望んだ形で退職できなかったケースも存在します。
ここではよくある退職時のトラブル例と、それに対する回避方法まで解説していきます。
最初に退職理由を伝える相手を間違えてしまう
社内での人間関係が複雑であったため、最初に直属の上司ではなく同僚に退職理由を誤って話してしまった。
その結果、口コミで広がってしまい、上司や同僚との関係性が悪化してしまった。
回避方法:退職の意思は必ず直属の上司へ伝える
退職の意思を伝える際には、必ず最初に直属の上司に伝えることを心がけましょう。
社長など上位役職者に先に話すことは、直属の上司の管理能力に疑問符を投げかける結果になりかねません。
日頃からお世話になっている上司に対して、
「退職理由を直接伝えるのは申し訳ない」
という気持ちも理解できますが、退職前に関係性が悪化すると退職手続きが滞ったり、会社を後味悪く去ることになったりする場合もあります。
円満に退職するためにも、くれぐれも礼儀を大切にしましょう。
退職願を出したのに、保留のままにされていた
就業規則に従い、退職日の1ヶ月前に直属の上司に退職願を提出したが返答がなく、数週間後になってやっと対応された。
その間に、後任者の採用手続きも遅れ、部署の業務に支障をきたしてしまった。
回避方法:人事部長へ直接提出を検討する
上司が部下の退職を認めたくないために、退職願をなかなか受理してくれないケースもあります。
このような場合、直接上司に問いただすことも一つの方法ですが、余計なトラブルを引き起こす可能性があります。
もし退職願が受理されない場合や、上司に会ってもなかなか退職願を受け取ってもらえない場合は、人事部長に直接退職願を提出することを検討しましょう。
その際は、必ず上司に電話やメールでその旨を事前に伝えることも大切です。
また、退職願を提出する際には、確実な手段(メールや書面)で提出し、「確かに申請した」という確認の証拠を残しておくと安心です。
強い引き止めに合い、責められた
就業規則に従い、退職日の1ヶ月前に直属の上司に退職願を提出したが返退職を伝えた後、上司や同僚からの強い引き止めにあった。
「恩を仇で返すつもりか」
「どうせウチで無理なら他の会社でもうまくいかない」
と責められたり、圧力を感じたりした。
回避方法:退職の強い意志を示す
退職の申し出をした際に、強い引き留めや説得に屈し、結果的に退職を諦めてしまうケースは少なくありません。
そのような場合、一度決断した退職を取り消しても、モチベーションが低下する可能性が高いです。
特に責められた場合、自信を失うこともあります。
こうした局面で重要なのは、「退職を決意したら迷わずに進む姿勢を示すこと」です。
相手の説得や引き留めに対しても揺るがない姿勢を示すことで、「何を言われても変わらない」という強い意志を伝えることができます。
ただし、重要なのは感情的な反応を避けることです。
堅実かつ冷静に、自分の決断を明確に伝えることが肝要です。
ーまとめー
あなたの強い意志で円満退職を実現させよう
今回ご紹介した秘訣とトラブル回避のポイントを押さえることで、退職時の不安やトラブルを最小限に抑え、次のステージへとスムーズに移行することができるでしょう。
円満退職は、単なるキャリアの区切りではなく、将来の人間関係やキャリアにおいても大きな影響を与えるものです。
退職への強い意志と誠実な対応で、あなた自身の円満退職を実現し、次のステージへと自信を持って進んでみてください。
職パレは、あなたの転職活動を全力で応援しています。
まとめ
あなたの強い意志で円満退職を実現させよう
今回ご紹介した秘訣とトラブル回避のポイントを押さえることで、退職時の不安やトラブルを最小限に抑え、次のステージへとスムーズに移行することができるでしょう。
円満退職は、単なるキャリアの区切りではなく、将来の人間関係やキャリアにおいても大きな影響を与えるものです。
退職への強い意志と誠実な対応で、あなた自身の円満退職を実現し、次のステージへと自信を持って進んでみてください。
職パレは、あなたの転職活動を全力で応援しています。