就職みらい研究所が実施した就職白書2024によると、新卒採用の採用基準で重視する項目として、大学/大学院で身に付けた専門性と回答した企業は24.9%、アルバイト経験は29.9%、大学入学以前の経験や活動は13.9%存在するとされています。
近年は、学歴だけでなく過去の経験を踏まえて応募者を評価する企業が増えています。
しかし、魅力的なガクチカがあっても、上手く伝えられる自信がないという方は少なくないでしょう。
そこで、本記事ではガクチカを効果的に伝える方法を例文付きで紹介します。
ガクチカを効果的に伝える方法を学び、自信を持って自己アピールしましょう!
ガクチカとは
ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」を指す就職用語です。
主に新卒採用時に使われます。
新卒者は、中途採用と異なり職務経験がありません。
そのため、面談やエントリーシートでガクチカについて尋ねることで、応募者の個性や潜在力を把握します。
自己PRが自身の強みや能力をアピールするのに対し、ガクチカはその強みがどのような経験から生まれたのか、具体的なエピソードを通じて説明することが求められます。
ガクチカを聞かれる理由【3つ】
ここからは、企業がガクチカを聞く理由を3つ紹介します。
人柄を見極める
企業は、ガクチカを通じて、応募者がどのような考え方を持ち、どのように行動する人物であるかを理解します。
具体的には、応募者がなぜ特定の活動を選び、どのように努力して、困難に直面した際にどのように乗り越えたかなどのエピソードから、その人の人柄や価値観を見極めます。
企業は、長期的に働いてくれる人材を採用しなければなりません。
そのため、ガクチカのエピソードを基に、企業は応募者が自社の社風や価値観に適合するかを判断し、早期退職リスクを回避します。
企業とのマッチ度を見極める
企業は、自社の求める人物像と応募者の性格やスキル、成長の見込みがどれだけ一致しているかを確認するために、ガクチカを利用します。
具体的には、コミュニケーション能力、主体性、協調性などの要素が応募者のエピソードから汲み取れるかどうかという観点から、自社に適した人材かどうかを判断します。
企業と応募者のマッチ度が低いと、応募者の潜在能力が発揮できず、思うような活躍が期待できないでしょう。
そのため、応募者が成功している社員の共通点と合致しているかどうかをガクチカに基づき判断します。
ビジネススキルを見極める
一般的にガクチカは、400文字前後の文章で回答を求められます。
これは、応募者が自分の考えを明確かつ簡潔にまとめて表現できるかを試しています。
ビジネスの現場では、取引先との商談や上司への報告など、情報を端的に伝える能力が重要です。
そのため、ガクチカの文章がわかりやすく構成されているか、誤字や脱字がないかをチェックしています。
内容が優れていても、誤字脱字などのケアレスミスがたくさんあると、採用担当者の心象が悪くなるので注意しましょう。
ガクチカの探し方【3つ】
ここからは、ガクチカの探し方を3つ紹介します。
ガクチカが思い浮かばないという方は、参考にしてください。
経歴を紙に書き出す
ガクチカを探す際は、経歴を紙に書き出してみましょう。
経歴を具体的に書き出すことで、過去の所属先や実行した活動、達成した成果を視覚化できます。
経歴を一覧化することで、ガクチカにふさわしい素材を見つけやすくなるでしょう。
また、書き出す過程で自身の強みや特徴が浮き彫りになり、それを基にして説得力のあるエピソードを構築できます。
とくに、漠然とした記憶を整理することで、潜在的なガクチカ候補を効果的に見つけ出せます。
日記やブログを振り返る
日記やブログをやっている方は、日記やブログの内容をもとにガクチカを考えてみましょう。
過去にガクチカとして話せるような経験をしたとしても、時間が経つにつれて忘れてしまう可能性があります。
しかし、日記やブログを読み返すことで、当時の思いや行動が鮮明によみがえり、ガクチカの材料として活用できるでしょう。
また、SNSの投稿も、自分の活動を振り返る有効な手段となります。
第三者に聞いてみる
一人で考えてもガクチカが思い浮かばないという方は、家族や友人などの第三者に聞いてみましょう。
私たちは、自分の行動や成果を当たり前と感じやすい傾向があります。
しかし、自分の日常的な行動や成果は、他者から見ると非常に価値のある経験やスキルに映ることは少なくありません。
一例として、日常的な活動でも、外部の視点からは「継続力」や「強い意志」を示すものと評価されることがあります。
第三者の意見を取り入れることで、自分の強みやエピソードを新たに発見し、より説得力のあるガクチカを作成できるでしょう。
ガクチカを書くときのコツ【5つ】
ここからは、ガクチカを考えるときのポイントを5つ紹介します。
PREP法を意識する
PREP法とは、分かりやすい文章を作るための構成モデルです。
以下の4つを順に構成することで、主張を明確かつ説得力を持たせます。
- Point(結論)
- Reason(理由)
- Example(具体例)
- Point(結論の繰り返し)
ガクチカを書く際もPREP法を意識しましょう。
|PREP法を意識することにより、自分の強みや経験を論理的に整理し、採用担当者が納得しやすいストーリーをつくれます。
また、具体的なエピソードを交えることで説得力が高まるため、採用担当者へ好印象を与えます。
具体的に書く
ガクチカを書くときは、理由や例を具体的に書きましょう。
具体的に記述することで、自分がどのような状況で、どのような行動を取ったのかを明確に示します。
そのため、採用担当者が応募者の経験に実感を持ちやすくなるでしょう。
具体的に書く際は、以下のポイントを意識しましょう。
point1 「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」といった要素を整理したり、具体的な数字や事例を盛り込んだりすることで、エピソードがよりリアルに伝わりやすくなります。
point2 課題に対する対策やその結果だけでなく、その時の環境や思考、苦労した点も含めて書くことで、読み手が状況をより鮮明にイメージでき、共感を得やすくなります。
point3 冗長になると伝えたいことがわかりづらくなるため、注意が必要です。
噓をつかない
ガクチカが思い浮かばなかったとしても、虚偽のエピソードや主張は避けましょう。
エントリーシートの内容は面接で深掘りされることがあります。
ガクチカで嘘をついていたことが面接で発覚すると、採用担当者からの評価が大きく下がる可能性があります。
また、仮に面接を通過しても、自分を偽ったまま入社すると、企業とのミスマッチが生じてしまうでしょう。
入社後のミスマッチは、早期退職や仕事での不満につながり、自分自身だけでなく企業にも不利益をもたらす可能性があります。
成果よりプロセスを重視する
ガクチカを書く際は、成果の大きさや経験の珍しさなどではなく、成果や経験に至るまでのプロセスを重視しましょう。
ガクチカでは、結果の華やかさが評価されるわけではありません。
課題や目標に対してどのように問題に取り組み、何を学んだのかが重要視されます。
|プロセスを詳しく描くことで、困難に対する対処法や思考の癖、努力の方向性など、個人の特徴が明確に伝わりやすくなります。
企業の求める人物像を意識する
企業ごとに求める人物像は異なります。
どれだけ素晴らしいガクチカでも、企業が求める人物像とマッチしなければ採用担当者へ好印象を与えられません。
単に自分の頑張った経験を伝えるだけではなく、その企業が特に重視する特性やスキルに合わせたエピソードを選ぶ必要があります。
|業界や企業の研究を通じて企業にとっての理想的な人材像を理解し、それに合致するエピソードを強調するようなガクチカを作成しましょう。
テーマ別ガクチカの例文【5選】
株式会社 日経HRによると、ガクチカのテーマは、アルバイトが46.7%、研究・ゼミ活動が36.8%とされています。
テーマは絞れていても書き方がわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここからは、代表的な5つのテーマでガクチカの例文を紹介します。
部活・サークル
例文1
私は、大学のサッカー部でキャプテンを務め、チームを全国大会に導いた経験があります。
当時は、キャプテンとして、チームメンバーの意見を尊重しつつ、自分の考えをしっかり伝えることで、メンバー全員が一丸となって目標に向かえる環境を作ることに注力しました。
とくに苦労したのは、練習メニューの改善です。
メンバーのフィードバックを取り入れ、個々の強みを引き出す練習プランを提案しました。
その結果、チームの士気が上がり、全国大会でベスト8に進出しました。
この経験を通じて、リーダーシップとチームワークの重要性を学びました。
例文2
私は、大学の軽音サークルでイベント企画を担当し、100人以上の観客を集めるライブを成功させました。
私が担当したライブでは、企画の初期段階で、サークルメンバーの意見をまとめるのが難しく、方向性が定まりませんでした。
しかし、私は定期的にミーティングを開き、各メンバーの意見を集約しながら、具体的な行動計画を作成しました。
とくに、ライブ会場の選定や機材の手配、宣伝活動に力を入れ、多くの学生に興味を持ってもらえるように工夫しました。
それにより、当日は大きなトラブルがないままライブを開催できました。
この経験を通じて、プロジェクト管理とコミュニケーション能力を向上させました。
アルバイト
例文1
私は、大学在学中に勤めていたカフェのアルバイトで、接客スキルの向上に注力しました。
私が勤めていたカフェは常に忙しく、顧客一人ひとりに丁寧に対応することが求められていました。
ある日、常連のお客様から「最近、店員の対応が冷たく感じる」との指摘を受け、私は接客態度を改善する必要性を感じました。
そこで、全スタッフが笑顔で挨拶することや、顧客の要望に柔軟に対応するよう心掛けた結果、接客に対する顧客満足度が向上し、売上も前月比で10%増加しました。
この経験から、顧客のニーズを捉え、サービスを改善するスキルを身につけることができました。
例文2
私は、大学時代に個別指導塾のアルバイトで中学生の数学を担当していました。
生徒の学力はさまざまで、授業の進め方に苦労しました。
そこで、私は個々の理解度に合わせた教材を作成し、授業をカスタマイズしました。
とくに、苦手な生徒には基礎からしっかりと教え、得意な生徒には応用問題に挑戦させることで、全員が目標の成績を達成できるようにしました。
その結果、私が担当した生徒たちは全員が志望校に合格できました。
この経験を通じて、指導力や柔軟な対応力を身につけました。
研究・ゼミ
例文1
私は、マーケティングゼミにおいて、年間の研究発表の機会にプレゼンテーションを担当しました。
ゼミのテーマは新製品の市場分析であり、複雑なデータをいかに分かりやすく伝えるかが課題でした。
そこで、私はビジュアルエイドを活用し、グラフや図表を使ってデータを視覚的に表現しました。
また、専門用語を避け、簡潔な言葉で説明することを心掛けました。
この工夫により、教授や他のゼミ生から高い評価を得られ、私の発表はゼミ全体の成功に大きく貢献しました。
この経験を通じて、プレゼンテーションスキルの向上と伝える力の重要性を実感しました。
例文2
私は、社会学ゼミで、地域コミュニティの活性化に関して研究しました。
研究では、調査の一環として、地域住民へのアンケートを実施し、その結果をもとにデータ分析しました。
データの傾向を分析することで、地域活性化のために何が必要かを明らかにし、その結果を基にした提案をゼミで発表しました。
提案内容は、具体的で実現可能性が高いと評価され、後に地域の活動に取り入れられることになりました。
この経験を通じて、データ分析のスキルと実践的な問題解決能力を養えました。
趣味
例文1
私は、高校時代からギターを弾くことが趣味で、大学でもバンド活動に参加してきました。
とくに、難易度の高い楽曲に挑戦することが好きで、新しいテクニックを習得するために毎日練習を重ねました。
最初は、なかなか思うように弾けず、何度も挫折しそうになりました。
しかし、諦めずに続けた結果、学園祭でのバンド演奏では観客から大きな拍手をもらえました。
この経験を通じて、困難に直面しても挑戦し続けることの大切さを学びました。
例文2
私の趣味は、読書です。
とくに、哲学書や歴史書を好んで読みます。
私は、大学生活を通じて、さまざまなジャンルの書籍に触れることで、知識の幅を広げてきました。
読んだ本の内容を整理し、自分なりに分析する習慣をつけることで、論理的思考力を高めました。
ゼミやディスカッションでも、これまでに得た知識や考え方を活用して発言する機会が増え、周囲からも評価を受けるようになりました。
この経験を通じて、知識の習得とその応用の重要性を実感しました。
留学
例文1
私は、大学2年次にアメリカに1年間留学し、異文化理解と適応力を養いました。
初めは、言語や文化の違いに戸惑いました。
しかし、現地の友人や教授と積極的に交流することで、次第に違いを楽しめるようになりました。
とくに、異なるバックグラウンドを持つ学生たちとディスカッションを重ねることで、多様な視点を理解し、柔軟に対応する力が身につきました。
この経験は、今後のグローバルな環境での仕事にも役立つと考えています。
例文2
私は、オーストラリアへの留学を通じて、英語力を向上させました。
留学当初は、授業についていくことが難しく、コミュニケーションにも苦労しました。
そこで私は、毎日少しずつ自分から話しかけるよう心掛けました。
とくに、現地のサークル活動に参加し、積極的に英語を使う機会を増やすことで、自信を持って意見を述べられるようになりました。
この経験を通じて、語学力だけでなく、異文化の中でのコミュニケーションスキルも向上させました。
面接で採用担当者に好印象を持たれる話し方【5つ】
応募書類に記載したガクチカは、面接で深掘りされることがあります。
丁寧にガクチカを作成しても、面接での受け答えがうまくできないと、採用担当者から高評価を得られません。
そこで、ここからは、面接で採用担当者に好印象を持たれる話し方を5つ紹介します。
ゆっくりはっきり話す
面接では、ゆっくりとしたペースで、はっきりと話しましょう。
緊張していると、自然に話す速度が速くなる傾向があります。
早口で話すと、相手が理解しにくくなり、内容がうまく伝わりません。
一般的に、聴きやすい速度は1分間に約300字と言われています。
面接練習で自分の回答を録音し、適切なスピードで話せているかチェックしましょう。
また、適度な抑揚をつけることで、話にメリハリが生まれ、強調すべきポイントが相手にしっかり伝わります。
声の大きさやトーンにも注意を払いましょう。
Web面接では、対面での面接よりも話し方を意識してください。
採用担当者の目を見る
面接では、採用担当者の目を見て話しましょう。
採用担当者と目を合わせることで、自信がある印象を与えられるため、採用担当者が話を真剣に聞いてくれるようになります。
逆に、視線を逸らすと、自信がない、または相手に対して興味がないと受け取られるでしょう。
また、視線を合わせることで、採用担当者に対して自分が重要な存在であると感じさせ、好意的な感情を引き出せます。
Web面接では、画面ではなくカメラを見るようにしましょう。
背筋を伸ばす
面接では、背筋を伸ばして話すようにしましょう。
姿勢が悪いと、採用担当者に対して自信がない、あるいはマナーが悪いといった印象を与えてしまいます。
背筋を伸ばすことで声が通りやすくなり、はっきりと発音できます。
また、背筋を伸ばして姿勢を保つことで、誠実でしっかりとした人物であることをアピールできるでしょう。
さらに、姿勢は、思考パターンとも関連しています。
背筋を伸ばし視線を上げることで、外向き思考が促進され、面接での対応力が向上します。
リラックスする
適度な緊張はパフォーマンスを向上させるとされていますが、過度な緊張は逆効果です。
緊張しすぎると、言葉が詰まったり、頭が真っ白になってしまうことがあります。
そのため、リラックスすることで、自分の本来の能力を発揮しやすくなるでしょう。
面接における緊張の主な原因は、失敗を恐れることです。
入念な面接対策で自信をつけつつ、失敗を受け入れることで、心の余裕が生まれ、プレッシャーが軽減されます。
リラックスして面接に臨むことで、自分らしい姿を自然に表現しましょう。
身振り手振りはほどほどに
面接において身振り手振りを使うことは、自己表現を豊かにし、感情を伝える手段として効果的です。
しかし、大袈裟な動作は、採用担当者に不自然な印象を与え、注意が散漫になり、肝心の話の内容が伝わりにくくなります。
また、過度な身振り手振りは、緊張や焦りが強調されていると受け取られる可能性もあります。
ジェスチャーは必要な場面でのみ、自然な範囲で使いましょう。
ーまとめー
ガクチカを上手に伝えて採用担当者に印象づけよう
今回は、ガクチカを効果的に伝える方法を紹介しました。
ガクチカは、応募者の強みや努力を明確に示し、採用担当者へ好印象を与えます。
本記事を参考にして、採用担当者の印象に残るようなガクチカの伝え方をマスターしましょう。
「ガクチカが思い浮かばない」
「ガクチカの魅力が採用担当者にうまく伝わらない」
という方は、就職エージェントへ相談してみてください。
まとめ
ガクチカを上手に伝えて採用担当者に印象づけよう
今回は、ガクチカを効果的に伝える方法を紹介しました。
ガクチカは、応募者の強みや努力を明確に示し、採用担当者へ好印象を与えます。
本記事を参考にして、採用担当者の印象に残るようなガクチカの伝え方をマスターしましょう。
「ガクチカが思い浮かばない」
「ガクチカの魅力が採用担当者にうまく伝わらない」
という方は、就職エージェントへ相談してみてください。