面接で家族構成を聞かれたら?質問の意図や違法性などについて解説

面接では、応募者の適性を見極めるためにさまざまな質問をされます。

家族構成も聞かれる可能性がある質問のひとつです。

本記事では、面接で家族構成を聞かれる理由や答え方などを紹介します。

また、面接で家族構成を聞くことは違法かどうかについてもまとめています。

この記事を参考に、自分に合った仕事を見つけ、キャリアアップを目指しましょう。

スーツを着た4人
目次

面接で家族構成を聞くことは、就職差別につながるためタブーとされていますが、まれに聞かれることがあります。

ここからは、面接で家族構成を聞く意図を5つ紹介します。

福利厚生の適用範囲を知る

面接で家族構成を確認することで、企業は福利厚生の適用範囲を適切に把握できます。

家族がいる場合、住宅手当、扶養手当、育児支援、介護休暇など、家族向けのサポートが必要になる可能性があります

一方、独身であると、家族向けの支援ではなく、研修や社内イベントなど、別の福利厚生を重視するでしょう。

家族構成の理解により、企業は候補者が本当に必要とする福利厚生を提供しやすくなり、長期的な定着と満足度向上にもつながります。

長時間または不規則な勤務に対応できるか把握する

面接で家族構成を聞くことで、長時間または不規則な勤務に対応できるかを把握しやすくなります

具体的には、小さな子どもや介護が必要な家族がいる場合、急な残業や夜勤が難しくなり、本人がその対応策をどのように考えているか確認したい意図があります。

逆に、支援が得られる環境が整っている場合は、業務に柔軟に対応できる可能性が高まるでしょう。

企業は家族構成を聞くことにより、候補者が実際の勤務環境で無理なく働けるか、また長期的なパフォーマンスを見極めやすくなります。

転勤や出張が可能か見極める

面接で家族構成を確認することで、転勤や出張の対応可能性を見極めやすくなります

具体的には、配偶者の転職が必要になったりや、子どもの転校など家庭に影響が出たりする場合、転勤の制約が生じやすくなります。

また、幼い子どもや高齢の家族がいると、頻繁な出張や長期出張が難しくなるでしょう。

家族構成を把握することで、候補者がどの程度の柔軟性を持って対応できるかがわかり、企業は適切なポジションや業務のアサインを検討しやすくなります。

仕事に専念できる状況か把握する

面接で家族構成を確認することで、候補者が仕事に専念できる状況かを把握しやすくなります

具体的には、育児や介護など家族のサポートが必要な場合、その業務が仕事のパフォーマンスに影響を与えることが考えられます。

また、家庭環境を知ることで、企業は候補者がどの程度の時間的・精神的な余裕をもって業務に取り組めるかを判断できるため、適切な働き方やサポートを提供しやすくなるでしょう。

さらに、こうした確認により、企業と候補者が相互に理解し合える職場環境を整えられます。

長期的に働ける人材か見極める

面接で家族構成を確認することで、応募者が長期的に働ける人材かを見極められます

家庭環境が安定していると、転職や退職のリスクが低く、長期的に働ける可能性が高まります。

とくに、扶養家族がいる場合、収入の安定を求める傾向が強く、職場に長く定着しやすくなるでしょう。

また、家族との関係やサポート体制により、育児や介護が発生しても仕事と両立できる基盤があるかを確認することで、企業は長期雇用を前提にした人材選考を実現できます。

面接で家族構成を聞くことは、不適切とされることがあります。

職業安定法第五条の五では、業務の達成に必要な範囲でのみ個人情報を収集することが求められています。

職業安定法第五条の五

公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

②公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

引用元:職業安定法|e-Gov 法令検索

この法律では、企業が求職者から収集する情報は、その業務に関連する内容であることが基本とされています。

家族構成に関する質問は、業務と直接関係がないことが多いため、不適切と見なされることが少なくありません。

また、家族構成や家族の職業などの質問は、求職者自身の能力や適性に関わらない事柄であり、センシティブな問題でもあるため、厚生労働省のガイドラインではこれを避けるよう勧告されています。

現行の法令で家族構成の質問自体を明確に禁止しているわけではないため、企業が家族構成を聞く場合もあります。

面接では、答え方によって採用担当者の印象が大きく変わります。

ここからは、面接で家族構成を答えるときのポイントを5つ紹介します。

簡潔に答える

|面接で家族構成を聞かれたら、効率的に対話を進めるために、簡潔に答えましょう。

基本的に個人のプライバシーに関わる内容である家族構成は、働き方や業務への影響が最小限であるかを確認するために聞かれます。

詳細を伝えすぎると、面接官に余計な印象を与え、話が本筋から逸れるでしょう。

efqef 自分にとっての適職を見極めるためには、「好き」と「得意」を混同せず、現実的な視点でキャリアを設計することが重要です。

簡潔に答えることで、面接官に対して情報整理ができ、要点を押さえたコミュニケーション能力をアピールできます。

自信を持って答える

|面接で家族構成を聞かれたら、自己管理がしっかりしている印象を与えるために、自信を持って答えましょう。

家族構成に対する質問は、仕事に専念できる状況か、転勤や出張などの柔軟性があるかを見極める意図で聞かれます。

自信を持って答えることで、ポジティブな印象を残せます。

また、自信のある回答は、柔軟な対応が可能で仕事に対する意欲が高いと伝わり、企業から信頼されやすくなるでしょう。

ポジティブな表現を心がける

|面接で家族構成を聞かれたら、面接官に安定した家庭環境や仕事への意欲を伝えるためにポジティブな表現を心がけましょう。

ポジティブな表現は、面接官に安心感を与え、仕事に集中できる状況であることを印象づけます。

具体的には、家族がサポートしてくれることや、仕事に理解があることを示すことで、企業側も転勤や長時間勤務などに対する柔軟性があると判断しやすくなります。

前向きな姿勢は、仕事に積極的な人材であると評価され、選考通過率が高まるでしょう。

プライバシーを守る

|家族構成に関する情報は、あくまで簡潔に伝え、個人の尊厳やプライバシーを守りましょう。

過剰な情報を提供することで、家庭の状況を不安定に感じさせたり、面接官に余計な先入観を持たせたりします。

必要最低限の情報を共有し、職務に支障がないことだけを伝えることで、適切な範囲でのやり取りができます。

家庭環境が業務へ支障をきたさないことをアピールする

|面接で家族構成を聞かれたら、仕事に集中できる人材であることを伝えるために、家庭環境が業務へ支障をきたさないことをアピールしましょう。

家庭環境が安定している、または家庭のサポートがあると伝えることで、急な欠勤や勤務時間の制約が少ないと印象づけられます。

これにより、転勤・出張などの柔軟な対応も可能であると判断されやすく、業務への影響を最小限にできる信頼性が高いと評価されるでしょう。

ここからは、家族構成を聞かれた際の回答例を5つご紹介します。

男性

具体例


私の家族は妻(夫)と子ども1人の3人家族です。

家族も新しい環境に挑戦することを応援してくれており、仕事に専念できる環境が整っています。

柔軟な働き方にも対応できるよう、家族と協力しながら仕事に取り組んでいきたいと考えています。

男性

具体例


両親と3人で暮らしています。

両親も健康で日常生活に支障はないため、転勤や出張も問題なく対応できると考えています。

家庭のサポートを受けながら、仕事にも集中して取り組める環境です。

男性

具体例


現在、独身ですので、仕事に全力で取り組む時間と環境が整っています。

転勤や出張にも柔軟に対応できますし、勤務時間に関してもご要望にお応えできるよう最大限の努力をいたします。

男性

具体例


妻(夫)と幼稚園に通う子どもが1人おります。

家庭でのサポート体制も整っていますので、急な勤務変更や出張にも対応できるようにしております。

仕事と家庭のバランスを大切にしつつ、会社に貢献したいと考えています。

男性

具体例


実家は遠方にあり、現在は一人暮らしです。

実家からの支援もあるため、転勤や出張などが発生しても問題なく対応可能です。

仕事に集中できる環境を整えており、長期的に御社で働く覚悟があります。

面接で家族構成に関する質問を拒否することは、採用に影響を及ぼす可能性があります。

とくに、志望度の高い企業では、回答しないことで印象が悪化するでしょう。

採用担当者は、候補者のコミュニケーション能力や柔軟性を評価するためにこの質問を用いることがあるため、無難に回答することが求められます。

なお、家族構成に関する質問は本来、個人のプライバシーに関わるものです。

そのため、無理に答える必要はありません。

もし回答を拒否したい場合は、その旨を丁寧に伝え、プライベートな問題であることを強調するのが賢明です。

加えて、適切な質問でないと感じる場合でも、嘘の回答は後々のトラブルを招くことがありますので注意してください。

職パレtips
家族構成の質問は、単なるコミュニケーションのきっかけなこともあるため、柔軟に対応することが望ましいでしょう。

家族構成だけでなく、転職理由を聞かれたときに家庭環境についてアピールすると採用担当者から好印象を持たれます。

ここからは、転職理由を家族のためと答えるメリットを5つ紹介します。

責任感が強調される

転職理由を「家族のため」とすることで、単なる自己都合ではなく、周囲のために自分の選択を考える力が評価されやすくなります。

また、家族のために働く意識は、職場でも周囲を尊重し責任を持って働く姿勢として捉えられやすく、安定志向や長期的な視点での働き方を望んでいる印象を与えられます。

周囲を大切にする姿勢が強調される

家族を大切にする価値観は、職場でも同僚やチームメンバーを大事にする姿勢として評価されやすくなります。

また、周囲のサポートがあってこそ成り立つという感謝や協力の意識も見られるため、組織においても人間関係を重視する人物だと判断されます。

親しみやすさが強調される

転職理由を「家族のため」と答えることで、家庭や身近な人を大切にする姿勢が見えるため、親しみやすさが強調されます。

「家族のため」と答えると、家族を思いやる人柄を示すとともに、単なる自己中心的なキャリア志向ではなく、柔軟に環境に合わせられる姿勢を伝えます。

また、家族の幸せや生活を支えようとする姿勢は、相手に安心感を与え、周囲に配慮できる協調性があると感じてもらいやすいため、温かみのある印象を与えられるでしょう。

誠実さが強調される

転職理由として「家族のため」と答えると、誠実さが伝わりやすくなります。

家族を優先し、生活や将来の安定を見据えて選択することは、自分だけでなく周囲も大切にしているという印象を与えます。

また、率直にプライベートな事情を伝えることで、素直で隠し事がない人柄が強調されるでしょう。

採用担当者は、家庭や周囲に対する責任感や安定を重視する誠実な価値観が感じられ、信頼に足る人物であると判断しやすくなります。

長期的なキャリアを重視していることが伝わる

「家族のため」と転職理由を答えると、長期的なキャリアを考えている姿勢を採用担当者にアピールできます。

家族の生活や将来の安定を意識した選択は、短期的な利益よりも長期的な成長や安定を重視していることを示唆します。

また、家族を支えるために安定した職場環境や継続的なスキルアップを求めている姿勢は、定着性が高く、会社にとっても信頼できる人材であると印象付けやすいでしょう。

家族構成以外にも、面接でよくある想定外の質問は以下のようなものがあります。

面接でよくある想定外の質問

  • 自分を動物に例えるとしたら、どの動物ですか?その理由は?
  • 最近のニュースで気になったトピックは何ですか?
  • もし宝くじに当たったら、どうしますか?
  • あなたの人生のテーマソングは何ですか?それはなぜ?
  • 自分の好きな本や映画について教えてください。
  • チームでの衝突をどう解決しますか?具体例はありますか?
  • 今までのキャリアの中で一番大きな失敗は何ですか?
  • もし過去に戻れるとしたら、どの時点に戻りたいですか?
  • どのような趣味を持っていますか?それは仕事にどう影響しますか?
  • あなたの夢や目標は何ですか?その実現に向けてどのように行動していますか?

ここからは、上記のような想定外の質問をされたときの対処法を7つ紹介します。

時間を稼ぐ

急いで答えると意図に沿わない答えになるリスクがあるため、少し間を置きつつ自分の考えを整理してから返答してください。

具体例には、「その質問はとても興味深いです」や「少し考えてもよろしいでしょうか」などと言うと、自然な流れで数秒の余裕が生まれます。

また、質問内容を繰り返すことでさらに思考の時間が得られ、落ち着いて回答を組み立てられます。

具体的な事例が必要な場合も、「これまでの経験を振り返ると…」など、軽く前置きすることでスムーズな対応を目指しましょう。

冷静に思考を整理する

急いで答えると内容が浅くなり、自分の強みや適性を十分に伝えられない可能性があります。

想定外の質問をされても、焦らず相手の意図を正確に把握しましょう。

面接中に冷静に思考を整理するためには、まず深呼吸して気持ちを落ち着けてください。

これにより緊張が緩和され、考えがクリアになります。

次に、質問を頭の中で整理し、「何を聞かれているのか」を意識することで、回答の方向性が見えてきます。

また、質問の意図を再確認するために、質問内容を繰り返してみるのも有効です。

このようにゆっくり丁寧に対応することで、焦らず冷静に回答を組み立て、自然体で答えられるでしょう。

質問の意図を考える

採用担当者の意図を汲み取ることで、適切に自分の強みや適性をアピールしやすくなります。

面接で質問の意図を考えるには、「この質問で面接官が知りたいことは何か」を意識してください。

業務内容や求められるスキル、企業が重視する価値観を基に考えると、質問の背後にある目的を推測できます。

一例として、「苦労した経験」について問われたのであれば、課題解決能力や柔軟性を確認する意図が考えられるでしょう。

また、答える前に質問を再確認したり、具体例を求めているかを判断することで、より的確な回答ができます。

リフレーミングする

リフレーミングとは、ある状況や出来事の捉え方を変え、新しい視点から意味づけする手法です。

「失敗経験」について聞かれた場合、その失敗がもたらした成長や学びを強調することで、挑戦意欲や問題解決力をアピールできます。

また、他の角度から見直し、過去の経験を前向きに再構成することで、柔軟な思考や対応力を示せます。

リフレーミングによって柔軟に考え直すことで、自己アピールの機会として回答を工夫しやすくなります。

自分の価値観を反映させる

自分の価値観を含めて答えることで、採用担当者に対して自分がどのような人材かをより明確に伝えられます。

面接で質問に答える際に自分の価値観を反映させるには、具体的なエピソードを交えて回答するのが効果的です。

一例として、志望動機やキャリアの選択理由を尋ねられたとき、自分が大切にしている信念や目指す方向性と関連づけて答えることで、回答が深みを増し、説得力が高まります。

また、「なぜそう考えるのか」や「なぜその行動を取ったのか」を自分の価値観や信念に基づいて説明することで、面接官に一貫した人柄や行動の根拠が伝わり、共感や信頼を得やすくなります。

関連するスキルや経験を強調する

関連するスキルや経験を強調することで、自分の実力や成果を具体的に示し、採用担当者に即戦力であることをアピールできます。

関連するスキルや経験を強調するには、まず質問の背景を理解し、求められるスキルに焦点を当てましょう。

そして、回答する際に具体的なエピソードを用いて、自分がそのスキルをどのように活かしたかを説明してください。

一例として、リーダーシップについて問われた場合、「〇〇プロジェクトで〇人のチームをまとめ、納期までに目標を達成した経験」などの具体例を交えると、面接官に実績が伝わりやすくなります。

これにより、単なるスキルの列挙ではなく、実践で培った力を効果的にアピールできます。

自信を持って率直に答える

面接で想定外の質問を受けたとき、自信を持って答え、前向きで堂々とした姿勢を示しましょう。

面接で自信を持って率直に答えるには、事前に自分の経験やスキルを整理し、強みや成果を明確にしておくことが重要です。

質問に答える際、あくまで自然体でありつつも、過去の経験から得た具体的な成果や学びを踏まえて話すと説得力が増します。

また、簡潔で分かりやすい表現を意識し、ゆっくりとした口調で話すことで安心感を与えます。

さらに、「こうした経験を生かして御社で貢献したい」という前向きな姿勢を伝えると、自信と誠実さを伝えられるでしょう。

ぐーの手をした男性
オッケーの手をした女性

今回は、面接で家族構成を聞かれる理由や答え方などを紹介しました。

家族構成を答えることで、仕事への意欲や責任感が強調されます。

とくに、家族を支えるために働く姿勢が示されることで、自己成長や安定した職場環境への希望が伝わり、ポジティブな印象を与えられるでしょう。

なお、頑なに拒否しているのにもかかわらず執拗に家族構成を聞いてきたり、家族構成を伝えなかったことで不採用となったりした場合は、切り替えて次の選考へ臨んでください。

 職パレロゴ

男性と女性

今回は、面接で家族構成を聞かれる理由や答え方などを紹介しました。

家族構成を答えることで、仕事への意欲や責任感が強調されます。

とくに、家族を支えるために働く姿勢が示されることで、自己成長や安定した職場環境への希望が伝わり、ポジティブな印象を与えられるでしょう。

なお、頑なに拒否しているのにもかかわらず執拗に家族構成を聞いてきたり、家族構成を伝えなかったことで不採用となったりした場合は、切り替えて次の選考へ臨んでください。

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