国家資格である自動車整備士とは？1級と2級で何が違う？

自動車整備士は、自動車を点検・修理・整備する専門職で、国家資格です。

車両の安全性や性能を確保するために、機械や電装、車体などの各部品を整備・修理します。

資格には1級、2級、3級があり、級位によって可能な業務が異なります。

という方のために自動車整備士技能検定の概要や等級、資格取得までの流れなどを解説します。

自動車整備士技能検定に合格した後に自動車整備士を目指したいという方は、こちらのコラムをご覧ください。

自動車整備士とは

  自動車整備士とは、自動車の点検や修理、整備を専門とする職業です。

安全で快適に車を運転できるようにする役割を担います。

整備士は、エンジンやブレーキ、サスペンションなど車の各部分をチェックし、不具合があれば修理・交換します。

また、車検の際の整備や故障時のトラブルシューティングなども自動車整備士の役割です。

自動車整備士は、自動車に関する知識だけでなく、電気系統やコンピュータ制御技術の知識も必要となるため、日々の技術向上が求められます。

自動車整備士になるには資格が必要

日本では、自動車の普及が進む一方で、交通事故や公害の問題が深刻化しており、自動車の安全性を確保し公害を防ぐ役割を持つ自動車整備士は、重要視されています。

自動車整備士として働くには、資格が必要です。

具体的には、国土交通省が実施する「自動車整備士技能検定試験」を受けなければなりません。

  自動車整備士技能検定は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会（日整連）が主催している「自動車整備技能登録試験」に合格すると、国土交通省の試験の一部が免除されます。

  自動車整備士技能検定は、1〜3級自動車整備士と特殊整備士の計4種類に分類されます。

また、自動車整備士技能検定は、学科試験（1級の場合は筆記及び口述試験）および実技試験の2つで構成されています。

具体的な試験概要は、以下のとおりです。

自動車整備士技能検定を受験するためには、下記のものを準備しなければなりません。

試験予約時や試験当日に忘れると受験できない可能性があるので注意しましょう。

自動車整備士技能検定は、級位によって難易度が異なります。

各試験の難易度は、以下のとおりです。

種類	申請者数（人）	受験者数（人）	合格者数（人）	合格率（%）
2級ガソリン	2,425	2,310	1,383	59.9
2級ジーゼル	385	370	185	50.0
2級2輪	640	617	494	80.1
3級シャシ	851	819	540	65.9
3級ガソリン	3,863	3,756	2,799	74.5
3級ジーゼル	286	269	166	61.7
車体	302	293	235	80.2
合計	8,752	8,434	5,802	68.8

引用元：令和6年度第1回 | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会（JASPA）

自動車整備士技能検定は、級位によって難易度だけでなく、合格基準も異なります。

各試験の合格基準は、以下のとおりです。

ここからは、自動車整備士技能検定合格までの流れを3つのステップに分けて紹介します。

これから自動車整備士技能検定を受験する方は、参考にしてください。

1級自動車整備士を取得するメリット【5つ】

2級自動車整備士でも自動車整備士の業務をこなせますが、キャリアアップを目指すのであれば1級自動車整備士の取得がおすすめです。

ここからは、1級自動車整備士を取得するメリットを5つ紹介します。

1級自動車整備士は、2級に比べて高度な知識と技術を有しています。

そのため、エンジンやシャシーの構造、電子制御システムの診断・修理といった複雑な整備に対応できます。

 1級自動車整備士資格は、自動車整備士としての専門的な技術力の証明となり、自動車メーカーやディーラー、部品メーカーでの技術職やサービスマネージャーなど、幅広い職種に応募できるでしょう。

また、指導的な役割も期待されるため、チームリーダーや管理職などのポジションにも挑戦しやすくなります。

1級自動車整備士を取得すると、専門知識や技術力が2級よりも高く評価されます。

そのため、昇給や昇格のチャンスが増えるでしょう。

 また、1級自動車整備士資格保有者は、高度な整備業務やトラブルシューティングだけでなく、部下の指導やマネジメントを任されることも多く、職場での重要な役割を担いやすくなります。

さらに、1級の資格は業界内で希少価値が高いため、企業も高いスキルを有する1級自動車整備士を給与や役職面で優遇する傾向があります。

1級自動車整備士は、2級よりも高度な技術と知識を有しています。

とくに、1級自動車整備士は、電子制御システムや複雑な故障診断にも対応できる専門家です。

 そのため、顧客に対しては信頼性の高い診断と的確な修理を提供でき、満足度の向上に寄与します。

また、雇用者にとっても、1級自動車整備士資格保有者はトラブルシューティングや後輩指導の面で欠かせない存在となり、職場全体の技術力向上につながるため、企業内でも信頼を得やすくなります。

 1級自動車整備士は、複雑な電子制御システムや高度な整備技術を習得しており、幅広い故障診断・修理に対応できます。

また、整備工場を運営する際に求められるレベルの高い技術力と信頼性を備えているため、独立後も顧客に安心感を提供できるでしょう。

さらに、1級の資格は業界内での専門性の証となり、営業面でも強みとなるため、事業の成功に必要な信頼と安定した集客が期待できます。

 業界最高レベルの資格である1級自動車整備士資格は、取得を通じて高度な研修や専門的な講習を受ける機会が増えます。

これにより、研修や講習で同じく1級自動車整備士を目指す技術者や講師、業界のリーダーと関わる場が多くなり、人脈が広がりやすくなるでしょう。

また、1級整備士は整備工場やディーラー内でも指導的立場となり、業界のネットワークを築くためのイベントや情報交換の場に参加する機会も多くなります。

そのため、自然と業界内の人脈が広がります。

1級自動車整備士を取得するデメリット【3つ】

1級自動車整備士を目指すことは、いいことばかりではありません。

ここからは、1級自動車整備士を取得するデメリットを3つ紹介します。

自動車整備士技能検定に合格するためには、高度な知識と実践的なスキルが求められます。

とくに、1級自動車整備士は、2級自動車整備士よりも難易度が高いため、より専門的な講座や教材が必要です。

そのため、1級自動車整備士を取得しようとすると、勉強に必要な費用が高額になります。

また、1級自動車整備士を取得するためには、2級自動車整備士としての実務経験が必要です。

 2級自動車整備士として働くためには、資格試験に合格しなければならないため、別途受験料などの費用が発生します。

1級自動車整備士の資格取得には、2級自動車整備士での実務経験が必要です。

2級自動車整備士の取得に手間取ると、1級自動車整備士を取得できる時期も遅くなります。

 さらに、1級自動車整備士は、2級自動車整備士に比べて学科・実技ともに難易度が高く、合格するための準備や勉強が長期化することもあります。

1級自動車整備士の資格を取得しても、職場や業界によっては即座に優遇されないことは、少なくありません。

 とくに、中小の整備工場では、効率的に作業をこなす実務力やスピードが求められ、資格だけでは評価に直結しないこともあります。

また、職場のポジションや昇進は年功序列や社内の評価制度に左右されることがあり、資格が待遇に反映されにくいケースも見られます。

自動車整備士に必要なスキル【6選】

自動車整備士になるためには、資格以外にも必要なスキルがあります。

ここからは、自動車整備士に必要なスキルを6つ紹介します。

自動車は、複雑な構造を持ち、多くの部品やシステムが相互に関係しています。

そのため、異常が発生した際には原因を迅速に特定し、適切に対処する能力が欠かせません。

また、エンジンや電気系統の不具合には、複数の要因が絡むこともあります。

的確な分析と判断ができなければ修理に時間がかかり、顧客に不便を与えるでしょう。

したがって、問題解決スキルがあれば効率的な整備が可能になり、整備士としての信頼性も向上します。

自動車の修理や点検には、ボルトの締め付けトルクや部品の取り付け位置など、細かい調整が求められる作業が多く、適切な工具を用いて正確に操作しなければ安全性や性能に悪影響が出る可能性があります。

工具の誤った使い方は、車両に損傷を与えるだけでなく、整備士自身の怪我につながるリスクもあります。

正確な操作スキルがあれば、安全で高品質な整備を提供でき、顧客からの信頼も向上するでしょう。

自動車の整備には、高温のエンジンや重い部品、電気機器など、怪我や事故のリスクが伴う要因が多くあります。

リスク管理能力があると、事前に危険な要素を特定し、適切な対策を講じて作業の安全を確保できます。

また、不慮のトラブルが発生した場合にも迅速に対処でき、作業中の事故を防ぐことも可能です。

こうした能力は、自分自身や同僚の安全確保だけでなく、顧客の信頼を得るためにも必要です。

自動車の構造は非常に複雑であり、部品の配置や組み立て方も精密に設計されています。

そのため、規定の手順に従わなければ不具合や故障を引き起こす可能性が高くなります。

また、手順を無視すると、重大な事故やトラブルへつながるでしょう。

正しい手順を理解し守ることで、効率的かつ安全な作業が可能となり、整備の信頼性や品質を確保できます。

整備作業は多くの場合、限られた時間内で完了することが求められます。

そのため、修理や点検の遅延が顧客の予定に影響することも少なくありません。

時間管理能力があると、各工程に必要な時間を適切に割り当てることで無駄を減らし、作業の流れをスムーズに維持できます。

また、複数の案件を効率よく処理できるため、サービスの質を高め、顧客満足度の向上にもつながります。

自動車整備士は、顧客に対して修理内容や作業の進行状況、費用について分かりやすく説明し、信頼を築かなければなりません。

また、職場では他の整備士や上司と連携しながら作業を進めるため、的確かつ迅速な状況報告や情報共有が求められます。

こうした顧客対応やチーム連携を円滑にするコミュニケーション能力が欠けていると、顧客の満足度が低下したり、作業のミスや遅延につながったりします。

自動車整備士求人の探し方【7つ】

ここからは、自動車整備士求人の探し方を7つ紹介します。

自動車整備士技能検定に合格し、本格的に自動車整備士を目指す方は、参考にしてください。

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