
近年では、転職ツールの多様化や転職に対する価値観の変化などにともない、さまざまな手法で転職する人が増えています。
出戻り転職もそのひとつです。
本記事では、出戻り転職を成功させるポイントや注意点などを解説します。
この記事を参考に、出戻り転職について理解し、キャリアの幅を広げましょう。

出戻り転職とは?

出戻り転職とは、以前に勤めていた会社を退職後、再び同じ会社に転職することです。
近年では「カムバック採用」や「アルムナイ採用」とも呼ばれています。
株式会社マイナビによると、2024年1月時点で出戻り転職を受け入れている企業は40.9%存在し、規模が大きいほど受け入れ割合が高い傾向があります。
現在実施している | 現在は実施していないが、今後検討している | 現在検討しておらず、今後も検討予定はない | わからない | |
割合(%) | 40.9 | 28.3 | 23.6 | 7.2 |
現在実施している | 現在は実施していないが、今後検討している | 現在検討しておらず、今後も検討予定はない | わからない | |
301名以上の企業(%) | 55.7 | 28.7 | 10.7 | 4.9 |
51~300名の企業(%) | 36.0 | 28.0 | 28.8 | 7.2 |
50名以下の企業(%) | 22.6 | 27.9 | 38.5 | 11.1 |
参照元:2024年1月度 中途採用・転職活動の定点調査|株式会社マイナビ
また、年代別に見ると、20代が出戻り転職を検討している割合が高い傾向がありました。
ある | したことはないが、今後検討している | したことがなく、今後も検討予定はない | |
割合(%) | 12.3 | 19.6 | 68.1 |
ある | したことはないが、今後検討している | したことがなく、今後も検討予定はない | |
20代(%) | 14.8 | 24.8 | 60.4 |
30代(%) | 12.5 | 19.6 | 67.9 |
40代(%) | 10.0 | 22.1 | 67.9 |
50代(%) | 12.9 | 14.0 | 73.1 |
参照元:2024年1月度 中途採用・転職活動の定点調査|株式会社マイナビ
出戻り転職のメリット【5つ】


一度退職したにもかかわらず、なぜ再雇用するのでしょうか?
このような悩みを解消するために、出戻り転職のメリットを5つ紹介します。
人柄や能力を理解されている
出戻り転職では、応募者が過去に同じ企業で働いた経験があるため、企業側はすでにその人の仕事ぶりやスキル、人柄を理解しています。
また、過去の勤務態度や実績が評価されていると、即戦力として期待されやすく、選考プロセスがスムーズに進みます。
教育・研修を短縮できる
出戻り転職では、応募者が基本的な業務フローや企業文化、社内ルールをすでに理解しています。
そのため、新入社員や未経験者に必要な基礎研修を省略でき、最小限の教育で即戦力として活躍できます。
また、業務に必要なスキルや知識も習得しており、配属後すぐに実務に取り組めるため、企業側の教育コストや研修期間を短縮できることも魅力です。
採用手続きが迅速に進む
通常の採用プロセスでは、書類選考や複数回の面接が必要です。
しかし、出戻り転職では、企業側はすでに応募者のスキルや適性を把握しており、選考が簡略化されることが多く、内定までの期間が短縮されることがあります。
また、入社後の適応期間も短く、スムーズに業務を再開できる点も迅速な採用につながります。
人間関係の構築が容易
出戻り転職では、すでに職場の同僚や上司と関係を築いていることが多く、新しい環境に適応する負担が軽減されます。
とくに、以前の勤務時に良好な人間関係を築いていた場合、再入社後もスムーズに協力しながら仕事を進められるでしょう。
また、社内の文化やコミュニケーションのスタイルを理解しているため、新しく入社する人よりも早く職場になじみやすい傾向があります。
ミスマッチが起こりにくい
出戻り転職では、応募者が企業文化や業務内容、職場環境をすでに理解しており、入社後のギャップが少なくなります。
また、企業側も応募者のスキルや働き方を把握しているため、新たな採用よりも適性を正確に判断しやすく、ミスマッチのリスクが低減します。
出戻り転職しやすい会社の特徴【5つ】


会社によって出戻り転職のしやすさは異なります。
ここからは、出戻り転職しやすい会社の特徴を5つ紹介します。
人材の多様性を重視している
人材の多様性を重視している会社は、異なる経験や視点を持つ社員を歓迎する傾向があります。
出戻り転職者は、他社での経験を積んだことで新たなスキルや知識を持ち帰るため、企業にとって価値のある存在とされています。
また、多様性を重視する企業は、柔軟な採用方針を持つため、過去の退職理由を問わず優秀な人材を再評価しやすい環境が整っていることが、出戻り転職しやすくする要因のひとつです。
人材育成に力を入れている
人材育成に力を入れている会社は、社員の成長を重視し、長期的な視点で人材を活用しています。
そのため、一度退職した社員が他社で新たなスキルや経験を積んだ後、再び戻ってくることを前向きに捉えやすい傾向があります。
育成した人材が再び活躍することで、教育コストの削減や即戦力の確保につながるため、出戻り転職を歓迎する企業文化が形成されやすいのです。
柔軟な働き方を推進している
柔軟な働き方を推進している会社は、社員の多様なキャリアやライフスタイルを受け入れる姿勢を持っています。
そのため、ライフイベントやキャリアの選択によって一度退職したとしても、再び働きやすい環境が整っています。
とくに、リモートワークやフレックスタイム制などの制度を導入している会社では、以前とは異なる働き方を採用しているため、出戻り転職しやすいでしょう。
離職率が低い
離職率が低い会社は、社員の定着率が高く、働きやすい環境が整っているため、出戻り転職しやすいとされています。
また、離職率が低い企業は、社員の能力や適性を長期的に評価し、組織に貢献できる人材を大切にする傾向があります。
そのため、一度退職した社員に対しても、過去の実績や信頼関係を考慮し、再雇用に前向きな姿勢をとってくれるでしょう。
社内コミュニケーションが活発
社内コミュニケーションが活発な会社は、社員同士のつながりが強く、円滑な人間関係が築かれています。
また、退職後も元同僚や上司との関係が続きやすく、再雇用の相談がしやすい環境が整っています。
さらに、オープンな企業文化が根付いているため、一度退職した人に対しても柔軟に対応し、経験やスキルを評価して再び迎え入れてくれるでしょう。
出戻り転職に向いている人の特徴【6つ】


出戻り転職には、向き不向きがあります。



どのような人が出戻り転職に向いているんですか?
という疑問を持つ方のために出戻り転職しやすい人の特徴を6つ紹介します。
在職中に目立った成果を上げていた
在職中に目立った成果を上げていた人は、企業に対して貢献度が高く、実績が評価されているため、出戻り転職に向いているとされています。
企業側は、既に能力が証明されている人材を再雇用することで、即戦力としての活躍を期待できます。
また、成果を上げた経験があることで、上司や同僚からの信頼も得やすく、再びスムーズに業務に適応しやすくなるでしょう。
円満に退職した
円満に退職した人は、会社や同僚との関係を良好に保ったまま退職しているため、出戻り転職に向いています。
企業側も過去にトラブルなく退職した社員の再雇用を前向きに検討するため、受け入れのハードルが低くなります。
また、円満退職した人は、職場の人間関係をスムーズに再構築しやすく、復職後も馴染みやすいため、即戦力として活躍できるでしょう。
在籍時の人間関係が良好だった
在籍時の人間関係が良好だった人は、職場の同僚や上司と信頼関係を築いていたため、出戻り転職に向いています。
企業側も過去に円滑なコミュニケーションを取れていた社員は、再雇用後もチームワークを発揮できると期待しやすく、受け入れに前向きになります。
また、既存の社員と良好な関係を維持していると、復職後もスムーズに職場に適応するため、即戦力として活躍できるでしょう。
転職先で新たなスキルや経験を積んだ
転職先で新たなスキルや経験を積んだ人は、以前より成長した状態で再び企業に貢献できるため、出戻り転職に向いています。
企業側は、既に社風や業務を理解しているうえに、新たな知識やスキルを持つ人材を採用することで、即戦力としての活躍を期待できます。
また、外部での経験を活かして業務の効率化や新しい視点を提供できるため、組織の発展にも貢献できるでしょう。
組織の変化や新しい環境に対して柔軟に対応できる
退職してから月日が経っていると、会社の体制や業務プロセスが変わっている可能性があります。
組織の変化や新しい環境に対して柔軟に対応できる人は、過去の経験に固執せず、新しい環境に適応できます。
また、柔軟な姿勢を持つ人は、再雇用後もスムーズに業務をこなし、周囲との協力関係を築けるため、出戻り転職に向いているといえるでしょう。
成長意欲が高い
成長意欲の高い人は、転職先で新たなスキルや知識を習得し、以前よりも高い能力を持って企業に貢献できるため、再雇用の際に評価されやすくなります。
また、変化に対して前向きな姿勢を持っているため、復職後も新しい業務や環境に柔軟に適応できるでしょう。
企業側も、成長した人材を即戦力として迎え入れやすいため、採用の可能性が高まります。
出戻り転職の流れ





出戻り転職したいけど、どのように始めればいいかわからない
という方のために、出戻り転職の流れを7つのステップにわけて解説します。
前回の退職理由を振り返る
| 出戻り転職をはじめるためには、前回の退職理由を振り返り、その問題が解決されているかを確認しましょう。
前回の退職原因が解決していないと、再入社しても同じ理由で再び退職を考えてしまいます。
また、自分自身の価値観やキャリアプランが変化しているかを見極めることで、本当に出戻り転職が最適な選択かを判断できます。
組織の変化や人間関係の現状を確認する
| 退職理由の整理とともに、組織の変化や人間関係の現状を事前に確認しましょう。
退職後に経営方針や部署の体制が変わっていることは珍しくありません。
また、上司や同僚が異動・退職することで、人間関係をいちから構築しなければならないこともあります。
事前に社内の状況をリサーチすることで、スムーズに適応できるようになります。
志望動機を明確にする
| 退職理由となった問題が解決していることを確認したら、志望動機を考えましょう。
なぜ再び同じ会社で働きたいのかを具体的に伝えることで、企業側に納得感を与えられます。


具体例1
前回在籍していた貴社での経験を通じて、組織の文化や業務内容には深い理解があります。
その中で自分の成長とともに、さらなる貢献ができると感じています。
今回は、以前よりも成長したスキルや知識を活かして、貴社のさらなる発展に寄与したいと考えています。


具体例2
前回在籍していた際に培った業務知識や社内の文化に強い親近感を抱いています。
今回はこれまでの経験を生かし、より高度なスキルを身につけて、貴社の成長に貢献したいと考えています。
また、前回退職後のキャリアを通じて新たな視野を得たため、改めて貴社での成長を実現できると確信しています。
採用担当者に好印象を持ってもらえるような志望動機を伝えるためには、入念な自己分析が必要です。
自己分析でお悩みの方は、こちらの記事をご覧ください。


企業へ再雇用を希望する旨を伝える
| 志望動機が定まったら、企業へ再雇用の意思を明確に伝えましょう。
企業へ再雇用を希望することを伝えるためには、まず元上司や人事担当者に連絡を取り、再入社を希望する理由や自身の成長を具体的に説明してください。
また、再雇用の可能性や採用プロセスについて確認し、必要な準備を整えることがスムーズな再入社につながります。
応募書類を提出する
出戻り転職では、通常の中途採用と同様に、応募書類の提出が求められます。
| 履歴書や職務経歴書では、退職後の成長やスキルアップした点を明確に伝えましょう。
とくに、前回の退職理由を簡潔に説明し、現在はどのように克服されたかは必ず明示してください。
また、再入社後にどのように貢献できるかを具体的に記載することで、企業側にポジティブな印象を与えられます。
応募書類では、過去の職歴を問われることがあります。
履歴書で職歴を書く方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


面接を受ける
| 書類選考を終えたら、面接を受けてください。
出戻り転職の面接では、前回の退職理由や再入社を希望する動機が重視されます。
退職理由については正直かつ前向きに説明し、問題が解決されていることを伝えましょう。
また、退職後にどのように成長したのかを具体的に示し、即戦力として貢献できる点をアピールしてください。
面接の流れなどを復習しておきたい方は、こちらの記事をご覧ください。


条件を交渉する
| ある程度採用手続きを終えたら、労働条件を交渉しましょう。
出戻り転職では、以前と同じ待遇になるとは限りません。
とくに、退職後にスキルアップや実績を積んだ場合は、それを根拠に待遇改善を交渉できます。
なお、強く主張しすぎると悪印象を与えるため、会社の事情も考慮しつつ、納得できる範囲で調整しましょう。
交渉のタイミングやコツを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


出戻り転職を成功させるポイント【3つ】





出戻り転職の成功率を高めたい!
という方のために、出戻り転職を成功させるポイントを3つ紹介します。
ポジティブな姿勢を示す
| 出戻り転職を成功させるためには、ポジティブな姿勢を示しましょう。
企業側は出戻り転職者に対して「また辞めるのでは?」という不安を抱えています。
前向きな意欲を伝えることで、企業に安心感を与えられるでしょう。
また、退職理由を振り返りつつ、成長した点や新たに貢献できるスキルを強調することで、即戦力としての価値を示せます。


具体例1
以前お世話になった際には、多くのことを学ばせていただきました。
その経験を活かし、さらに成長した自分が貢献できるよう努力したいと考えています。


具体例2
在籍時に培った業務知識や人間関係を活かし、スムーズに業務に取り組める自信があります。
新たな視点も加え、以前以上に会社へ貢献していきたいです。
前職の同僚や上司と連絡を取る
| 出戻り転職を成功させるためには、事前に前職の同僚や上司と連絡を取りましょう。
前職の同僚や上司と連絡を取ることで、社内の状況や組織の変化を把握できるだけでなく、再入社の可能性についてのリアルな意見を聞けます。
また、上司や同僚が推薦してくれることで、企業側の安心感が高まり、採用がスムーズに進みます。
柔軟な姿勢を示す
| 出戻り転職を成功させるためには、柔軟な姿勢を示しましょう。
出戻り転職では、以前と同じ環境で働けるとは限りません。
希望する部署や待遇が異なる場合でも、前向きに適応する意欲を伝えることで、企業側の評価が高まります。
また、柔軟な姿勢を持つことで、周囲との関係も円滑になり、スムーズに業務へ馴染めます。


具体例1
前回の在籍時とは異なる業務や役割であっても、自分の経験を活かしつつ、新たな視点で会社に貢献できるよう努力いたします。


具体例2
前職で培ったスキルに加え、新しい技術や業務にも積極的に取り組み、会社の成長に合わせて自身も成長し続けます。
出戻り転職の注意点【5つ】


出戻り転職は、いいことばかりではありません。
ここからは、出戻り転職の注意点を5つ紹介します。
再び同じ問題に直面する可能性がある
出戻り転職では、過去に退職した理由が解決されていないと、再び同じ問題に直面する可能性があります。
一例として、人間関係の悩みや業務の負担、評価制度への不満などがそのままであれば、再入社後も同様のストレスを感じるでしょう。
また、企業の方針や働き方が大きく変わっていないと、以前と同じ課題に悩まされます。
希望する部署や待遇で働けないことがある
出戻り転職では、企業側が必ずしも希望する部署や待遇で再雇用できるとは限りません。
企業の人員配置や経営状況によって、以前と異なる部署に配属されたり、希望とは異なる職務を任されたりすることがあります。
また、給与や役職についても、前職時と同等の待遇を保証されるわけではありません。
周囲からネガティブな印象を持たれる可能性がある
出戻り転職では、退職した経緯によっては、周囲から「またすぐ辞めるのではないか」、「会社への忠誠心が低いのでは」といったネガティブな印象を持たれます。
とくに、過去の退職理由が人間関係や勤務態度に関わるものであると、同僚や上司が再び受け入れることに慎重になるでしょう。
選考を辞退するのが難しい
出戻り転職では、企業側も採用を前向きに考えていることが多く、選考を辞退しにくい傾向があります。
とくに、元上司や同僚と直接やり取りをしている場合、辞退することで関係が悪化することを懸念し、断りづらくなるでしょう。
また、企業側がすでに受け入れ準備を進めていると、辞退すると迷惑をかけると感じ、心理的負担が大きくなります。
社内の人間関係の変化している可能性がある
退職している間に、社内の人間関係が変化することがあります。
人間関係が変化する要因として、上司や同僚が異動・退職している、新しいメンバーが増えている、組織の方針や文化が変わっているといったことがあげられます。
新たな環境に適応しようとすると、精神的負担が大きくなるため、注意しなければなりません。


ーまとめー
出戻り転職を成功させてキャリアアップを目指そう!


今回は、出戻り転職を成功させるポイントや注意点などを解説しました。
過去の経験を活かしてキャリアアップできる出戻り転職では、自分の成長と企業の変化に合わせた目標設定が必要です。
通常の中途採用同様、成功対策を入念に講じ、出戻り転職を成功させましょう!
まとめ
出戻り転職を成功させてキャリアアップを目指そう!


今回は、出戻り転職を成功させるポイントや注意点などを解説しました。
過去の経験を活かしてキャリアアップできる出戻り転職では、自分の成長と企業の変化に合わせた目標設定が必要です。
通常の中途採用同様、成功対策を入念に講じ、出戻り転職を成功させましょう!