
一般的には、同時に5〜10社ほどの応募が転職において適切な目安とされています。
しかし、応募数が多ければ多いほど、選考通過数が増え、すぐに転職活動が終わると思っていませんか?
応募数が多いと、選考対策にかけられる時間が少なくなり、選考通過率が低下します。
その一方で、応募数が少なすぎると、転職のチャンスを逃す可能性があります。

転職活動では、どのくらいの企業に応募するのが一般的なんです?



応募する企業をどのように選べばいいかわかりません。
という疑問を解消するために、平均応募数や効率的に転職活動を進める方法などを紹介します。
この記事を参考に、最適な数の企業にエントリーし、効率的に転職活動を進めましょう。


平均応募数はどのくらい?


パーソルキャリア株式会社によると、2024年にdodaを利用した人が転職活動を始めてから内定を獲得するまでに応募した企業数の平均は、約32社でした。
応募数 | 1社 | 2社 | 3社 | 4社 | 5社 | 6~10社 | 11~15社 | 16~20社 | 21社以上 |
割合(%) | 5.0 | 3.9 | 3.6 | 3.4 | 3.3 | 14.6 | 11.5 | 9.3 | 45.4 |
株式会社マイナビが公開している、書類選考や一次選考の平均通過率は30%、最終面接の平均通過率は50%という結果からも転職希望者が複数の企業へ応募する理由がわかります。
また、転職活動の方法も以前から利用されていたハローワークやリファラル採用などに加え、転職サイトや転職エージェントなど、オンラインツールの利用率も高まっています。
転職サイト | 職業安定所(ハローワーク) | 人材紹介会社(転職エージェント経由) | ヘッドハンティング | 縁故(コネ採用) | 紙媒体(折込、新聞、フリーペーパー、有料求人誌など) | 合同企業説明会(転職フェアなどのオンラインを含む) | |
情報収集で利用した(%) | 47.5 | 24.4 | 24.7 | 7.6 | 7.5 | 9.5 | 7.5 |
応募で利用した割合(%) | 40.5 | 18.7 | 21.4 | 6.8 | 7.0 | 6.6 | 5.8 |
応募数が多すぎるデメリット【4つ】


転職活動では、応募数のバランスが重要です。
ここからは、応募数が多すぎるデメリットを4つ紹介します。
業界・企業研究が不十分になる
転職活動で応募数が多すぎると、一社ごとにかけられる時間が限られます。
業界や企業の情報収集にかけられる時間が減ると、理解が浅くなります。
その結果、志望動機が表面的になったり、面接で具体性に欠けるような回答を言ってしまったりし、選考通過率が下がりかねません。
応募書類の質が低下する
応募数が多すぎると、1社ごとに書類を丁寧に仕上げる時間が不足します。
応募書類の作成にかける時間が減ると、志望動機や職務経歴書の内容が使い回しになります。
その結果、企業ごとの特徴や求める人物像に合ったアピールができず、書類選考の通過率が低下するでしょう。
スケジュール管理が難しくなる
応募数が多いと、応募書類の提出や企業からの連絡対応、複数の面接日程調整などが重なり、スケジュールが煩雑になります。
予定が詰まると、ダブルブッキングなどのリスクが高まります。
また、1社ごとの準備が疎かになることで、選考結果にも悪影響を及ぼしかねません。
精神的・身体的に疲弊する
多くの企業に応募すると、書類作成や面接準備、連絡対応などに追われます。
やるべきことが増えすぎると、時間的・精神的な余裕がなくなります。
また、不採用の通知も増えやすく、ストレスや自己否定感が蓄積しやすい状態に陥るでしょう。
さらに、就職活動が長期化すると、モチベーションが低下し、転職活動自体に疲れてしまうこともあります。
応募数が少なすぎるデメリット【4つ】


応募数は、多すぎるだけではなく少なすぎてもいけません。
ここからは、応募数が少なすぎるデメリットを4つ紹介します。
選択肢が限られる
応募数が少ないと、接点を持てる企業の数が限られます。
アプローチできる企業の選択肢が少ないと、必然的に理想的な職場に出会う確率が下がるでしょう。
また、比較対象が少なくなることで、企業選びが消去法になったり、条件に妥協せざるを得ない状況になったりします。
その結果、転職の満足度や成功率が低下します。
不採用のダメージが大きい
応募数が少ないと、各企業への期待が大きくなります。
その分、不採用になった際の精神的ダメージも大きくなります。
また、企業への思い入れが強くなるほど、結果に一喜一憂しやすく、立ち直りや次の行動への切り替えが難しくなるでしょう。
その結果、転職活動全体が停滞します。
内定獲得までに時間がかかる
応募数が少ないと、選考の機会自体が限られます。
そのため、書類選考や面接の結果を待つ時間が長くなりやすい傾向があります。
また、不採用が続くと、次の応募までに時間がかかるため、全体の転職活動期間がさらに長引くでしょう。
並行して進める数が少ないほど時間に余裕はありますが、効率は下がります。
自分の市場価値を把握しづらい
応募数が少ないと、企業からの評価や反応が限られます。
それにより、自分のスキルや経験が市場でどのように受け止められるかを客観的に判断しづらくなります。
また、複数の企業からのフィードバックを比較する機会が少ないため、適正年収や求められる能力の傾向も把握しにくくなるでしょう。
応募する企業を選ぶときのポイント【8つ】


適切な応募数を維持するためには、自分に合った企業を的確に見極める必要があります。
ここからは、応募する企業を選ぶときのポイントを8つ紹介します。
業種・事業内容
| 応募する企業を選ぶときは、業種や事業の内容をチェックしましょう。
業種や事業の内容を確認することで、自分のスキルや経験が活かせるか、興味を持って働けるかを見極められます。
また、業界の成長性や企業のビジネスモデルを理解することで、将来的な安定性やキャリアの展望も判断しやすくなります。
給与水準・福利厚生
| 応募する企業を選ぶときは、給与水準や福利厚生をチェックしましょう。
給与水準や福利厚生は、生活の安定や将来設計に直結するため非常に欠かせません。
希望する収入が得られるか、住宅手当・育児支援・退職金などの制度が整っているかを把握することで、長期的に安心して働ける環境かどうかを判断できます。
昇給・昇格
| 応募する企業を選ぶときは、昇給や昇格の条件や頻度などをチェックしましょう。
昇給や昇格の条件や頻度は、企業によって異なります。
昇給や昇格の条件や頻度などを確認することで、その企業で長期的に成長し続けられるかを判断できます。
また、成果が正当に評価される環境が整っていると、モチベーションを維持しやすく、将来的な収入アップやポジションの向上も期待できるでしょう。
反対に、評価制度が不透明だと、やりがいを感じにくくなるリスクもあるため、必ず事前に確認しましょう。
勤務地・通勤時間
| 応募する企業を選ぶときは、勤務地や通勤時間をチェックしましょう。
株式会社長谷工アーベストによると、日本全国の平均時間は、片道で39分とされています。
勤務地や通勤時間は、日々の生活リズムや仕事の継続性に大きく影響します。
通勤時間が長いと、疲労やストレスが蓄積しやすく、プライベートの時間も削られるでしょう。
また、転勤や異動の有無もライフプランに関わる重要な要素です。
無理のない働き方を実現するためにも、事前に勤務地や通勤条件をしっかり確認しましょう。
働き方
| 応募する企業を選ぶときは、働き方をチェックしましょう。
勤務時間や残業の有無、リモート可否などの働き方は、日々の生活の質や仕事への満足度に直結します。
自分のライフスタイルや価値観に合わない働き方を選ぶと、転職後もすぐに不満が募ってしまうでしょう。
柔軟な働き方が可能か、労働環境が整っているかを事前に確認することで、無理なく自分らしく働ける職場を選べます。
社風・職場の雰囲気
| 応募する企業を選ぶときは、社風や職場の雰囲気をチェックしましょう。
社風や職場の雰囲気は、日々の働きやすさや人間関係に直結します。
どれだけ条件や仕事内容がよくても、価値観や文化が合わないと、ストレスが溜まり、パフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
企業の雰囲気を事前に把握し、入社後のギャップや早期離職を防ぎましょう。
企業の将来性
| 応募する企業を選ぶときは、企業の将来性をチェックしましょう。
企業の将来性を確認することで、長期的に安定して働けるかを判断できます。
また、市場の成長性や企業の経営戦略、新規事業の展開などをチェックすることで、今後の事業継続性や発展性が明らかになります。
自身のキャリアと生活を守るためにも、以下の要因をもとに企業の将来性を見極めてください。
企業の将来性を判断するための主な要因
- 業界全体の成長性
- 事業内容のニーズ
- 経営陣のビジョンと事業戦略
- 財務状況・業績推移
- 顧客基盤・取引先の質
転勤・異動の頻度
| 応募する企業を選ぶときは、転勤や異動の頻度をチェックしましょう。
頻繁な転勤があると、家族や住環境に負担がかかったり、キャリアの方向性が定まらなくなったりします。
転勤や異動の頻度を確認することで、自分の生活やキャリア設計への影響を事前に把握できるでしょう。
自分のライフプランや働き方に合った環境かどうかを見極めるためにも、事前の確認が欠かせません。
効率的に転職活動を進めるための戦略【5つ】


転職活動を効率化するためには、応募数以外にも工夫すべきことがあります。
ここからは、転職活動を効率的に進めるためのポイントを5つ紹介します。
入念に自己分析する
| 転職活動を効率的に進めるためには、自分の強みや価値観を見つめなおしましょう。
自己分析を入念に実施することで、自分の志向やキャリアの方向性が明確になり、応募する企業や職種を的確に選べるようになります。
その結果、ミスマッチな応募を減らし、書類や面接でも一貫した説得力あるアピールが期待できます。
効率的に自己分析したい方は、以下の記事を参考にフレームワークを利用してください。


求人情報の収集ルートを最適化する
| 転職活動を効率的に進めるためには、求人情報の情報源を選別しましょう。
求人情報を集める方法には、以下のようなものがあります。
求人情報を集める主な手段
- 転職エージェント
- 転職サイト
- 企業の採用ページ
- ハローワーク
- スカウトサービス
- SNS
求人情報の収集ルートを最適化することで、自分に合った企業や好条件の求人を効率よく探せます。
また、求人情報の収集ルートを適切に使い分けることで、情報の偏りや見落としを防ぎ、選択肢を広げながら効率的に活動を進められます。
転職活動の情報収集について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


スケジュール管理を徹底する
| 転職活動を効率的に進めるためには、転職活動の進行状況を正確に把握しましょう。
転職活動では、複数の企業とのやり取りや面接が並行します。
スケジュール管理を怠ると、日程の重複や連絡漏れが発生します。
スケジュール帳やスケジュール管理アプリなどで転職活動の進捗を管理し、1社ごとの対応品質を向上させましょう。
応募書類と面接への回答テンプレートを準備する
| 転職活動を効率的に進めるためには、応募書類や面接用の回答を事前に用意しておきましょう。
応募書類や面接の回答テンプレートを事前に準備しておくことで、企業ごとに内容を調整しやすくなり、対応のスピードと精度が向上します。
また、毎回一から考える手間が省けるため、時間を節約でき、複数の選考にも余裕を持って臨めるでしょう。


応募書類の回答のテンプレート(志望動機)
貴社が取り組まれている〇〇事業や、〇〇という企業理念に強く共感し、自分の経験を活かして貢献したいと考え、志望いたしました。
前職では〇〇業務を担当し、【具体的な経験・成果】を通じて〇〇力を培いました。
今後は、貴社の一員としてさらに専門性を高めながら、〇〇分野で貢献していきたいと考えております。


応募書類の回答のテンプレート(職務経歴書冒頭)
●●業界にて〇年間勤務し、主に〇〇業務に従事してまいりました。
とくに、〇〇分野においては、【数値実績や業務経験】を通じて専門性を高めており、業務の効率化やチームの生産性向上にも貢献してきました。
課題解決力・対人調整力を強みとしており、今後は〇〇領域でさらなる成長を目指しております。


面接への回答のテンプレート(自己紹介)
はじめまして、〇〇と申します。
前職では〇〇業界で〇年間、主に〇〇の業務を担当しておりました。
具体的には、【業務内容1】や【業務内容2】を通じて、【成果・スキル】を身につけました。
今後は、これまでの経験を活かしつつ、〇〇の分野でさらに成長したいと考え、御社を志望しました。
よろしくお願いいたします。


面接への回答のテンプレート(強み)
私の強みは〇〇力です。
前職では、【具体的な業務】に取り組む中で、特に〇〇の場面でその強みを活かせました。
一例として、【具体的なエピソード】では、【課題】に対して〇〇を工夫し、【成果】を上げました。
今後もこの強みを活かし、御社の〇〇業務に貢献したいと考えております。
目標設定と振り返りを繰り返す
| 転職活動を効率的に進めるためには、計画と改善を定期的に繰り返しましょう。
目標設定と振り返りを繰り返すことで、自分の行動を可視化し、転職活動の進捗や課題を把握できます。
また、計画的に行動することで、無駄な時間や労力を減らせるだけでなく、うまくいかない原因を早期に修正できるでしょう。
モチベーション維持にもつながり、効率的な活動が継続しやすくなります。
転職活動の応募でよくあるQ&A


転職活動の応募では、応募数だけでなくさまざまな要因で悩んでいる方がいます。
ここからは、転職活動の応募でよくあるQ&Aを7つ紹介します。
同じ会社の別職種に同時応募してもいい?
同じ会社の別職種に同時応募しても問題ありません。
なお、企業によっては一度に一職種のみの応募しか認めていないこともあります。
複数の職種に応募したい場合は、事前に確認しましょう。
また、複数の職種に応募する場合は、なぜそれぞれの職種を希望するのかを明確にし、どちらにも本気度が伝わる志望動機を用意しましょう。
在職中だと応募できない企業はある?
在職中だと応募できない企業は、基本的にありません。
在職中に転職活動を進めている人は少なくありません。
もちろん、企業側も在職しながら手職活動している人がいる前提で対応しています。
なお、入社時期の調整が必要になる場合があるため、面接時に退職予定日や入社可能時期を伝えておきましょう。
一度不採用になった企業に再応募できますか?
一度不採用になった企業でも再応募できます。
なお、企業によっては再応募までに一定の期間(6か月〜1年程度)を設けている場合があります。
再募集を検討している方は、いつ頃応募したかを確認してください。
また、前回の選考から自分がどのように成長したか、改善した点が何かを明確にしてから応募しましょう。
応募前に企業へ直接問い合わせてもいい?
応募前に企業へ直接問い合わせても問題ありません。
仕事内容や応募条件に不明点がある場合は、丁寧な言葉遣いで確認することで、関心や意欲の高さが伝わり好印象につながることもあります。
なお、求人情報にすでに記載されている内容についての質問は避けるようにしましょう。
応募後、どれくらいで連絡が来ますか?
応募後の連絡は、一般的に1週間以内に届きます。
しかし、企業や時期によっては、2週間以上かかる場合もあります。
選考状況が気になる場合は、応募から7〜10日ほど経っても連絡がない場合に限り、丁寧に問い合わせてみてください。
また、連絡がこなくても焦らず冷静に対応することを意識しましょう。
複数の企業で内定が出たらどうすればいい?
複数の企業で内定が出た場合は、自分の希望や将来のキャリアに最も合う企業を選びましょう。
転職では、条件面(給与・勤務地・働き方)だけでなく、社風や成長環境も含めて総合的に判断してください。
また、辞退する企業にはできるだけ早めに、感謝の気持ちを添えて丁寧に連絡を入れるようにしましょう。


ーまとめー
自分に合ったペースで応募しよう!


今回は、平均応募数や効率的に転職活動を進める方法などを解説しました。
転職活動において、応募数は境遇によって異なるため、重要度が高いわけではありません。
一例として、働きながら転職活動を進めている方は、応募数が少なくなり、既に退職している方は応募数が多くなりやすい傾向があります。
転職活動で重要なのは、応募数ではなく、戦略的に動くことです。
応募数のデータはあくまで参考程度に捉え、自分に合ったペースで転職活動を進めてください!
まとめ
自分に合ったペースで応募しよう!


今回は、平均応募数や効率的に転職活動を進める方法などを解説しました。
転職活動において、応募数は境遇によって異なるため、重要度が高いわけではありません。
一例として、働きながら転職活動を進めている方は、応募数が少なくなり、既に退職している方は応募数が多くなりやすい傾向があります。
転職活動で重要なのは、応募数ではなく、戦略的に動くことです。
応募数のデータはあくまで参考程度に捉え、自分に合ったペースで転職活動を進めてください!