近年は、通年採用を導入する企業が増えたため、求職者が好きなタイミングで転職活動を始められるようになりました。
その一方で、転職活動を有利に進めるためにいつ頃から転職活動を始めればいいか悩んでいる方もいるでしょう。
転職活動を始めるのに最適な時期を知りたい!
転職しない方がいい時期ってあるんですか?
と考えている方のために、本記事では、転職市場にもとづいて考える転職に最適な時期や避けた方がいい時期などを紹介します。
この記事を参考に、自分の状況に合った転職時期を理解し、転職活動を成功させましょう。
転職時期にこだわるメリット【4つ】
転職活動を始めるうえで、転職時期にこだわっている方も少なくないでしょう。
そこで、ここからは転職時期にこだわるメリットを4つ紹介します。
競争率が下がる
転職市場では、時期によって求職者数が激しく増減します。
一例として、年明けから春先にかけては転職希望者が多いため、競争率が高くなりやすい傾向があります。
その一方で、夏場や年末などの時期は、転職活動を控える人が増えるでしょう。
企業が継続的に求人を出している時期は、ライバルが少ない環境で選考を受けられ、内定を得る可能性が高まります。
企業の採用意欲が高い
転職時期にこだわると、企業が採用活動を強化する特定のタイミングを狙えます。
一例として、新年度を迎える前の1〜3月や下半期開始前の8〜9月は、多くの企業が人員計画を見直し、欠員補充や新規ポジションの採用を急ぐ時期です。
また、年度内に採用を完了させたい企業は、秋から年末にかけて採用意欲を高めます。
このような時期を狙うことで、採用担当者の注目を集めやすくなり、自分のスキルや経験をアピールする機会が増えます。
退職時期を調整しやすくなる
転職時期にこだわると、企業の繁忙期や閑散期を考慮して計画的に転職活動を進められます。
多くの企業では、年度末や繁忙期に退職されると業務負担が増えます。
そのような時期に転職活動を進めると、スムーズな引き継ぎが難しくなるでしょう。
一方で、閑散期や業務が落ち着く時期に退職を申し出ると、引き継ぎの時間が確保しやすく、職場の理解も得られやすい傾向があります。
また、転職先の入社時期と現職の退職時期を調整しやすくなるため、無理なくスムーズにキャリアを移行できます。
気持ちを切り替えやすくなる
環境や季節が変化するタイミングは、心理的なリセットを促します。
一例として、新年度が始まる4月や年末年始は、多くの人が生活の節目と捉えるため、自然に「新しいスタートを切る」という意識が高まるでしょう。
また、ボーナス後や繁忙期後に転職することで、達成感や一区切りを感じやすくなり、前職への未練を軽減できます。
さらに、転職活動中も「この時期に決断したい」という目標が明確になるため、次のキャリアに向けた前向きな気持ちを保ちやすくなります。
転職時期にこだわるデメリット【3つ】
転職時期にこだわることは、いいことばかりではありません。
ここからは、転職時期にこだわるデメリットを3つ紹介します。
優良な求人を見逃す
求人募集のタイミングは、企業によって異なります。
多くの人が転職活動を始める繁忙期に限定すると、その時期以外に出される優良求人に目を向ける機会を失う可能性があります。
とくに、急な欠員補充やプロジェクトの立ち上げなどで、企業がオフシーズンに限定的な求人を出すケースでは、時期にとらわれているとその情報を見逃してしまいやすくなるでしょう。
転職活動を柔軟に進めると、他の求職者が注目していない時期の求人にもアクセスしやすくなり、より良い条件の転職が可能となります。
転職のチャンスを逃す
転職時期を決めていたとしても、新規プロジェクトが始まってしまったり、顧客とのトラブルが発生してしまうと、現職での業務が忙しくなります。
また、異動や出張などが入ると、転職準備が思うように進められなくなります。
このような事態に陥ると、事前に考えていた時期での転職ができなくなるため、転職開始が先延ばしになります。
転職活動が難航したときにストレスや不満が溜まりやすくなる
特定の時期に集中して活動すると、その期間に結果を出さなければならないという焦りが生じます。
また、希望の求人が見つからなかったり、選考で不採用が続いたりすると、次の活動機会が遠いと感じて落胆しやすくなります。
このような状況では、現職のストレスとも相まって、転職そのものに対するモチベーションが低下してしまうでしょう。
時期別に見る転職市場の動向
転職市場は、時期ごとに動向が異なります。
ここからは、転職市場の動向を時期別に解説します。
1~3月頃
1月から3月は、企業が新年度の組織体制を整えるため、年間を通じて最も求人数が多い時期です。
とくに、1月は新規求人数が増加し、2月から3月にかけては転職希望者の活動も活発化します。
求人数の増加に伴い、転職希望者も増えるため、競争が激化するでしょう。
この時期に転職を検討する方は、高い競争率を勝ち抜くような入念な事前準備や迅速な行動が求められます。
4月頃
4月は、多くの企業が新年度を迎える時期です。
人事担当者は、新入社員の受け入れや組織再編などで多忙を極めるため、企業の採用活動は一時的に落ち着くでしょう。
その一方で、求職者側では新年度の環境変化を機に転職を検討する動きがあります。
そのため、新規求職申込件数が増加する傾向があります。
このように、4月の転職市場は、企業の採用活動が減少する一方、求職者の活動が活発化するため、競争率が高くなるでしょう。
5~7月頃
5月から6月にかけては、企業の採用計画が始動し、求人数が増加する傾向があります。
一方、7月に入ると、企業は新卒のインターンシップなどに時間を割くため、新規求人の公開はお盆までやや控えるでしょう。
また、求職者側では夏のボーナス受給後に転職を検討する動きが活発化し、面接や選考に注力する時期となります。
このように、5月から7月の転職市場は、企業の採用活動と求職者の動きが交錯する時期と言えるでしょう。
8月頃
8月の転職市場は、企業の採用活動が一時的に鈍化する時期です。
パーソナルキャリア株式会社によると、doda転職における2024年8月の転職求人倍率は2.83倍となり、前月から0.09ポイント増加しました。
8月に企業の採用活動が鈍化するのは、企業が下半期の事業運営に向けて人材採用に本腰を入れ始める8月後半に向けて、事前準備を進めるためとされています。
9~10月頃
9月から10月にかけての転職市場は、企業の採用活動が活発化し、求人数が増加する時期です。
とくに、9月は営業職や販売サービス職、ITエンジニア職などの求人が増えるでしょう。
また、9月は10月入社を目指す求職者の転職活動が最終局面に入る時期であり、最終選考を迎える求職者が多くなります。
このように、9月から10月は転職活動するうえで、有利な時期といえるでしょう。
11~12月頃
11月から12月にかけての転職市場は、企業の採用活動が活発化し、求人数が増加する時期です。
とくに、11月は年末に向けて企業が年度内の目標達成や欠員補充を進めるため、求人が増加します。
株式会社スタジオテイルによると、11月の求人倍率は2.76倍となり、年間を通して求人数のピークを迎える12月と比較しても、11月は転職希望者にとってまだまだチャンスが多い時期といえるでしょう。
一方、12月は求職者の動きが鈍化する一方で、年始採用に向けて求人件数が増える傾向が見られます。
このように、11月から12月は転職活動に適した時期といえるでしょう。
年齢別に見る転職市場の動向
転職市場の動向は、年齢によっても異なります。
ここからは、年齢別に考える就職市場の動向を紹介します。
第二新卒
第二新卒とは、新卒入社後1〜3年以内に転職を希望する若手人材のことです。
第二新卒は、基本的なビジネスマナーや社会人経験を持ちつつ、柔軟性があり、企業文化に適応しやすいと評価されています。
また、少子化による若手人材の不足もあり、第二新卒向けの求人が増加しています。
一方で、専門的な経験が浅いことから、即戦力としての期待は限定的であり、企業は将来性やポテンシャルを重視して採用されるでしょう。
20歳代後半~30歳代前半
20代後半から30代前半の求職者は、即戦力としての能力が強く求められる年代と位置付けられています。
企業は20代後半から30代前半に対し、既に培われた専門知識や経験を活かし、すぐに業務に貢献できることを期待しています。
そのため、選考では実績や実務能力が重視されるでしょう。
一方で、キャリアチェンジを希望する場合、未経験分野への転職は難易度が高くなることもあります。
20代転職について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
30歳代後半~40歳代前半
30代後半から40代前半の求職者は、豊富な経験と専門知識を持つ即戦力として期待されます。
その一方で、年齢制限や高い給与条件がネックとなり、転職活動が厳しくなるでしょう。
また、30代後半から40代前半は、マネジメント経験や高度な専門性が求められることが多く、企業は組織への貢献度やリーダーシップを重視します。
30代転職について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
40歳代後半以降
40代後半以降の求職者は、即戦力として期待される一方で、若年層に比べて採用枠が限られます。
また、40代後半以降は、マネジメント能力や業界知識が求められるケースが多く、これまでの実績が重要視されます。
その一方で、企業側は長期的な成長よりも短期間での成果を求めることが多いため、自身のスキルを具体的にアピールしなければなりません。
また、柔軟性や新しい環境への適応力を示すことが転職成功の鍵となります。
40代転職について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
目的別に考える転職のタイミング【4選】
ここからは、転職のベストタイミングを転職によく見られる目的ごとに解説します。
第二新卒として転職したい
| 第二新卒の方が転職を検討する場合は」、1月から3月、または7月から9月がおすすめです。
1月から3月は、新卒入社者に合わせて求人が増える時期であり、企業は新年度に向けて人員を強化する傾向があります。
また、7月から9月は、年度途中の採用ニーズが高まるため、積極的に転職活動を始めるチャンスとなります。
これらの時期に転職活動を開始することで、より多くの求人情報の中から、希望する企業や職種を探せるでしょう。
ボーナスをもらいたい
ボーナスを受け取ってから転職するときは、ボーナス支給直後に退職の意思を伝えるのが最適です。
一般的に、夏のボーナスは6月下旬から7月上旬、冬のボーナスは12月中に支給されることが多いため、夏季は7月、冬季は12月に退職の意思を表明すると良いでしょう。
なお、会社の就業規則で退職の申し出期限が定められている場合が多く、通常は退職希望日の1〜3ヶ月前に通知しなければなりません。
そのため、ボーナス支給後に転職活動を開始する場合、夏季は5月頃、冬季は10月頃から準備を始め、支給後に速やかに退職手続きを進めるのが望ましいとされています。
具体的な支給日や退職手続きの詳細は、各企業の就業規則や雇用契約書で確認しましょう。
社会保険の負担を軽くしたい
| 社会保険料の負担を軽減したいときは、退職日を月末以外の日に設定しましょう。
社会保険料は月末時点で在籍している場合にその月分が発生します。
したがって、月の途中で退職すると、その月の保険料負担を回避できます。
一例として、9月30日(末日)に退職すると、9月分の保険料が発生しますが、9月29日以前に退職すると、9月分の負担は不要です。
なお、退職後の健康保険や年金の手続きが必要となるため、事前に確認しておきましょう。
確定申告したくない
確定申告とは、個人が1年間の所得を計算し、納税額を税務署に申告する手続きです。
| 確定申告を避けたい方は、年内に転職し、新しい勤務先で年末調整を受けましょう。
具体的には、12月31日までに新しい会社に入社し、年末調整の手続きを完了させてください。
年末調整は、その年の12月31日まで勤務している人が対象となるため、12月末に退職する人は原則として年末調整の対象外となります。
したがって、12月末までに再就職しない場合、確定申告しなければなりません。
転職活動は余裕を持って進め、年末までに新しい職場での勤務を開始できるよう計画しましょう。
確定申告について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
転職を避けるべきタイミング【5つ】
転職では、ベストタイミングだけでなく、避けるべき時期もあります。
ここからは、転職を避けるべきタイミングを5つ紹介します。
入社してすぐ
入社直後は、転職を避けましょう。
入社直後の転職は、採用担当者に「またすぐに辞めるのではないか」と懸念され、次の就職活動で不利になる可能性があります。
とくに、短期間での離職が続くと、定着性に疑問を持たれやすくなるでしょう。
また、在籍期間が短いため、十分な経験やスキルを積む前に退職することになり、即戦力としての評価が得られにくくなります。
さらに、早期退職の理由を面接で問われた際、納得のいく説明ができないと、採用担当者に良い印象を与えられなくなります。
現職の繁忙期
現職が繁忙期に差し掛かった場合は、転職を避けましょう。
繁忙期は業務量が増大し、上司や同僚も多忙を極めています。
この時期に退職を申し出ると、引き継ぎや業務調整が困難になり、周囲に多大な負担をかけるでしょう。
その結果、職場の人間関係に悪影響を及ぼし、円満な退職が難しくなります。
また、繁忙期は自身も多忙であるため、転職活動に十分な時間を割けません。
面接や企業研究の時間を確保せず、準備不足のまま選考に臨むことで、希望する転職先から内定を得られなくなるでしょう。
さらに、繁忙期に退職を強行すると、現職での評価が下がり、将来的なキャリアに影響を及ぼします。
大きなライブイベントの前後
結婚や出産など、大規模なライブイベントの前後も転職を避けましょう。
大きなライブイベントの前後は、個人の生活や仕事のスケジュールが忙しくなりやすくなります。
このタイミングでの転職活動は、応募書類の作成や面接準備、転職後の引継ぎ作業などに十分な時間を割けない可能性があります。
また、精神的にもイベントに向けた期待や終わった後の疲労感が重なり、冷静な判断が難しくなるでしょう。
さらに、企業側も繁忙期や休日を挟むため、採用スケジュールが通常と異なる場合があり、転職活動がスムーズに進まないことが予想されます。
志望する業界が不況に直面している
志望する業界が不況に直面している際の転職は、慎重な判断が求められます。
不況下では、企業がコスト削減を優先し、新規採用の抑制や採用条件の厳格化が進む傾向があります。
その結果、希望する職種や待遇での採用が難しくなる可能性が高まるでしょう。
また、不況が長引く場合、転職後の職場でリストラや事業縮小が発生するリスクも増します。
このような状況では、転職そのものがキャリアの安定を損なう可能性があるため、業界全体の回復を待ちつつ、スキルアップや情報収集に努めるほうが得策といえます。
体調がすぐれない
持病やストレスなどにより体調がすぐれないときは、転職活動を控えましょう。
体調がすぐれないときに転職を進めると、冷静で適切な判断ができず、希望に合わない職場を選んでしまうリスクが高まります。
転職活動は履歴書の準備や面接への参加、新しい職場環境への適応など、心身に負担がかかる作業が多いため、健康状態が悪いとその負担がさらに増えるでしょう。
また、面接時に体調不良が影響して本来の能力や魅力を十分にアピールできないことも考えられます。
無理して転職を急ぐよりも、まずは体調の回復を優先し、ベストな状態で転職活動に臨みましょう。
ハラスメントを受けているときは時期にこだわらず転職しよう
ハラスメントとは、職場や学校、家庭などのさまざまな場面で、相手に対して身体的、精神的、または社会的な苦痛や不利益を与える行為のことです。
近年多くの企業でハラスメントが問題視されています。
ハラスメントを受けている場合、精神的・身体的な健康が損なわれる可能性が高く、状況を放置することで回復が難しくなります。
時期にこだわって転職を遅らせると、さらなる被害を受けるリスクが高まり、キャリア全体にも悪影響を及ぼしかねません。
ハラスメントを受けているときは、自分を守ることを最優先に考え、適切なサポートを受けながら、安心して働ける環境へ早めに移行しましょう。
ーまとめー
ベストなタイミングで転職しよう!
今回は、転職に最適な時期を紹介しました。
時期によっては、希望の求人に出会えず、不利な条件や環境での就職につながる可能性があります。
そのため、転職の時期は、業界の動向や個人の状況を考慮し最適なタイミングを選ぶことが重要です。
業界・企業研究や自己分析などを踏まえて、ベストタイミングでの転職を目指しましょう!
まとめ
ベストなタイミングで転職しよう!
今回は、転職に最適な時期を紹介しました。
時期によっては、希望の求人に出会えず、不利な条件や環境での就職につながる可能性があります。
そのため、転職の時期は、業界の動向や個人の状況を考慮し最適なタイミングを選ぶことが重要です。
業界・企業研究や自己分析などを踏まえて、ベストタイミングでの転職を目指しましょう!