
職歴とは、過去に従事した正社員や契約社員などの雇用形態での勤務経験のことです。
採用担当者は、応募者の経験やスキル、適性などを評価する判断材料としてチェックしています。
本記事では、履歴書に職歴を書くときの注意点や職歴の書き方などを紹介します。
この記事を参考に、職歴の書き方を把握し、転職活動を成功させましょう。

履歴書に職歴を書く理由【3つ】

皆さんは、履歴書に職歴記載欄が設けられている理由をご存じですか?
ここからは、履歴書に職歴を書く理由を3つ紹介します。
経験やスキルを評価する
採用担当者は、職歴をもとに応募者がこれまでにどのような業務を経験し、どのようなスキルを身につけてきたか評価します。
職歴には、業界や職種、役割、具体的な成果が記載されています。
そのため、職歴を見ることで、応募者の専門性や実績を客観的に把握できるでしょう。
これにより、企業は求めるスキルや経験が応募者と一致しているかを判断し、即戦力としての可能性を見極められます。
企業や業務への適性を見定める
採用担当者は、職歴をもとに応募者が企業や業務に適しているかを見定めています。
過去の職務内容や経験を通じて、応募者が求めるポジションに必要な能力や知識を持っているかを判断できます。
また、これまでのキャリアから応募者の仕事への取り組み方や職場環境への適応力も推測可能です。
このように、職歴は、企業が組織の文化や業務内容に合った人材を採用するための重要な指標となります。
安定性や継続性があるかを確認する
採用担当者は、職歴をもとに応募者に安定性や継続性があるかを確認しています。
職歴の中での勤続年数や転職の頻度を通じて、応募者がひとつの職場や業務にどの程度コミットし続けられるかを判断できます。
安定して働ける人材は、長期的な信頼関係を築き、業務の継続性を確保する上で重要です。
そのため、職歴は採用における信頼性の指標のひとつとされています。
履歴書に職歴を書くときの注意点【6つ】

履歴書に職歴を書く場合、いくつか注意しなければならないことがあります。
ここからは、履歴書に職歴を書くときの注意点を6つ紹介します。
職歴以外で履歴書の注意点について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

正式名称で書く
| 職歴を書くときは、企業名や部署名を正式名称で書きましょう。
正式名称を使用することで、過去の勤務先がどのような業界や規模の企業であるかを正確に伝えられます。
また、略称や不正確な表記を避けることで、応募者の誠実さや注意力を示すことにもつながります。
西暦・和暦を統一する
| 履歴書に職歴を書くときは、西暦・和暦を統一しましょう。
異なる形式を混在させると、見映えが悪くなるだけでなく、誤解を招く恐れがあります。
また、形式を統一させることで、応募者の細部への配慮や整理整頓の能力を示せます。
入退社の年月は正確に書く
| 履歴書に職歴を書くときは、入退社の年月を正確に書きましょう。
不正確な入退社年月を書くと、信頼性を損ない、応募者の誠実性や注意力を疑われます。
また、正確な年月が明記されていないと、応募資格を満たしているかどうかの判断が困難になり、選考に悪影響を及ぼします。
空欄をつくらない
| 職歴がない場合は、空欄にせず「なし」などと書きましょう。
空欄があると、採用担当者はその期間に何をしていたのかを疑問に思い、不信感を抱きます。また、空白期間が長い場合、理由を説明しないことで評価が下がる可能性もあります。
たとえ、アルバイトや自己学習の期間だとしても、具体的に記載し、積極性や継続力を示し、ポジティブな印象を与えましょう。
省略記号を使わない
| 履歴書に職歴を書くときは、省略記号を使わないようにしましょう。
省略記号を使用すると、企業名や職務内容が不明確になり、応募者の経歴を正確に評価する妨げとなることがあります。
また、省略表記は応募者の誠実さや注意力に欠ける印象を与える可能性もあります。
誤字脱字をなくす
| 履歴書に職歴を書くときは、誤字脱字がないようにしましょう。
誤字脱字があると、履歴書の内容が正確に伝わらず、経歴や能力が誤解される可能性があります。
また、細かいミスは応募者の誠実さや仕事への意識が低いと判断される原因にもなります。
パターン別職歴の書き方【10選】

職歴は、人によって書き方が異なります。
ここからは、職歴の書き方をパターン別に10個紹介します。
現在も在職している
| 現在も在職中の場合、履歴書の職歴欄には勤務開始年月と企業名・部署名、具体的な業務内容を記載し、行末に「(在職中)」と明記しましょう。
また、最後に「以上」と記載して締めくくり、就業状況を正確に記載してください。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)に入社 |
〇〇業務の担当 | ||
(在職中) | ||
以上 |
働きながら転職したい方は、こちらの記事をご覧ください。

退職予定日が決まっている
| 退職予定日が決まっている場合は、履歴書の職歴欄には勤務開始年月や企業名、業務内容を記載し、行末に「〇年〇月退職予定」と明記しましょう。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)に入社 |
〇〇業務の担当 | ||
2024年 | 3 | 〇〇株式会社(〇〇部)退職予定 |
以上 |
トラブルなく退職予定日に退職したい方は、こちらの記事をご覧ください。

空白期間がある
| 空白期間がある場合は、履歴書の職歴欄にその期間の理由を簡潔に記載しましょう。
一例として、「〇年〇月~〇年〇月 学業専念」や「資格取得のための準備期間」などと具体的に説明すると、前向きな姿勢を示せます。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)に入社 |
〇〇業務の担当、 | ||
2024年 | 3月 | 資格取得のための準備期間 |
12月 | △△部へ異動 | |
△△プロジェクトの担当 | ||
(在職中) | ||
以上 |
異動や転勤がある
| 異動や転勤を経験した場合は、履歴書の職歴欄に勤務開始年月や企業名を記載し、異動・転勤の年月と新しい部署名や勤務地を明記しましょう。
そして、それぞれの業務内容を具体的に記載してください。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)に入社 |
〇〇業務の担当 | ||
2024年 | 3月 | △△部へ異動 |
転勤先での△△業務の担当 | ||
(在職中) | ||
以上 |
出向や転籍がある
| 出向や転籍を経験した場合は、履歴書の職歴欄に元の勤務先の企業名・業務内容を記載した後、出向や転籍先の企業名、出向・転籍年月、業務内容を明記ししましょう。
そして、それぞれの役割を具体的に記載します。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)に入社 |
〇〇業務の担当 | ||
2023年 | 3月 | △△株式会社(△△部)へ出向 |
△△業務の担当 | ||
2024年 | 3月 | □□株式会社(□□部)へ転籍 |
□□プロジェクトの管理 | ||
(在職中) | ||
以上 |
会社名が変更した
| 会社名が変更された場合は、履歴書の職歴欄に旧会社名を記載し、その後に「(現〇〇株式会社)」と現在の会社名を併記して変更があったことを書きましょう。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(現〇〇株式会社)(〇〇部)入社 |
〇〇業務の担当 | ||
(在職中) | ||
以上 |
自営業やフリーランスの経験がある
| 自営業やフリーランスの経験がある場合は、履歴書の職歴欄には開始年月、業種、具体的な業務内容を記載し、「個人事業主」や「フリーランス」として活動したことや得意先、成果を簡潔にまとめましょう。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)入社 |
〇〇業務の担当、〇〇プロジェクトの管理など | ||
2024年 | 3月 | 〇〇株式会社(〇〇部)退職 |
2024年 | 4月 | フリーランス(自営業) |
Webデザイナーとして△△プロジェクトを担当 | ||
以上 |
職歴の一部を省略したい
同じ企業に勤めている際、複数の部署へ頻繁に異動したという方も少なくないでしょう。
そのような場合には、職歴の一部を省略できます。
| 職歴の一部を省略する場合は、応募先企業に関連する職歴を優先して記載しましょう。
また、省略部分については「他数社勤務」など簡潔にまとめ、職務経歴書で補足してください。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部)入社 |
〇〇業務の担当、〇〇プロジェクトの管理など | ||
他数社勤務 | ||
以上 |
類似した職歴をまとめたい
| 類似した職歴をまとめる場合は、履歴書に「〇年〇月~〇年〇月 〇〇株式会社(※職務内容)」と記載し、その期間に携わった業務を簡潔にまとめて記載しましょう。
複数の職務がある場合は、共通項を整理して表現してください。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部、△△部)入社 |
〇〇部門では〇〇業務、△△部門では〇〇業務を担当 | ||
(在職中) | ||
以上 |
職歴が多くて書ききれない
| 職歴が多くて書ききれない場合は、最も重要で関連性の高い経験を簡潔に書きましょう。
複数の職歴がある場合は、職種や業務内容が類似しているものをまとめ、時間軸に沿って、どの業務を経験したのかを簡単に書いてください。
一例として、同じ会社内で異動や転勤があった場合、その変更の時期や担当業務を簡潔に記入し、業務内容が重複する場合はまとめて記載します。
それでも多くの職歴を記載しきれない場合、履歴書に書ききれなかった詳細な職歴については、職務経歴書に記載し、面接時に詳細に説明しましょう。

記入例
2022年 | 4月 | 〇〇株式会社(〇〇部、△△部)入社 |
〇〇業務の担当、〇〇プロジェクトの管理など | ||
〇〇業務の担当、〇〇プロジェクトの推進、△△業務の企画運営などを担当。詳細は面接時にご説明させていただきます。 | ||
(在職中) | ||
以上 |
アルバイトのみの場合は履歴書に職歴を書かなくてもいい

職歴欄は、正社員としての勤務経験を記載する場所とされています。
そのため、基本的にアルバイト経験を職歴として履歴書に記載する必要はありません。
なお、アルバイトで得た経験やスキルが志望企業の業務内容や求める能力に直接関連しており、自己PRとして有効である場合は、職歴欄ではなく自己PR欄や志望動機欄でその経験をアピールすることが望ましいでしょう。
職歴の書き方を企業に質問しても問題ないか?

職歴の書き方を企業に質問することは問題ありません。
むしろ、正確で適切な履歴書を提出するために、積極的に確認する姿勢は評価されることがあります。
企業によっては求める形式や重点を置くポイントが異なるため、事前に確認することで不明点を解消し、企業の期待にそった内容で記載できます。
また、質問を通じて応募者の誠実さや丁寧さをアピールする機会にもなるでしょう。
なお、質問内容は具体的かつ簡潔にまとめ、礼儀を忘れないようにしましょう。

具体例1
件名:
職歴の記載についてのご質問(応募者:〇〇)
本文:
〇〇株式会社
採用ご担当者様
お世話になっております。
このたび、貴社の〇〇職に応募を希望しております〇〇と申します。
履歴書の職歴欄について質問がございます。
アルバイト経験を記載する場合、どのように記載すればよろしいでしょうか。
企業名や勤務期間の表記方法について具体的なご指示がございましたら教えていただけますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
〇〇

具体例2
件名:
職歴の記載方法についてのご相談
本文:
◯◯株式会社
採用ご担当者様
初めまして、△△と申します。
貴社の求人に応募を検討しておりますが、履歴書および職務経歴書の「職歴」の記載方法について、ご相談したいことがございます。
私の職歴には類似した職務内容の経験が複数ございますが、これらをどのように簡潔にまとめて記載すればよいか悩んでおります。
貴社の採用基準に適した形で正確にお伝えしたいと考えておりますので、もし具体的なご指示やアドバイスがございましたら、ご教示いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。
◯◯
職歴は職務経歴書に書くときもある

職務経歴書とは、応募者の職歴や業務内容、実績を詳しく記載し、スキルや経験をアピールするための書類です。
新卒の就職活動では、新卒者が社会人経験を持たないため、職務経歴書の提出は基本的に不要とされています。
なお、企業によってはアルバイトやインターンシップの経験を知りたい場合があり、職務経歴書の提出を求められることもあります。
| 職務経歴書を提出する必要があるか知りたいときは、応募要項を確認し、必要に応じて企業に問い合わせましょう。
採用担当者に好印象を与える職種【10選】

職種によっては、採用担当者が好印象を受けるものがあります。
ここからは、採用担当者が好印象を受ける職種の代表例を10個紹介します。
営業職
営業職は、コミュニケーション能力や課題解決力、目標達成意識など、企業が求める基本的なスキルが身につく職種です。
履歴書に営業職の経験が記載されていると、これらの能力を持つ可能性が高いと評価されます。
また、取引先や顧客との関係構築経験があることは、社会人としての実務能力や責任感をアピールする要素ともなります。
接客業
接客業は、コミュニケーション能力や顧客対応力、サービス精神といった社会人に必要なスキルを養う職種です。
履歴書に接客業の経験を記載すると、顧客のニーズを的確に捉え、柔軟に対応する力を持つと評価されます。
また、クレーム対応やチームワークの経験がある場合は、問題解決能力や協調性を示す証拠としても評価され、実務に直結するスキルをアピールできます。
事務職
事務職は、正確性や効率性が求められる職種です。
書類作成やデータ入力、スケジュール管理といった基本的な業務スキルを培えます。
履歴書に事務職の経験を記載すると、正確さや責任感、タイムマネジメント能力があることをアピールできます。
また、サポート役としての役割を果たす中で培った気配りや協調性も評価され、実務面で即戦力として期待されるでしょう。
教育関連職
教育関連職は、コミュニケーション能力や指導力、忍耐力が求められる職種です。
人をサポートし、育成するスキルが身につきます。
履歴書に教育関連職の経験を記載すると、採用担当者に対して、対人能力や責任感、状況に応じた柔軟な対応力をアピールできます。
また、相手の成長を考えながら行動する姿勢や、物事を計画的に進める能力も評価され、チームワークや課題解決力を発揮することを期待されるでしょう。
イベントスタッフ
イベントスタッフは、多様な人々とのコミュニケーションやチームでの協働が求められる職種です。
イベントスタッフの経験を履歴書に記載することで、採用担当者に対し、柔軟な対応力や調整力、迅速な判断力をアピールできます。
また、突発的な問題にも対応する力や、長時間の業務をやり遂げる忍耐力などもアピールできるでしょう。
さらに、イベントの成功に貢献する達成感を経験していることから、責任感や成果を重視する姿勢も評価されます。
コールセンター業務
コールセンター業務は、顧客対応力や問題解決能力が問われる職種です。
コールセンターの経験を履歴書に記載することで、丁寧なコミュニケーションスキルや顧客ニーズを的確に把握する力をアピールできます。
また、苦情対応やクレーム処理を通じて培った冷静さやストレス耐性も評価されます。
さらに、指示を迅速かつ正確に実行する能力や、チームで業務を遂行する協調性も伝わり、好印象を与えられるでしょう。
IT関連サポート
IT関連サポートの経験は、技術的な知識やトラブルシューティング能力が求められる業種です。
IT関連サポートを通じて培った問題解決力や迅速な対応能力は、業務効率化に貢献できるスキルとして評価されます。
また、顧客や社内の利用者とのコミュニケーションを通じた調整力や、丁寧で正確なサポート提供の経験も、採用担当者に安心感を与えます。
クリエイティブ職
クリエイティブ職の経験は、企画力や発想力、自己表現力などが求められる職種です。
クリエイティブ職の経験を履歴書に記載することで、独自のアイデアを形にし、視覚やデザインを通じて他者にメッセージを伝える能力をアピールできます。
また、柔軟な思考や課題解決力を持ち、プロジェクトの進行やチームでの協働経験もアピールポイントになります。
通訳・翻訳
通訳・翻訳の経験は、高い語学力や文化理解力が求められる職種です。
通訳・翻訳の経験を履歴書に記載することで、正確かつ迅速に情報を伝達する能力や、言語のニュアンスを的確に解釈するスキルを習得していることをアピールできます。
また、異なる文化や背景を持つ人々と円滑にコミュニケーションを図る力や、丁寧で責任感のある仕事ぶりも評価されます。
マーケティング
マーケティングは、データを基に市場や顧客ニーズを的確に把握し、戦略立案に活用する力が求められる職種です。
また、調査過程でのコミュニケーション力や、詳細な作業を正確に遂行する責任感もアピールポイントになります。

ーまとめー
職歴を適切に書き採用担当者に好印象を持ってもらおう!

今回は、履歴書に職歴を書くときの注意点や職歴の書き方などを解説しました。
履歴書の職歴は、過去の経験やスキルを示し、採用担当者が適性を判断する重要な手がかりとなります。
正しいマナーで履歴書に職歴を書き、採用担当者から好印象を受けましょう!
まとめ
職歴を適切に書き採用担当者に好印象を持ってもらおう!

今回は、履歴書に職歴を書くときの注意点や職歴の書き方などを解説しました。
履歴書の職歴は、過去の経験やスキルを示し、採用担当者が適性を判断する重要な手がかりとなります。
正しいマナーで履歴書に職歴を書き、採用担当者から好印象を受けましょう!