施工管理技士は、建設現場での施工計画、進行管理、安全管理などに必要な知識があることを証明する専門資格です。
施工管理技士の資格を取得することで、給与UPやキャリアの向上が期待できます。
しかし、未経験で施工管理技士を目指す方の中には、施工管理技士がどのような資格かわからない方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では施工管理技士の概要や合格率、取得までの流れなどを解説します。
この記事を参考に、施工管理技士について理解し、建築業界でのキャリアアップを目指しましょう。
施工管理技士とは?
施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格です。
建設工事における管理能力を認定することを目的としています。
施工管理に欠かせない施工管理技士を取得することにより、給与の増加やキャリアアップ、公共工事入札時の経営事項審査での加点など、実務や待遇面で大きなメリットがあります。
施工管理について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
施工管理技士の種類【6つ】
施工管理技士は、工事対象によって資格が異なります。
ここからは、6つの施工管理技士資格を紹介します。
6つの施工管理技士資格
- 建築施工管理技士
- 電気施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
建築施工管理技士
建築施工管理技士は、建設工事現場で施工計画の作成や工程管理、品質管理、安全管理などを総合的に担う国家資格です。
建築施工管理技士は、1級と2級にわかれています。
1級は、特定建設業の営業所における専任技術者や現場の監理技術者として認められる資格で、2級は一般建設業の営業所の専任技術者や現場の主任技術者としての役割を果たせることを証明します。
2023年に実施された各試験の合格率は、以下のとおりです。
第一次検定の合格率(%) | 第二次検定の合格率(%) | |
1級 | 41.6 | 45.5 |
2級 | 49.4 | 32.0 |
参照元:過去の受検状況・検定問題・合格基準|建築・電気工事施工管理技術検定 | 一般財団法人建設業振興基金 試験研修本部
建築施工管理技士は、建築物の安全性や品質を確保し、工事の円滑な進行を支える重要な役割を担っています。
電気施工管理技士
電気工事施工管理技士は、建設業法で定められた国家資格のひとつです。
建設工事における電気設備の施工管理を担うのに必要な知識を身につけることを目的としています。
電気工事施工管理技士は、1級と2級に分かれています。
2023年に実施された各試験の合格率は、以下のとおりです。
第一次検定の合格率(%) | 第二次検定の合格率(%) | |
1級 | 40.6 | 53.0 |
2級 | 43.8 | 43.0 |
参照元:過去の受検状況・検定問題・合格基準|建築・電気工事施工管理技術検定 | 一般財団法人建設業振興基金 試験研修本部
1級を保有していると、特定建設業の営業所の専任技術者や各現場の監理技術者、2級を保有していると、一般建設業の営業所の専任技術者や各現場の主任技術者として従事できます。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格です。
土木工事現場における施工管理に必要な知識を身につけることを目的としています。
土木施工管理技士は、1級と2級に分かれており、1級は監理技術者、2級は主任技術者として従事できます。
2024年に実施された試験の合格率は、以下のとおりです。
合格率(%) | |
1級 | 44.4 |
2級 | 52.5 |
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士は、建設業法に基づく国家資格です。
建築物の配管工事における施工計画の作成や工程・安全・品質管理に必要な知識を身につけることを目的としています。
管工事施工管理技士にも1級と2級があり、1級取得者は特定建設業の営業所における専任技術者や現場の監理技術者、2級取得者は一般建設業の営業所の専任技術者や現場の主任技術者として認められます。
2024年に実施された試験の合格率は、以下のとおりです。
合格率(%) | |
1級 | 52.3 |
2級 | 66.4 |
造園施工管理技士
造園施工管理技士は、国土交通省が管轄する国家資格です。
公園や庭園、緑地などの造園工事における計画、実施、監理を担うのに必要な知識を身につけることを目的としています。
造園施工管理技士は、1級と2級に分かれており、1級取得者は特定建設業の造園工事を担当できる監理技術者として認定され、2級取得者は一般建設業の造園工事における主任技術者として活躍できます。
2024年に実施された試験の合格率は、以下のとおりです。
合格率(%) | |
1級 | 45.4 |
2級 | 55.1 |
参照元:技術検定試験 合格発表公表資料|一般財団法人 全国建設研修センター
主な業務内容は、造園計画の策定、施工監理と品質管理、植栽計画と植物の管理などです。
近年は、都市部での緑化需要の高まりや環境への関心の増加にともない、造園施工管理技士の需要は拡大しており、将来性の高い資格とされています。
建設機械施工管理技士
建設機械施工管理技士は、建設現場で使用される重機や建設機械の操作・管理を専門とする国家資格です。
1級と2級に分かれており、1級は各種建設機械を用いた施工における指導・監督的業務を担当し、2級は特定の機械を用いた施工において運転・施工の業務に携わります。
2024年に実施された各試験の合格率は、以下のとおりです。
第一次検定の合格率(%) | 第二次検定の合格率(%) | |
1級 | 27.8 | 48.4 |
2級 | 41.2 | 51.3 |
参照元:令和6年度建設機械施工管理技術検定の合格発表|一般社団法人 日本建設機械施工協会
具体的な業務内容としては、施工管理業務、建設機械の取扱、機械の検査、工事計画書の作成や現場の安全管理、進捗確認、品質管理などがあります。
また、建設機械施工管理技士は、自動的に特定自主検査員資格が与えられるため、建設機械の検査を実施できます。
施工管理技士を取得するまでの流れ【6STEP】
ここからは、施工管理技士を取得するまでの流れを6つのステップにわけて紹介します。
受験資格を確認する
施工管理技士を受験するためには、受験資格を満たさなければなりません。
一例として、1級建築施工管理技士では、第一次検定では試験実施年度に満19歳以上となっていること、第二次検定では以下の要件のいずれかを満たしていることが条件として設定されています。
区分 | 必要実務経験 |
1級第一次検定合格者 | 1級建築第一次検定合格後、実務経験5年以上 |
1級建築第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 | |
1級建築第一次検定合格後、監理技術者補佐としての実務経験1年以上 | |
1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 | 2級建築第二次検定合格後、実務経験5年以上 |
2級建築第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 | |
1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 | 2級建築第二次検定合格後、実務経験5年以上 |
2級建築第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 | |
一級建築士試験合格者 | 一級建築士試験合格後、実務経験5年以上 |
一級建築士試験合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
参照元:1級建築施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金
受験資格については、試験の主催団体が公式サイトで公開しているため、事前にチェックしておきましょう。
願書を取り寄せる
受験資格を満たしていることを確認したら、申し込みに必要な願書を取り寄せましょう。
願書は、以下のような団体がインターネットや郵送で受け付けています。
試験 | 団体 |
建築施工管理技士 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
電気施工管理技士 | 一般財団法人 建設業振興基金 |
土木施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
管工事施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
造園施工管理技士 | 一般財団法人 全国建設研修センター |
建設機械施工管理技士 | 一般社団法人日本建設機械施工協会 |
試験によって願書の発売期間や申し込み期間が異なるため、注意しましょう。
応募書類を準備する
願書の準備が整ったら、受験に必要な書類を準備しましょう。
一例として、1級土木施工管理技士を受験するためには、以下のような書類を準備しなければなりません。
1級土木施工管理技士の受験に必要な書類
- 住民票
- 照明用写真
- 振替払込受付証明書
- 2級第二次検定の合格通知書または合格証明書の写し
- 実務経験証明書
なお、再受験の場合は、住民票や実務経験証明書などが不要な場合があるので注意しましょう。
第一次検定を受験する
申し込みが済んだら、試験を受けます。
施工管理技士の第一次検定は、施工管理技士資格取得のための最初の試験で、主に基礎的な知識や技術が問われます。
第一次検定に合格すると、施工管理技士補として認定され、第二次検定の受検資格を得られます。
第二次検定を受験する
第一次検定に合格したら、第二次検定を受験します。
施工管理技士の第二次検定は、実務経験に基づく記述式問題を中心に、施工管理技術者としての実践的な能力を評価する試験です。
2級では選択した種別に応じた問題、1級では施工経験記述や安全管理、工程管理などの問題が出題されます。
合格通知書を受け取る
試験終了後、合格不合格を問わず主催団体から通知が送付されます。
第一次検定と第二次検定に合格すると、主催団体から合格通知書が郵送されます。
合格証明書が必要な方は、合格通知書に同封されている申請書で申請してください。
施工管理技士の勉強方法【5選】
施工管理技士を受験したいけどどのように勉強すればいいかわからない。
という方のために、施工管理技士の勉強方法を5つ紹介します。
通学講座
|専門家の手厚いサポートを受けながら施工管理技士について勉強したいという方には、通学講座がおすすめです。
通学講座では、専門の講師から直接指導を受けられるため、短時間で効率的に学習内容を理解できます。
また、決まった日程や時間に通学することで、学習のリズムをつかみやすく、継続的に学習できるでしょう。
さらに、同じ目標を持つ仲間と一緒に学ぶことで、モチベーションを高めあったり、情報交換したりできます。
一方で、通学講座には費用や時間的な制約があるため、受講する前に確認しましょう。
通信講座
近年は、通学講座だけでなく通信講座を導入している資格スクールが増えています。
とくに、忙しい社会人や地方に住んでいて近くに資格スクールがないという方に人気があります。
近年の通信講座は、スマートフォンやパソコンで学習でき、通勤中などの隙間時間を活用して勉強を進められることが大きな利点です。
また、オンライン通信講座では、最新の出題傾向をもとにポイントを絞った丁寧な学習スタイルが提供されることもあります。
一方で、通信講座は自己管理が求められるため、学習計画の立案やモチベーションの維持が重要となります。
受講する講座を選ぶ際には、教材内容やサポート体制、費用などを比較検討し、自分の学習スタイルや生活リズムに合ったものを選びましょう。
参考書
参考書を用いた独学は、一般的な勉強方法のひとつです。
参考書は試験範囲を網羅しており、自分のペースで基礎から応用までの知識を体系的に学べます。
とくに、過去問題集を繰り返し解くことで、出題傾向を把握し、効果的に試験対策を進められるでしょう。
一方で、参考書は講師からのサポートがないため、疑問点は自分で解決しなければなりません。
そのため、参考書を選ぶときは、解説が丁寧でわかりやすいものを選びましょう。
また、学習計画を立て、定期的に進捗を確認することで、効率的な学習が期待できます。
さらに、必要に応じて模擬試験やオンラインの学習ツールを併用することで、理解を深められます。
YouTube
|YouTubeを活用した施工管理技士の勉強は、実務経験が少ない学習者におすすめです。
YouTubeを活用すると、動画形式の解説により、複雑な施工手順や専門知識を具体的に理解しやすくなります。
また、無料で多様なコンテンツにアクセスできるため、コストを抑えつつ学習範囲を広げられるでしょう。
さらに、再生速度の調整や繰り返し視聴などの機能を利用することで、自分のペースで学習できます。
なお、YouTubeにアップロードされている動画の中には、情報が誤っていたり、内容が古い動画が混じっています。
YouTubeを活用するときは、信頼できるチャンネルや公式の情報源を利用しましょう。
スマホアプリ
スマホアプリを活用することで、効率的に施工管理技士の学習を進められます。
スマホアプリは、過去問題や模擬試験を収録しています。
通勤時間や休憩時間などの隙間時間を利用することで、手軽に学習を進められるでしょう。
また、解説付きの問題や、苦手分野を重点的に学習できる機能を備えたアプリも多く、個々の学習ペースや理解度に合わせて柔軟に対応できます。
さらに、学習の進捗状況を管理する機能を持つアプリもあり、目標設定や達成度の確認が容易です。
一方で、スマートフォンの小さな画面では長時間の学習が負担となる場合もあるため、適度な休憩を取り入れながら活用しましょう。
施工管理技士求人の探し方【7つ】
施工管理技士に合格したら、施工管理技士を募集している企業の求人に応募する必要があります。
しかし、未経験で施工管理技士へ転職する方やはじめて転職する方の中には、どのように求人を探せばいいかわからないという方もいるでしょう。
そこで、ここからは施工管理技士求人の探し方を7つ紹介します。
転職エージェント
転職エージェントとは、求職者に対して求人紹介や応募書類の添削、面接対策などの転職支援サービスを無料で提供する人材紹介会社のことです。
転職エージェントは、一般に公開されていない非公開求人を扱っています。
そのため、より多くの選択肢から最適な職場を見つけられるでしょう。
さらに、転職エージェントは、応募者のスキルや経験を考慮し、最適な求人を紹介してくれるため、個々のキャリアに合った転職が実現しやすくなります。
また、履歴書や職務経歴書の作成支援、面接対策などのサポートも提供しているため、はじめての転職活動や面接に不安を感じる方にとって心強い味方となります。
さらに、給与や勤務条件の交渉を代行してくれるため、自分では言い出しにくい要望も専門家を通じて伝えられ、満足度の高い転職を実現できるでしょう。
転職サイト
転職サイトは、求職者が自ら求人情報を検索し、応募まで進められるサービスです。
転職サイトを活用することで、自分の経験やスキルに合った求人を効率的に見つけられます。
とくに、施工管理や建築業界に特化した転職サイトは、専門的な求人情報を豊富に取り扱っているため、自分の希望に合った求人を探しやすいでしょう。
ハローワーク
ハローワークは、厚生労働省が運営する公共職業安定所です。
求職者に対して職業紹介や雇用保険の手続きなどをサポートしています。
ハローワークで掲載されている求人情報は、無料で閲覧できるため、費用をかけずに多くの求人情報を収集できます。
さらに、就職活動について職員へ相談ができるため、求職者は自身の希望や状況に合わせたサポートを受けられるでしょう。
また、ハローワークは地域密着型の求人情報を多く取り扱っているため、地元での施工管理技士として働きたい方におすすめです。
リファラル
リファラル(Referral)とは、社員や取引先など信頼できる人からの紹介によって人材を採用することです。
求職者は企業文化や業務内容について事前に詳しく知り、入社後のミスマッチを減少させられます。
また、紹介者からの推薦があることで、選考過程での信頼性が高まり、採用される可能性が増します。
転職イベント・セミナー
転職イベント・セミナーは、企業の採用担当者と直接対話できるため、社風や業務内容を深く理解できます。
また、興味はあるが応募を迷っている企業の話を気軽に聞けるため、応募前に十分な情報を収集できるでしょう。
さらに、知らなかった企業や業界・職種を把握し、視野を広げられます。
SNS
SNSを活用して転職活動を進めると、企業の雰囲気や社風を直接感じ取れるため、入社後のミスマッチを防げます。
また、SNS上で企業の採用情報や社員の声をリアルタイムで得られるため、最新の求人情報を迅速にキャッチできます。
さらに、SNSを通じて企業と直接コミュニケーションを取ることで、選考過程での親近感や信頼感を醸成しやすくなるでしょう。
コミュニティサイト
コミュニティサイトとは、共通の趣味や関心を持つ人々が集まり、情報を交換したり、交流したりするインターネット上のプラットフォームです。
同業者や経験者との交流を通じて、実際の職場環境や業務内容に関する生の情報を得られます。
また、コミュニティ内でのネットワーキングを通じて、非公開求人やリファラルなどの機会を得られるため、転職活動を優位に進められるでしょう。
さらに、業界の最新動向や技術情報を共有することで、自己研鑽やキャリア形成にも役立ちます。
ーまとめー
施工管理技士に合格して新たなキャリアを目指そう!
今回は、施工管理技士の概要や合格率、取得までの流れなどを解説しました。
施工管理技士の資格を取得している人材は、建築業界で重宝されているため、保有しているとキャリアアップを目指せます。
建築業界に携わる方でキャリアの方向性が定まっていない方は、施工管理技士の取得を検討してみてください!
まとめ
施工管理技士に合格して新たなキャリアを目指そう!
今回は、施工管理技士の概要や合格率、取得までの流れなどを解説しました。
施工管理技士の資格を取得している人材は、建築業界で重宝されているため、保有しているとキャリアアップを目指せます。
建築業界に携わる方でキャリアの方向性が定まっていない方は、施工管理技士の取得を検討してみてください!