厚生労働省によると、2022年時点で新卒1年目の離職率は、中卒で31.5%、大卒で12.0%とされています。
最終学歴 | 中卒 | 高卒 | 短大等卒 | 大卒 |
新卒1年目の離職率(%) | 31.5 | 17.8 | 19.2 | 12.0 |
引用元:新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)|厚生労働省
数値を見ると、1年目から転職を始める方は少なくないと言えるでしょう。
しかし、一般的には、新卒1年目から転職する人は甘えていると言われる傾向があります。
本記事では、1年目の転職が甘えだと言われている理由について解説します。
1年目から転職を始めようとしている方向けに転職のメリットやデメリット、理想のキャリアを築くための秘訣なども紹介しているため、1年目の転職を成功させたい方は、参考にしてください。
1年目の転職を通じて、自分に合った職場環境や業務内容を見つけ、
新しい挑戦で理想のキャリアを築いていきましょう。
1年目の転職が甘えと言われる理由【3つ】
結論として、1年目の転職は決して甘えというわけではありません。
しかし、1年目から転職の意思を示していると、上司をはじめとした周囲の人から甘えていると言われる傾向があります。
ここからは、1年目の転職が甘えと言われる主な理由を3つ紹介します。
新卒採用に膨大なコストと時間がかかっている
就職みらい研究所が公表している「就職白書2020」によると、新卒1人の採用コストは約93.6万円とされています。
就職みらい研究所が公表している「就職白書2020」によると、新卒1人の採用コストは約93.6万円とされています。
新卒採用には、人事担当者の人件費や説明会や面接に利用する会場の使用料などの費用が発生します。
また、求職者との連絡や入社手続きなどには、莫大な時間を費やさなければなりません。
1年目で退職されると、これらの投資が無駄になります。
新卒採用に費やしたコストやコストを浪費しないために、企業は「辞めるのは甘えだ」と厳しい言葉をかけて退職を思いとどまらせようとする傾向があります。
上司の責任が言及される
責任者は、チームメンバーを率いて業務実績を上げることだけが仕事ではありません。
新卒社員の育成も仕事のひとつです。
部下が早期に辞めると、育成責任が問われ、社内での評価が下がるリスクがあります。
そのため、上司は「辞めるのは甘えだ」と厳しく言い、部下を引き止めようとします。
また、上司自身が厳しい環境で我慢して働いていると、部下の退職を自己中心的と感じ、感情的に「甘え」と非難することもあるでしょう。
比較的に仕事が忙しくない時期である
新卒社員は最初の数カ月、研修やOJTを通して基本的な業務に慣れます。
また、研修やOJTの期間は、些細なミスがあっても許容されやすい傾向があるため、業務の負担が軽いと言えるでしょう。
そのため、先輩からは本格的な仕事の厳しさをまだ経験していないとみなされます。
仕事の本質に触れていないのにもかかわらず転職しようとすると、忍耐力や向上心がないと思われ、甘えであると判断されます。
1年目で転職するメリット【3つ】
1年目の転職は、早すぎると感じるかもしれませんが、決して悪いことばかりではありません。
ここからは、1年目で転職する主なメリットを3つ紹介します。
ポテンシャル採用を受けられる
ポテンシャル採用とは、現在のスキルや経験ではなく、応募者の人柄や成長力、適応力などの潜在的な能力を重視する採用手法です。
企業は、若手社員を採用する際に成長可能性を重視しています。
とくに、1年目の社員は、まだ専門的なスキルや知識が十分でないことが多いため、経験よりも将来の成長力を期待されるでしょう。
そのため、一般的に新卒1年目の転職では、ポテンシャル採用として、即戦力ではなく、将来的に育てていく前提で採用されます。
また、1年目の転職者は、柔軟な思考や新しい環境への適応力を持っていると評価されやすく、他の企業でも教育や成長の余地があるとみなされるため、ポテンシャル採用の対象となります。
精神的・身体的負担が軽減する
一般的に、入社直後は研修やOJTが多くなるため、業務の負担は少ない傾向があります。
しかし、職場環境や仕事内容が自分に合っていなかったり人間関係がうまくいかなかったりすると、精神的・身体的負荷が高くなることがあります。
合わない職場に長く留まると、業務へのプレッシャーや人間関係のストレスが蓄積し、精神的な疲労や身体的な不調を引き起こすでしょう。
その場合は、早い段階で新しい環境に移ることで、より自分に適した職場や業務に出会い、精神的にも身体的にも負担が軽くなります。
また、新しいスタートを切ることで、モチベーションの向上や自己成長にもつながります。
飛躍的な成長につながる
一般的に、年齢が若い方が求人倍率が高く、未経験の分野でも採用されやすいため、転職に有利とされています。
とくに、新卒1年目での転職は、現職での学びを活かしつつ、新たな環境でさらなるスキルや知識を身につける機会を得られるでしょう。
また、異なる企業文化や仕事の進め方に早い段階で触れることで、柔軟な対応力や視野の広さが身につきます。
これにより、自己成長のスピードが速まり、自分に合った環境でモチベーションを保ちながら働けます。
1年目で転職するデメリット【3つ】
新卒1年目での転職は、良いことばかりではありません。
ここからは、1年目で転職するデメリットを3つ紹介します。
収入が下がる
新卒採用は、企業が経験やスキルに頼らず、将来性に期待して採用する傾向があります。
しかし、転職時には新卒採用のアドバンテージが評価されにくくなるだけでなく、実務経験が十分でないため、即戦力としての評価が低くなり、給与交渉で不利な立場に置かれるでしょう。
また、なかなか転職先が決まらない焦りから条件の悪い企業に入社してしまうと、結果的に給与が下がるリスクもあります。
在籍期間の短さを懸念される
採用担当者は、短期間での退職経験があると「この人はまたすぐに辞めてしまうのではないか」と不安に感じます。
とくに、早期退職者は適応力や忍耐力に問題があると見なされやすく、職場環境や業務への理解が浅い段階で判断したのではないかと疑われるでしょう。
そのため、転職活動においてネガティブな印象を与え、不利に働く可能性があります。
さらに、退職後に転職活動を始めると、空白期間が長くなり、応募企業への説明が難しくなる傾向もあります。
転職癖がつく
一度転職を経験すると、次の転職を決断する際の抵抗感が減り、職場での不満や困難に直面するたびに、すぐに転職を考えるようになります。
そのような「転職癖」は、安定して職務を続けられないと評価され、キャリアに悪影響を与えることがあります。
とくに新卒1年目は、まだ環境や業務に適応する時期です。
そのため、不満があっても転職以外の解決方法を模索し、自身の適応力や忍耐力を育てるべきであるとされています。
1年目の転職における転職先の選び方【7つ】
転職活動を始めようとする際、どの企業に応募しようか迷う方も少なくないでしょう。
そこで、ここからは、1年目の転職における転職先を選ぶときにチェックしてほしいポイントを7つ紹介します。
第二新卒を採用しているか
第二新卒とは、新卒1〜3年で転職を考えている人のことです。
職務経験を持ちながらも新卒者同様に若く、企業側からは柔軟性や新たな成長の可能性が期待されています。
通常の中途採用は、即戦力となるスキルや経験を求められるため、新卒1年目では実務経験が不足し、選考で不利になるでしょう。
一方で、第二新卒は、ポテンシャルを評価してくれるだけでなく離職理由や短期間での転職に対しても理解があり、転職活動がスムーズに進むでしょう。
また、第二新卒向けの求人では、キャリアチェンジのチャンスも多く、自分に合った職種や業界を選びやすい傾向があります。
さらに、第二新卒を採用している企業は、若手の柔軟性や成長性に期待し、教育体制やサポートが充実しています。
給与や福利厚生
転職先を選ぶ際には、給与や福利厚生をチェックしましょう。
1年目での転職は、現職での実務経験が浅いため、転職先の給与条件が現状より下がることが少なくありません。
給与が下がるリスクを確認せずに転職すると、生活費や貯蓄計画に支障をきたし、経済的な不安が増します。
また、住宅手当や交通費補助、健康保険や退職金制度などは、企業によって大きく異なります。
福利厚生が充実していると、給与が多少低くても安心して働き続けられるでしょう。
社風
社風とは、企業内の文化や価値観、働き方のことです。
自分の性格や価値観と合わない社風の企業に入社してしまうと、職場に馴染めず、再びストレスや不満を感じやすくなるでしょう。
その結果、再度転職を考えざるを得なくなり、キャリアに悪影響を及ぼします。
とくに、1年目での転職は、まだ社会人経験が浅いため、仕事の適性や自分が望む職場環境について十分に理解できていない場合があります。
転職先で同じ失敗を繰り返さないためにも、事前にその企業の社風や文化をしっかり調査し、自分に合っているか確認しましょう。
具体的には、オープンなコミュニケーションを重視する企業か、成果主義を重んじる企業かといった違いを把握することで、自分がより活躍しやすい環境を見極められます。
経営方針
経営方針とは、企業の目標や戦略を定め、組織全体の方向性を示す指針です。
経営方針が不明確であったり、頻繁に変わったりする企業は、事業の継続性や成長性が懸念されます。
とくに、新卒1年目での転職は、将来のキャリア基盤を築く重要な時期であるため、経営の安定した企業を選びましょう。
また、経営方針が自分の価値観や目標と合致しているかを確認することも重要です。
具体的には、社会貢献を重視する企業や、革新性や挑戦を求める企業など、自分が共感できる方針を持つ企業であれば、仕事に対するモチベーションを維持しやすく、長期的に働き続けられます。
一方で、短期的な利益追求や方針の変動が激しい企業では、社員の働きやすさや将来性が損なわれる可能性があります。
これらの点を踏まえて、自分のキャリアプランに合った企業を選んでください。
業務内容
入社してから「思っていた業務と違う」や「自分には合わない」などと感じてしまうと、再び早期離職に繋がるリスクが高まります。
さらに、適切な業務に従事することで、職務スキルや専門性が向上し、将来のキャリア展望が開けます。
そのため、転職先の企業を選ぶ際は、業務内容が自分の興味やスキルに合致しているかを確認し、日々の仕事へのモチベーションや成長意欲が維持できるようになりましょう。
とくに、1年目での転職は、まだ実務経験が浅く、自分に適した業務内容を見極めることが難しいため、慎重に決めてください。
勤務地やオフィス環境
勤務地が自宅から遠いと、通勤時間が長くなり、身体的・精神的な負担が増加します。
また、仕事以外の時間が削られ、生活のバランスが崩れやすくなり、結果として仕事のモチベーションや集中力が低下してしまうでしょう。
とくに、1年目の転職では、職場環境に適応するためのエネルギーが必要なため、通勤負担が大きいと負担が大きくなります。
また、オフィス環境にも注目しましょう。
職場の設備やレイアウト、働く空間の雰囲気などは、日々の業務効率やストレスに直結します。
さらに、リモートワークやフレックス勤務などの柔軟な働き方を提供しているかも重要なポイントです。
勤務地やオフィス環境を事前にチェックすることで、無理なく働き続けられる環境かどうかを判断できます。
企業の将来性
将来性のある企業とは、事業の成長や市場での競争力、経営の安定性などが見込まれる企業です。
将来性のある企業では、安定した雇用環境を提供し、長期的なキャリア形成やスキルアップの機会が期待できます。
逆に、将来性の乏しい企業に転職してしまうと、経営が不安定になりリストラや早期退職のリスクが高まるでしょう。
また、成長性のある企業では、新規事業の立ち上げや新しいポジションの創出など、チャレンジできる機会が多く提供されています。
これにより、若手社員でも早い段階から責任のある仕事を任され、短期間でのキャリアアップが期待できます。
1年目の転職を成功させるポイント【5つ】
ここからは、1年目の転職を成功させるポイントを5つ紹介します。
転職の目的を明確にする
新卒1年目での転職を成功させるためには、転職の目的を明確にしましょう。
転職の目的が不明確だと、目先の不満や環境の変化にのみ依存して転職先を決めてしまいます。
その結果、入社後にミスマッチが生じ、再び転職を考えることになりかねません。
また、転職活動中の面接では、転職理由や今後のキャリアを聞かれることがあります。
転職の目的が曖昧だと、面接官に「また短期間で辞めるのでは」と懸念され、転職活動が不利になることもあります。
一方、目的が明確であれば、自分の成長目標やキャリアパスを具体的に説明でき、採用担当者に前向きな印象を与えられるでしょう。
徹底的に自己分析する
新卒1年目での転職を成功させるためには、徹底的な自己分析が不可欠です。
自己分析することで、自分の強みや弱み、価値観、興味を明確にし、どのような職場や業務が自分に適しているかを把握できます。
とくに、新卒1年目で転職する場合、業界や職種に対する経験が少ないため、自己理解が重要な指針となるでしょう。
また、自己分析を通じて、自分のキャリアビジョンを具体化できます。
これにより、転職活動の際に志望理由や再現性を明確に説明でき、面接官に対して説得力を持たせられるでしょう。
さらに、自分の適性を理解することで、転職先でのミスマッチを避けることもでき、長期的なキャリア形成に繋がります。
転職先を決めてから転職する
転職前の会社を退職する場合は、転職先を決めてから退職してください。
就業中に転職活動を進めることにより、経済的な安定を保ちながら新しい職場での適応をスムーズに進められます。
具体的には、次の仕事が決まる前に現在の職場を辞めてしまうと、収入が途絶えるリスクがあります。
これにより、生活費や支出に困ることになり、焦って条件の悪い職場に飛び込むことも少なくありません。
また、内定を得てからの転職は、企業との信頼関係を築く一歩にもなります。
さらに、企業側も「転職者が次の仕事を見つけてから退職する」という姿勢を評価することがあるため、就業中に転職活動を進めると、ポジティブな印象を与えられます。
ポテンシャルをアピールする
新卒1年目での転職を成功させるためには、採用担当者へ応募者のポテンシャルを効果的にアピールしなければなりません。
新卒の段階では、実務経験や専門的なスキルが不足していることが一般的です。
しかし、第二新卒の採用では、将来性や成長の可能性を重視する傾向があります。
ポテンシャルをアピールすることで、単なる即戦力ではなく、長期的な人材としての魅力を伝えられます。
具体的には、学業やインターンシップでの経験、プロジェクトへの取り組み方、問題解決能力など、自分の成長意欲や柔軟性を示すエピソードを交えながら説明してください。
また、自己分析を通じて、自分の強みや価値観を明確にし、それをどう企業に活かせるかを具体的に示すことで、採用担当者に対する説得力が増します。
さらに、ポテンシャルを強調することは、企業が求める文化や価値観とのフィット感を伝える良い機会にもなります。
自分がどのように会社に貢献できるかを描き、未来の成長をイメージさせることで、企業にとっての価値を感じさせられるでしょう。
早めに引継ぎ準備を進める
転職の目途が立った場合は、早めに引継ぎ準備を進めましょう。
業務をスムーズに引き継ぐことで、現職への感謝の気持ちを示し、良好な人間関係を維持できます。
また、退職後にリファレンスとしての評価が必要になる場合もあるため、円満に退職し、前職の印象を良くすることで、キャリアにおいてプラスとなるでしょう。
また、引継ぎを早く始めることで、業務内容を整理し、後任者にスムーズに情報を伝えることが可能になります。
これにより、退職後も自分の業務が滞りなく進み、会社に対する信頼感も高まります。
さらに、自己分析や転職活動に専念するための時間を確保できるため、新たな職場でのスタートを自信を持って迎えられるでしょう。
ーまとめー
1年目転職で新たな成長の機会を得よう!
今回は、1年目の転職が甘えだと言われている理由について解説しました。
新卒1年目での転職は、自分に合った職場環境や業務内容を早期に見つけられ、新しい挑戦を通じて成長の機会を得られます。
しかし、はじめての転職活動に戸惑う方も少なくないでしょう。
転職活動の進め方に悩んだときには、転職エージェントに相談してみてください。
転職エージェントを利用すると、専門的なアドバイスや最新の求人情報、企業の内部情報を得られます。
さらに、面接対策や書類添削を通じて、効果的に転職活動をサポートしてもらえます。
転職エージェントなどを利用しながら有利に転職活動を進め、理想的なキャリアへの第一歩を踏み出しましょう!
まとめ
1年目転職で新たな成長の機会を得よう!
今回は、1年目の転職が甘えだと言われている理由について解説しました。
新卒1年目での転職は、自分に合った職場環境や業務内容を早期に見つけられ、新しい挑戦を通じて成長の機会を得られます。
しかし、はじめての転職活動に戸惑う方も少なくないでしょう。
転職活動の進め方に悩んだときには、転職エージェントに相談してみてください。
転職エージェントを利用すると、専門的なアドバイスや最新の求人情報、企業の内部情報を得られます。
さらに、面接対策や書類添削を通じて、効果的に転職活動をサポートしてもらえます。
転職エージェントなどを利用しながら有利に転職活動を進め、理想的なキャリアへの第一歩を踏み出しましょう!