
就活生のみなさんは、フレックス制度がどのような制度かご存知ですか?
用語自体は聞いたことがあっても、詳しい意味を知らないという方も少なくないでしょう。
そこで、本記事ではフレックス制度のメリットやフレックス制度を利用しやすい業種・職種などを紹介します。
この記事を参考に、フレックス制度への理解を深め、自分に合った働き方を目指しましょう。

フレックス制度とは?

フレックス制度(フレックスタイム制度)とは、社員が1日の始業・終業時刻を自分で決めて働ける勤務制度です。
法律上は「フレックスタイム制」とも呼ばれ、労働基準法第32条の3で定められています。
厚生労働省によると、2024年時点で7.2%の企業がフレックス制度を導入しています。
フレックス制度を理解するためには、以下の2つを押さえましょう。
主な構成要素
- コアタイム:全社員が必ず勤務しなければならない時間帯(例:10時〜15時)
- フレキシブルタイム:出勤や退勤の時間を柔軟に選べる時間帯(例:7時〜10時、15時〜20時)
フレックス制度では、あらかじめ定められた「総労働時間(清算期間内の合計労働時間)」を満たすと、何時に出勤・退勤するかを自分で調整できます。
そのため、生活リズムや通勤状況、業務内容に応じて自由度の高い働き方が期待できるでしょう。
なお、制度の具体的な運用方法は企業ごとに異なります。
一般的なフレックス制度以外にも、以下のようなフレックス制度があります。
代表的なフレックス制度
- スーパーフレックス
- 清算期間制度
スーパーフレックス
スーパーフレックスとは、コアタイムが設けられていないフレックス制度です。
始業・終業時間を完全に自由に決められます。
業務時間の自己管理が求められますが、ライフスタイルや業務内容に応じて柔軟に働けるのが大きな特徴です。
清算期間制度
清算期間制度とは、一定の期間(通常は1か月)内で所定労働時間を満たすことを条件に、日ごとの労働時間を柔軟に調整できるフレックス制度です。
繁忙日や私用に合わせて勤務時間を長くしたり短くしたりできます。
そのため、効率的な働き方やワークライフバランスの向上が期待されます。
フレックス制度のメリット【4つ】

近年、フレックス制度を導入する企業が増えています。
新卒向けの求人票においても、フレックス制度という用語を見たことがある方も少なくないでしょう。
しかし、就活生にとってフレックス制度はどのようなメリットがあるかご存じですか?
ここからは、フレックス制度のメリットを4つ紹介します。
自分の生活リズムに合わせて働ける
フレックス制度では、始業や終業の時間を自分で調整できます。
一例として、朝が苦手な人は遅めに出勤し、早起きが得意な人は早めに働き始められます。このような柔軟性により、生活リズムや体調に合わせて無理なく働けるでしょう。
また、育児や介護などライフイベントにも柔軟に対応できるようになります。
通勤ラッシュを避けられる
電車出勤している人の中には、満員電車により身体的・精神的にストレスを感じている人もいるでしょう。
フレックス制度では、出勤時間を自分で決められます。
そのため、満員電車が集中する朝の通勤ラッシュの時間帯を避けられます。
通勤のストレスが減ることで、仕事に集中しやすくなり、心身の負担を軽減できるでしょう。
業務のパフォーマンスが高まる
フレックス制度を利用すると、自分が最も集中できる時間帯に仕事を進められます。
そのため、効率よく作業に取り組めます。
また、生活リズムや体調に合わせて働けることで疲労やストレスが軽減され、業務のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。
自己管理力や主体性が高まる
フレックス制度では、自分で始業・終業の時間を決められます。
そのため、スケジュール管理や業務の優先順位を自ら判断しなければなりません。
フレックス制度を利用することで、時間の使い方を意識するようになり、自然に自己管理力や主体性が養われるでしょう。
フレックス制度のデメリット【4つ】

フレックス制度は、働き方の自由度が増す一方で、いくつかデメリットもあります。
ここからは、フレックス制度のデメリットを4つ紹介します。
コミュニケーションが取りづらい
フレックス制度では、社員それぞれが異なる時間に出退勤します。
そのため、勤務時間が重ならないことも少なくありません。
とくに、リモートワークも採用していると、社員同士が顔を合わせる機会が少なくなるでしょう。
その結果、会議や相談のタイミングが合いにくくなり、チーム内での情報共有やコミュニケーションが取りづらくなります。
自由に使えないことがある
フレックス制度を利用するうえで、コアタイムや部署の方針は考慮しなければなりません。
そのため、完全に自由な働き方ができるとは限りません。
一例として、会議やチーム業務との兼ね合いで出社時間が制限されることもあります。
また、企業がフレックス制度を促進していたとしても、職種や業務内容によっては制度を柔軟に使えません。
人事評価で不利になることがある
フレックス制度では、勤務時間が人によって異なります。
そのため、上司や周囲から働きぶりが見えにくくなることがあります。
その結果、勤務態度や努力が正しく評価されないことも少なくありません。
なかには、成果以外の面で人事評価が不利になる場合もあります。
労働時間管理が複雑になる
フレックス制度では、社員ごとに出勤・退勤時間が異なります。
そのため、企業側は個別の労働時間を正確に把握・記録しなければなりません。
また、法定労働時間や残業の管理も複雑になりやすく、勤怠管理システムの導入や運用ルールの整備などが必要です。
フレックス制度を利用しやすい業種や職種【5選】

フレックス制度は、業種や職種によって取りやすさが異なります。
ここからは、フレックス制度を利用しやすい業種や職種を5つ紹介します。
IT業界
エンジニアは、業務の多くがパソコン上で完結します。
そのため、成果物で評価されることが多く、働く時間帯に柔軟性を持たせられます。
また、個人作業が中心で、チームとの進行調整もしやすく、時間や場所に縛られずに働けるでしょう。
これにより、IT業界はフレックス制度と相性が良い業界とされています。
コンサルティング業界
コンサルティング業界では、クライアントごとに業務内容やスケジュールが異なります。
そのため、スケジュールや業務を自己管理しながら働くことが求められます。
また、コンサルタントは、成果やアウトプットが重視されるため、勤務時間に柔軟性を持たせやすく、必要に応じて早朝や夜間に対応することも可能です。
これにより、コンサルティング業界はフレックス制度との相性がいいとされています。
広告・メディア業界
広告・メディア業界では、企画やデザイン、ライティングなどのクリエイティブ業務がたくさんあります。
さまざまなアイデアを出すために、自分のリズムで働ける環境が求められます。
また、成果物や納期で評価されるため、時間よりも質が重視されることも少なくありません。
そのため、柔軟な働き方が可能なフレックス制度と相性がいいとされています。
研究職・開発職
研究職・開発職は、長時間の集中作業や試行錯誤が求められます。
高いパフォーマンスを発揮するためには、自分のペースで働ける環境が必要です。
また、研究職・開発職は、個人や小チーム単位で業務が進められます。
そのため、勤務態度よりも成果や進捗で評価される傾向にあります。
これらが、働く時間に柔軟性を持てるフレックス制度と研究職・開発職の相性がいいとされる要因です。
営業職
営業職は外回りや顧客対応が多く、日中のスケジュールが顧客に合わせて変動します。
そのため、自分で働く時間を調整しやすくなります。
また、成果や訪問件数などで評価されることが多く、勤務時間より結果が重視されることが少なくありません。
そのため、フレックス制度との相性がいいとされています。
フレックス制度を利用しにくい業種や職種【6選】

フレックス制度を利用しやすい業種や職種もあれば、利用しにくい業種や職種もあります。
ここからは、フレックス制度を利用しにくい業種や職種を6つ紹介します。
医療・介護業界
医療・介護業界では、決まった時間に患者や利用者をケアしなければなりません。
そのため、勤務時間が固定されやすく、シフト制が基本です。
また、急変対応やチームでの連携も多いため、個々の裁量で出退勤時間を自由に調整するのが困難です。
これらの要因により、医療・介護業界はフレックス制度を導入しにくいとされています。
小売・接客・飲食業界
小売・接客・飲食業界では、店舗の営業時間に合わせてスタッフが配置されます。
そのため、決まった時間帯での勤務が求められます。
また、接客業務は常に現場での対応が必要なため、個人の裁量で出退勤時間を自由に決めることが困難です。
これらの要因により、小売・接客・飲食業界はフレックス制度の導入がしにくいとされています。
飲食業界の代表格である飲食店について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

製造業界
製造業界では、工場の生産ラインが決まったスケジュールで稼働しています。
それにともない、チームで連携して作業することが多いため、個人ごとに出退勤時間を自由に調整するのが困難です。
また、安全管理や品質維持の観点からも、勤務時間の統一が求められます。
これらの要因により、製造業界はフレックス制度を導入しにくいとされています。
教育関連職
教育関連職では、生徒や児童のスケジュールに合わせて行動しなければなりません。
そのため、授業や保育などの時間があらかじめ決まっています。
また、行事や保護者対応なども時間が固定されていることが多く、個人の都合で自由に出退勤時間を決めるのが困難です。
これらの要因により、教育関連職はフレックス制度を利用しにくいとされています。
公共サービス・インフラ関連職
公共サービス・インフラ関連職は、社会全体の安全や生活を支える役割を担っています。
そのため、24時間体制での対応や緊急時の即応が求められることも珍しくありません。
また、シフト勤務や時間帯ごとの配置が必要な業務も多く、個人の裁量で出退勤時間を調整するのが困難です。
これらの要因により、公共サービス・インフラ関連職はフレックス制度を利用しにくいとされています。
コールセンター・カスタマーサポート
コールセンターやカスタマーサポートは、顧客対応の時間が決まっています。
そのため、勤務時間が固定されやすい傾向があります。
また、コールセンター・カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに迅速に対応しなければなりません。
それにともない、チーム全体でシフトを組んで業務を進めるため、自由に出退勤時間を調整しにくい傾向があります。
これらの要因により、コールセンター・カスタマーサポートはフレックス制度を利用しにくいとされています。
制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためのポイント【4つ】

フレックス制度をはじめとした、企業が導入している制度を志望動機にしている方も少なくないでしょう。
ここからは、制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためのポイントを4つ紹介します。

制度に共感していることを明確に伝える
| 制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためには、制度への理解と賛同を明示しましょう。
制度があるからという表面的な動機ではなく、企業の価値観や働き方への理解と共感を示すことで、志望理由に説得力と深みを持たせられます。
また、制度の魅力やメリットに共感している旨を明確に述べることで、主体的に働く意欲や企業文化への適応力をアピールでき、採用担当者に前向きで真剣な印象を持ってもらえるでしょう。

具体例①
私は、御社が導入されているフレックスタイム制度に強く共感しております。
とくに、成果を重視しながらも、個人のライフスタイルや働き方に柔軟性を持たせる姿勢に、社員一人ひとりを大切にする企業文化を感じました。
私自身も集中力の高い時間帯に業務へ取り組むことで、より良い成果を出せると考えております。

具体例②
私は、御社のリモートワーク制度に共感しております。
多様な働き方を支援する制度は、社員の自律性や自己管理能力を信頼している証であり、働きやすい環境づくりに真剣に取り組んでいると感じました。
私も責任感を持って業務に取り組み、生産性向上に貢献していきたいと考えています。

自分の働き方・特性と制度の相性を説明する
| 制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためには、自分の仕事のスタイルや強みと制度の適合性をアピールしましょう。
自分の働き方や特性と制度の相性を説明することで、制度を単なる福利厚生として捉えるのではなく、自身の強みを最大限に活かし、企業に貢献する具体的なイメージを明示できます。
これにより、制度を理解し能動的に活用する意欲や自己管理能力が伝わり、前向きな志望動機として説得力が増すでしょう。

具体例①
私は、学生時代の研究活動やアルバイトでは、自らスケジュールを立てて行動することで成果を上げてきました。
御社のスーパーフレックス制度のように、自律的な働き方を尊重する環境では、私の計画性と自己管理能力がより活かせると感じております。

具体例②
私は、仕事に対して計画的に取り組むことを得意としております。
とくに、業務の繁閑に応じて時間配分を調整する柔軟性に長けていると自負しております。
御社が採用されている月単位のフレックスタイム制度は、計画的かつ効率的に働くことを支える仕組みであり、自分のスタイルと非常に相性が良いと感じました。

制度を活用してどう貢献するかを語る
| 制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためには、制度を活かして企業へどのように貢献できるかを説明しましょう。
制度を活用してどう貢献するかを伝えることで、志望動機が自己都合ではなく、企業の成長やチームの成果向上に直結していることをアピールできます。
これにより、単なる制度利用者ではなく、制度を効果的に活かして主体的に働く姿勢が伝わり、前向きで責任感を持つ人材であるという印象を与えられるでしょう。

具体例①
私は、フレックスタイム制度を活用することで、自分の最も集中できる時間帯に重要業務を配置し、より高い成果を上げられると考えています。
時間の使い方を工夫することで作業効率を高め、チーム全体の生産性向上にも貢献したいと考えています。

具体例②
私は、リモートワーク制度を通じて、場所にとらわれない迅速な対応や、業務時間外でも柔軟なサポート体制を築けると考えています。
オンラインでの円滑なコミュニケーション力を活かし、チームの連携強化や顧客対応のスピード向上に貢献します。

制度だけが志望理由に思われないようにする
| 制度面への関心を前向きな志望動機として伝えるためには、制度以外の志望動機も合わせて伝えましょう。
制度だけが志望理由に思われると、自己都合が中心で企業理解が浅いと受け取られやすく、採用担当者にネガティブな印象を与えかねません。
企業の事業内容や文化、成長機会などと合わせて志望理由を伝えることで、総合的な理解と熱意をアピールできます。

具体例①
私は、御社の働きやすいフレックス制度に大変魅力を感じております。
大学時代のアルバイトで、シフトの柔軟さがある職場では自分のリズムに合わせて効率よく働けた経験があり、貴社の制度も同様に生産性向上に繋がると確信しました。
また、御社の社員一人ひとりの成長を支援する社内研修や、失敗を恐れず新しいことに挑戦できる風土にも強く惹かれています。
御社のような環境でさらにスキルを磨き、御社の発展に貢献したいと考えております。

具体例②
御社の柔軟な勤務制度は、働きやすさの面で非常に魅力的です。
加えて。御社の先進的な技術開発やグローバル展開に挑戦できる点に惹かれました。
私は、制度を活かしながら、専門性を高めて将来的にはプロジェクトリーダーとして貢献したいと考えています。

ーまとめー
自分に合った働き方を考えよう!

今回は、フレックス制度のメリットやフレックス制度を利用しやすい業種・職種などを解説しました。
近年は、多様なオンラインツールの誕生や働き方改革への意識が高まってきたことにより、働き方においてさまざまな選択肢を選べるようになりました。
その一方で、理解が浅いまま入社してしまうと、思うようにパフォーマンスが発揮できず、すぐに転職してしまうこともあります。
本記事をきっかけに働き方への理解を深め、自分に合った就職先を見つけられるようになりましょう!
まとめ
自分に合った働き方を考えよう!

今回は、フレックス制度のメリットやフレックス制度を利用しやすい業種・職種などを解説しました。
近年は、多様なオンラインツールの誕生や働き方改革への意識が高まってきたことにより、働き方においてさまざまな選択肢を選べるようになりました。
その一方で、理解が浅いまま入社してしまうと、思うようにパフォーマンスが発揮できず、すぐに転職してしまうこともあります。
本記事をきっかけに働き方への理解を深め、自分に合った就職先を見つけられるようになりましょう!