
ハローワークは、国が運営する無料の就職支援機関です。
転職希望者が利用するサービスとして広く知れ渡っています。
その一方で、ハローワークでどのような支援を受けられるか知らないという方も少なくないでしょう。
そこで、本記事ではハローワークで転職を成功させる方法などを解説します。
この記事を参考に、ハローワークへの理解を深め、内定獲得のチャンスを広げましょう。

ハローワークとは?

ハローワーク(公共職業安定所)とは、国(厚生労働省)が運営する公的な職業紹介機関です。
仕事を探している人であれば誰でも無料で利用できる機関で、以下のような専門支援窓口や付属施設があります。
庁舎内に設けている専門支援窓口
- マザーズコーナー
- わかもの支援コーナー・窓口
- 中高年層(ミドルシニア)専門窓口
- 生涯現役支援窓口
- 人材確保対策コーナー
- 地方就職支援コーナー
- 農林漁業就職支援コーナー
付属施設
- マザーズハローワーク
- 新卒支援ハローワーク
- わかものハローワーク
- 外国人雇用サービスセンター
- ふるさとハローワーク
- 一体的実施施設
ハローワークは、全国に約500か所以上の窓口を展開しており、これまでも各求職者にあった支援を提供してきました。
ハローワークは、以下のような時間帯で利用できます。
時間 | |
開庁時間 | 8:30~17:15(平日) |
来訪での求人受付 | 8:30~16:00(平日) |
来訪での雇用保険の適用手続き(雇用保険の資格取得や離職に関する手続きなど) | 8:30~16:00(平日) |
参照元:ハローワーク|厚生労働省
近年は、電子申請が可能になったり、休日に利用できる窓口が設置されたりするなど、利用しやすくなっています。
求職者を対象としたハローワークの主な役割は、以下の4つです。
ハローワークの主な役割
- 求人紹介
- 職業相談
- 雇用保険の手続き
- 職業訓練の案内
求人紹介
ハローワークは、求職者が希望する職種や条件に合った仕事を職員が提案してくれます。
とくに、ハローワークは、地域密着型の求人が多く、中小企業や未経験者歓迎の案件に強みがあります。
対面窓口だけでなく、オンラインでも求人情報を閲覧できるため、自分に合った仕事を気軽に探せるでしょう。
職業相談
ハローワークは、専門の相談員がキャリアの悩みや転職の方向性についてアドバイスしてくれます。
希望条件の整理や自己分析のサポート、応募書類の作成支援なども受けられ、初めての転職活動でも安心して利用できるでしょう。
また、窓口が子育て中の女性等へ向けた窓口や外国人向けなど、窓口や付属施設が複数あるため、現在抱えている悩みに対して的確な支援が受けられます。
雇用保険の手続き
ハローワークでは、失業した際に必要な雇用保険の手続きを進められます。
一例として、以下のような給付等が申請できます。
ハローワークで申請できる給付等の種類
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
- 育児休業給付
- 出生後休業支援給付
- 育児時短就業給付
雇用保険の被保険者数は、2020年度は約4,435万人だったのに対し、2023年は約4.479万人と年々増えています。
ハローワークでは、受給資格の確認や失業認定、失業給付の申請などを窓口でサポートしてくれるため、安心して手続きを進められます。
また、再就職活動の計画や支援も併せて受けられるため、初めて転職する方でも気軽に利用できるでしょう。
転職活動で活用できる補助金・助成金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

職業訓練の案内
ハローワークでは、再就職やスキルアップを目指す人に向けて職業訓練を案内しています。
職業訓練は、雇用保険受給者向けに実施される「公共職業訓練」と雇用保険を受給できない方向けに実施される「求職者支援訓練」にわけられます。
受講料が無料のコースも多く、パソコン、介護、事務など実践的な内容が学べるでしょう。
また、相談員と話し合いながらどの祝業訓練を受けるか考えられるため、自分に合った訓練を選べます。
ハローワークを活用するメリット【5つ】

2023年度には、約450.5万人がハローワークの新規求人に申し込むなど、多くの求職者が利用しています。
ここからは、多くの求職者がハローワークを活用する理由を5つのメリットにもとづき解説します。
無料で信頼性の高い支援が受けられる
ハローワークは、国が運営する公的機関です。
そのため、誰でも無料で信頼性の高い支援が受けられます。
また、求人紹介だけでなく、職業相談や応募書類の添削、面接対策などもすべて無料で対応してくれます。
地域密着型の求人が豊富
ハローワークは、全国各地に窓口があります。
地域ごとの求人情報を幅広く取り扱っているため、地元密着型の求人に強い傾向があります。
とくに、中小企業や地元で長年営業している企業の求人が多く、地域で働きたい人にとっては貴重な情報源です。
さらに、大手転職サイトでは見つけにくい求人も多く掲載されており、地元で安定して働きたい人やUターン・Iターン希望者にも適した就職支援が受けられます。
幅広い支援が受けられる
ハローワークで受けられるのは、求人紹介だけではありません。
職業相談や履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、職業訓練の案内など、転職活動に必要な幅広い支援を受けられます。
さらに、雇用保険の手続きや失業給付の案内も一括して対応しており、就職活動と生活支援を同時に進められます。
こうした総合的なサポートが、再就職やキャリアチェンジを目指す人にとって心強い助けとなるでしょう。
営利目的ではない中立的な立場からアドバイスをもらえる
ハローワークは、企業側からの報酬を得ていません。
そのため、求人を紹介する際も中立的な立場で求職者に寄り添ったアドバイスが受けられます。
また、無理に求人をすすめられる心配がなく、自分の希望や状況に合った支援を受けられます。
転職活動に不安を感じている人や、客観的な意見が欲しい人には、ハローワークがおすすめです。
ハローワークを活用するデメリット【4つ】

ハローワークを利用すると、必ず自分に合った転職先が決まるというわけではありません。
人によってはハローワークを利用した転職活動が合わないという方もいます。
ここからは、ハローワークを活用するデメリットを4つ紹介します。
仕事内容や待遇がわかりにくい
ハローワークの求人票は、フォーマットが決まっています。
記載項目が限られているため、仕事内容や待遇の詳細が十分に書かれていないことがあります。
また、企業側が記載内容に力を入れていないこともあり、実際の業務内容や職場の雰囲気、残業の有無などが伝わりにくいことも少なくありません。
最新の求人情報が少ない
ハローワークは、求人の掲載や更新に一定の手続きが必要です。
企業側の対応が遅れると、情報の反映に時間がかかることがあります。
また、緊急性の高い求人は、スピード感のある民間の転職サイトやエージェントに掲載されやすい傾向があります。
一方で、ハローワークには、比較的長期募集や人手不足の業種が集まりやすいため、常に最新の求人情報がそろっているとは限りません。
転職活動における情報収集の仕方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

求人情報の質にばらつきがある
ハローワークは、企業が無料で求人を掲載できます。
そのため、大手企業から小規模な事業所まで幅広い求人が集まります。
その分、求人情報の質にもばらつきがあるため、注意しなければなりません。
なかには、労働条件が明確でないものや、実態と異なる内容が記載されている場合もあります。
また、審査基準が民間サービスに比べて緩やかなこともあり、ブラック企業が紛れ込む可能性も否定できません。
サポートの質に差がある
ハローワークには、多くの相談員が在籍しています。
担当者によって経験や知識、対応の丁寧さに差があるため、サポートの質にもばらつきが生じます。
親身に対応してくれる職員もいますが、事務的な対応にとどまる職員も少なくありません。
また、利用者が多い地域では一人ひとりへの対応時間が限られます。
そのため、十分な支援が受けられないこともあります。
ハローワークを活用する流れ

ここからは、ハローワークを活用して転職活動を進める流れを5つのステップにわけて紹介します。
初回登録
| ハローワークを利用するには、求職申込みの初回登録を済ませましょう。
初回登録では、最寄りのハローワークに直接出向き、氏名・住所・希望職種・勤務条件などを申込書に記入します。
初回登録には、以下のものが必要です。
求職申込みに必要なもの
- 本人確認書類
- 筆記用具・メモ帳
- 履歴書・職務経歴書(任意)
登録が完了すると「ハローワークカード」が発行され、職業相談や求人紹介などの各種サービスが利用できるようになります。
厚生労働省の公式サイト情報を事前に入力しておくと、手続きがスムーズに進むため、インターネットでの手続きを済ませてから向かいましょう。
また、雇用保険の手続きを実施する場合は、以下のものを準備しましょう。
雇用保険の手続きに必要なもの
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類
- 本人確認書類
- 証明写真(2枚)
- 印鑑
- 通帳またはキャッシュカード
職業相談
| 初回登録が済んだら、ハローワークの職員に転職活動の方向性を相談しましょう。
ハローワークでは、専門の相談員が求職者の希望や状況を丁寧にヒアリングし、キャリアプランや求人選びに役立つアドバイスを提供してくれます。
初めての転職やブランクがある方も、相談を通じて自分に合った働き方を見つけられるでしょう。
求人紹介
| 転職活動の方向性が定まったら、求人情報を紹介してもらいましょう。
ハローワークでは、求職者の希望条件や経験をもとに、相談員が最適な求人を提案してくれます。
とくに、ハローワークは地域密着型の求人を多数扱っており、大手求人サイトには出ていない案件に出会えます。
また、希望に合わない求人に対して、無理に応募をすすめられないため、自分のペースで転職活動を進められるでしょう。
選考対策支援
| 何社かエントリーしたら、選考対策支援を受けましょう。
ハローワークでは、応募書類の添削や模擬面接など、選考対策の支援を無料で受けられます。
履歴書や職務経歴書の書き方について具体的なアドバイスをもらえたり、面接での受け答えや印象の良い話し方を実践的に指導してもらえたりするため、選考に自信がない方でも安心して利用できるでしょう。
また、希望者は就職支援セミナーや面接対策講座にも参加できます。
再就職手続き
| 転職先が決まったら、再就職の手続きを進めましょう。
ハローワークでは、就職が決まった際に再就職の報告と必要な手続きを進めます。
雇用保険を受給している場合は、再就職の日時や就職先の情報を届け出て、失業給付の支給を停止しましょう。
また、一定の条件を満たすと「再就職手当」が支給される場合もあります。
さらに、就職後も希望すれば継続的なキャリア相談や職場定着の支援を受けられるため、安心して新たな職場で働き始められるでしょう。
ハローワークでよくあるQ&A【6選】

ここからは、ハローワークでよくあるQ&Aを6つ紹介します。
職業相談せずに求人情報だけ検索してもいいですか?
はい、ハローワークは職業相談を利用せずに、求人情報を検索できます。
施設内に設置されている求人検索端末や、インターネット上のハローワークインターネットサービスを利用すると、自分で希望条件に合う求人を探せます。
なお、職業相談を活用することで、条件に合った求人を紹介してもらえたり、応募書類や面接に関するアドバイスを受けられたりします。
目的を明確にしたうえでハローワークを有効活用しましょう。
離職票がなくてもハローワークを利用できますか?
はい、離職票がなくてもハローワークを利用できます。
求人検索や職業相談、求職登録などは離職票がなくても受けられます。
なお、雇用保険の失業給付を受け取るためには、離職票が必要です。
退職後すぐに手元に届かないとしても、まずはハローワークで求職登録し、離職票が届き次第提出しましょう。
また、状況に応じて職員が丁寧に対応してくれるため、ハローワークを利用するうえで疑問を持った場合は、すぐに職員へ相談してください。
居住地から離れているハローワークも利用できますか?
はい、居住地から離れたハローワークも利用できます。
求職者は、全国どこのハローワークでも、求人検索や職業相談、求職申込みなどの基本的なサービスは受けられます。
なお、雇用保険の手続きや職業訓練の申込みなどは、居住地を管轄するハローワークで手続きしましょう。
また、遠方のハローワークを利用する際は、事前に電話などで対応可能なサービスを確認してください。
職業訓練中も失業手当はもらえますか?
はい、職業訓練中でも一定の条件を満たすと失業手当(基本手当)を受け取れます。
雇用保険を申請するためには、受給資格を満たさなければなりません。
一例として、ハローワークが訓練の必要性を認めた場合に受講指示を受けて訓練に参加すると、訓練期間中も基本手当が支給されます。
また、通所手当や受講手当など、追加の支援を受けられることもあります。
なお、職業訓練中に失業手当を受けるためには、訓練開始前に手続きしなければなりません。
申請が承認されるまでに時間がかかることもあるため、早めにハローワークへ相談しましょう。
離職理由によって給付金の支給内容は変わりますか?
はい、離職理由によってハローワークで申請できる給付金の支給内容や開始時期は異なります。
会社都合による離職(解雇や倒産など)の場合は、待機期間後すぐに失業手当が支給されます。
また、給付日数も比較的長めです。
一方、自己都合退職の場合は、原則として2〜3か月の給付制限期間があり、その後に支給が開始されます。
離職票に記載された内容が判断の基準となるため、事実と異なる場合は早めにハローワークに申し出ましょう。
再就職後もハローワークは利用できますか?
はい、再就職後もハローワークを引き続き利用できます。
ハローワークでは、再就職先での定着支援やキャリアアップの相談、スキル向上のための職業訓練など、就職後も役立つサービスが提供されています。
また、仕事に関する悩みやキャリアプランの見直し、将来に備えた情報収集にも役立つでしょう。
ライフステージに応じた支援が受けられるため、積極的に利用してみてください。
ハローワークと併用すべきサービス【5選】

ハローワークだけでも転職活動を有利に進められます。
それに加えて、他のサービスと併用することで、転職活動がさらに、効率的になるでしょう。
ここからは、ハローワークと併用すべきサービスを5つ紹介します。

転職エージェント
転職エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが希望に合った求人を紹介してくれる無料の転職支援サービスです。
求人紹介だけでなく、応募書類の添削や面接対策まで幅広くサポートしています。
転職エージェントは、ハローワークにはない非公開求人や大手企業の求人情報も多数扱っています。
ハローワークと転職エージェントを併用することで、キャリアの選択肢が広がり、自分に合った職場を見つけやすくなるでしょう。

転職サイト
転職サイトは、インターネット上で求人情報を自由に検索・応募できるサービスです。
職種や勤務地、条件などを絞って効率的に仕事を探せます。
また、企業情報や口コミも確認できるため、自分に合った職場を見極めやすくなります。
ハローワークと併用することで、求人の幅が広がり、より多くの選択肢から転職先を見つけられるでしょう。

企業の公式採用ページ
企業によっては、自社のホームページ上で直接求人情報を掲載していることもあります。
企業の公式採用ページは、募集職種や仕事内容、社風など詳細な情報を確認できます。
ハローワークに載っていない独自の求人も多く、企業の採用意欲や最新情報も気軽に調べられるでしょう。

地方自治体・NPOの就職支援
地方自治体やNPOのなかには、地域のニーズに応じた求人紹介やキャリア相談、セミナー、職業訓練などを提供する団体もあります。
地方自治体・NPOの就職支援のなかには、若者や女性、高齢者、ひとり親世帯など特定の層を対象とした支援も少なくありません。
ハローワークと併用することで、地域密着の支援や専門的なサポートを受けやすくなります。

SNS・口コミサイト
SNSや口コミサイトを活用すると、職場の雰囲気や実際の待遇、残業状況など求人票だけではわからない内部情報を把握できます。
ハローワークと併用することで、応募前に企業理解を深められ、入社後のミスマッチを防げます。

ーまとめー
ハローワークを有効活用して転職活動を成功させよう!

今回は、ハローワークで転職を成功させる方法などを解説しました。
ハローワークは、全国各地に窓口があり、オンラインサービスも利用できます。
また、失業保険などの給付金制度も整っているため、無理なく転職活動を進められます。
転職活動中の方でなかなか転職先が決まらないという方は、ハローワークを利用してみてください!
まとめ
ハローワークを有効活用して転職活動を成功させよう!

今回は、ハローワークで転職を成功させる方法などを解説しました。
ハローワークは、全国各地に窓口があり、オンラインサービスも利用できます。
また、失業保険などの給付金制度も整っているため、無理なく転職活動を進められます。
転職活動中の方でなかなか転職先が決まらないという方は、ハローワークを利用してみてください!