面接では、応募者に企業が求めている適性やスキルが備わっているかを確認するため、さまざまなことを聞かれます。
応募者の強みと弱みも面接で聞かれる代表的な質問のひとつです。
本記事では、面接で応募者の強み弱みのアピール方法を具体例とともに紹介します。
面接での強みと弱みのアピール方法をマスターし、自信を持ちましょう!
面接で強み弱みを聞かれる理由
面接で応募者の強み弱みを聞かれることは、少なくありません。
では、なぜ面接で応募者の強み弱みを聞かれるのでしょうか。
ここからは、面接で強み弱みを聞かれる理由を紹介します。
強み
企業は、応募者の強みを知ることで、応募者がどのような部署やプロジェクトにマッチし、具体的な業務においてどのような価値を提供できるかを把握します。
また、自身の強みを把握し、それを具体的な経験や成果に結びつけて説明できる能力は、自己理解とコミュニケーション能力の高さを示します。
弱み
企業が応募者の弱みを理解し、それを克服するための具体的な取り組みを説明できるかどうかを見ることで、応募者の柔軟性や改善意識を見極めます。
また、応募者の正直さと誠実さを確認する機会でもあります。
さらに、応募者の弱みが職務に与える影響を事前に把握し、適切なサポートやトレーニングが必要かどうかを判断するためにも重要です。
面接での強み弱みのアピール方法【5つ】
ここからは、面接で強み弱みのアピール方法を5つ紹介します。
これから面接に臨む方は、参考にしてください。
強みを言い換えて弱みを考える
「怒りっぽい」や「人の言うことを聞かない」など、弱みの内容によっては、採用担当者への印象を悪くすることがあります。
また、強みとの一貫性がないと、企業が応募者の人間性を把握しにくくなります。
採用担当者に良い印象を持ってもらえる弱みを考える際は、強みを弱みに言い換えてみましょう。
強みを弱みに言い換える具体例は、以下のとおりです。
強み | 弱み |
行動力がある、決断が速い | せっかち、短期 |
集中力がある | 頑固 |
向上心がある | 負けず嫌い |
思慮深い | 優柔不断 |
用意周到 | 神経質 |
効率的 | 面倒くさがり |
計画力がある、慎重 | 心配性 |
サポート力がある | おせっかい |
芯が強い | マイペース |
柔軟に対応できる | 無計画 |
流行に敏感 | 飽き性 |
強みを弱みに言い換えることで、主張に一貫性を持たせ、採用担当者へアピールしやすくなります。
要点を絞る
面接では、自分のことをアピールするために、1つの質問に伝えたいことをたくさん詰め込もうとする方も少なくないでしょう。
しかし、主張が冗長になると、採用担当者へ上手く伝わらない可能性があります。
面接で強み弱みをアピールするためには、伝えたいことを整理し、要点を絞って伝えましょう。
- 改善前
- 私は、高校時代に友人から「生徒会長に向いている」と言われました。
そのため、たくさんの候補者がいる中で、生徒会長に当選し、生徒会長を務めることになりました。
生徒会には、私が集めた8人のメンバーがおりみんな優秀でした。
しかし、ほとんどのメンバーが生徒会未経験でした。そんなメンバーを時間をかけて計画的に全身全霊でサポートし、あきらめず続けました。
また、喧嘩をしたり、議論が上手くいかなかったりしましたが、上手くメンタルケアしました。
それにより無事に任期を負えました。
- 改善後
- 私は、高校生時代に生徒会長を務めていました。
その際、私の強みであるサポート力で効率的に業務ができるようにサポートしつつ、メンタルケアも欠かせませんでした。
結論から話す
面接での強みや弱みをアピールする際は、結論から話しましょう。
エピソードや理由などを始めに伝えると、採用担当者へもっとも伝えたいことが伝わらない可能性があります。
面接で強み弱みを伝える場合は、自分の強みや弱みを簡潔に述べ、その後具体例やエピソードを使って詳しく説明しましょう。
一例として、
私の強みはチームリーダーシップです。
前職でのプロジェクトでは、チームをまとめて目標を達成しました。
私の弱みはプレゼンテーションスキルです。
ただ、最近はトレーニングを受け、改善に努めています。
と結論から話すことで、要点を明確に伝えられます。
エピソードを組み込む
面接での強みや弱みをアピールする際は、エピソードを組み込みましょう。
具体的なエピソードを使うと、あなたの強みや弱みの再現性が明確になります。
一例として、
私の強みは問題解決能力です。
大学で所属していた学生団体では、数百人規模のイベントで責任者を務めました。
イベントでは、突然のトラブルが発生しました。
しかし、迅速に解決策を見つけてプロジェクトを成功に導きました。
私の弱みはプレゼンテーションスキルです。
しかし、ある学会で苦労し、教授の助言を受けて改善しました。
とエピソードを組み込むことで、具体性と信憑性を持たせられます。
ゆっくりはっきり話す
面接で強みや弱みをアピールする際は、ゆっくりはっきり話しましょう。
緊張した状態で話すと、早口になる可能性があります。
早く話すと、採用担当者へ伝えたいことが上手く伝わりません。
ゆっくりはっきり話すように意識することで、自分の話したいことを整理するだけでなく、採用担当者へ自信や誠実さが伝わります。
また、口角を上げ、笑顔で話すことで、採用担当者へ好印象を与えられます。
企業が評価するスキル
企業は、以下の3つのスキルを基準に応募者を評価します。
強み弱みを考える場合は、3つの基準に基づいて考えなければなりません。
ここからは、企業が評価するスキルを紹介します。
ポテンシャル
ポテンシャルとは、将来の発展性や潜在能力のことです。
その人や物がまだ表に出していないが、将来的に大きな力を発揮する可能性を持っていることを意味します。
ポテンシャルの高い応募者は、現在のスキルや経験に加えて、さらに成長し、重要な役割を果たす可能性が高いと評価されます。
ポテンシャルの高い人材を採用することで、長期的な成長と成功を期待できるため、とくに重要視されます。
ポータブルスキル
ポータブルスキルとは、特定の業種や職種に依存せず、どのような環境でも活用できる汎用性の高いスキルです。
代表的なポータブルスキルには、論理的思考力、プレゼンスキル、コミュニケーション能力、問題解決能力、交渉力などがあります。
ポータブルスキルがあると、どの企業や職場でも価値を持ち、キャリアの変化に対応しやすくなるでしょう。
ポータブルスキルを持つ人は市場価値が高く、どの業界でも活躍できる可能性が広がります。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、ビジネスにおいて業務をスムーズに遂行するための専門知識や技術のことです。
ハーバード大学のロバート・カッツが提唱したカッツモデルにおいては、職階ごとに求められるスキルの割合が示され、低い階層ほどテクニカルスキルが重要とされます。
具体例には、販売職の接客技術や事務職の事務処理能力、ITエンジニアのプログラミングスキルなどがあります。
強み弱みを分析するフレームワーク【11個】
面接で強み弱みを話すためには、事前に自分の強み弱みを理解しなければなりません。
しかし、自分の強み弱みがよくわからないという方も少なくないでしょう。
そんな方には、フレームワークがおすすめです。
ここからは、強み弱みを分析したい方におすすめのフレームワークを11個紹介します。
自分史
自分史とは、これまでの人生を振り返り、時系列に沿って出来事や体験を書き出す手法です。
過去の経験から自分の行動や考え方、大切にしている価値観に気づけます。
自分史により、自分自身をより深く理解し、就活において自己PRや志望動機を明確にするための土台を築けるでしょう。
モチベーショングラフ
モチベーショングラフは、自己分析の一環として用いられる手法です。
自分の過去の経験におけるモチベーションの変動を視覚化します。
横軸に時間、縦軸にモチベーションのプラス・マイナスを設定し、モチベーションの波を描きます。
作成することで、どのような状況でモチベーションが高まったか、逆に低下したかを明確にし、自分の価値観や行動特性を理解できるでしょう。
これにより、自分に適した職場環境や仕事の選択がしやすくなります。
SWOT分析
SWOT分析は、企業が戦略を策定する際に用いるフレームワークです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
の頭文字を取ったもので、自社の内部環境を強みと弱み、外部環境を機会と脅威に分けて評価します。
SWOT分析により、自身の課題や改善点を発見し、適切な対応策を講じることが可能です。
SWOT分析はシンプルで直感的な手法であり、他のフレームワークと組み合わせることで現代の複雑なビジネス環境にも適応できます。
そのため、自分とマッチする企業選びや採用担当者の印象に残る自己PRを目指すための重要な手法として、今でも広く活用されています。
自己分析表
自己分析表とは、これまでの経験や特徴的なエピソードを紙に書き出すことで自己理解を深める手法です。
自己分析表を用いて客観的な視点から自身を振り返り、ひとつひとつのエピソードを深掘りすることで、自分の強みや弱み、喜びややりがいを感じるポイントを明確にできます。
紙に書き出すことで、頭の中で考えるよりも考えを整理しやすくなり、明確な自己分析が可能になるでしょう。
そのため、多くの就職活動生がこの方法を取り入れています。
具体的な作成手順としては、過去の経験を洗い出し、それを掘り下げて強み弱みを見つけ、将来の目標と結びつけるステップを踏みます。
Will・Can・Must
Will・Can・Mustとは、仕事やビジネスで成果を上げるための思考方法です。
- 自分の意志や望んでいることである「したいこと(Will)」
- 自分の強みや能力を発揮できることである「強みを活かせること(Can)」
- 他者(採用担当者など)があなたに求めていることである「求められていること(Must)」
を一致させることを目指します。
Will・Can・Mustが一致すると、自分の意志、能力、他者の期待が調和し、最大の成果を生み出せます。
Will・Can・Mustを利用して自己分析することで、再現性の高い強み弱みを考えられるでしょう。
マインドマップ
マインドマップとは、思考やアイデアを視覚的に整理するためのフレームワークです。
1970年代にトニー・ブザンが提唱したことで広く知られるようになりました。
中心にメイントピックを置き、そこから放射状に枝分かれしていく形で、各枝に関連するキーワードや画像を配置します。
マインドマップは、脳の構造を模倣しており、思考を可視化することで情報の整理やアイデアの発想を助けます。
質の高いマインドマップを作成することで、テーマや各ポイントの重要性を明確に示し、一目で情報全体を把握できるでしょう。
また、編集が容易で、後からアイデアを追加したり再構成したりできます。
マインドマップを利用すると、強み弱みのエピソードや理由を見出せます。
自己分析1000問
自己分析1000問は、前田裕二氏の著書「メモの魔力」に掲載された、自分を深く理解するための質問集です。
編集者の箕輪厚介氏によって無料で公開されており、PDF形式でダウンロード可能です。
前田裕二氏は、ノート30冊分の自己分析を通じて、自己分析1000問を編み出しました。
自己分析1000問は、過去の出来事や感情を具体的に思い出し、それを抽象化し、今後の行動に転用するプロセスを含みます。
そのため、自己理解を深め、価値ある人間関係や自己実現につながる行動を導く助けとなるでしょう。
強み弱みを探す際に、自己分析1000問は非常に役立ちます。
ジョハリの窓
ジョハリの窓は、自己理解を深め、対人関係を円滑にするための心理学モデルです。
1955年にアメリカで開催された「グループ成長のためのラボラトリートレーニング」で心理学者ジョセフ・ルフト氏とハリ・インガム氏によって発表されました。
自分自身と他者の認識のズレを理解するためのフレームワークであり、主観と客観の両面から自己を認識する助けとなります。
- 自分も他人も知っている自己の部分である「開放の窓」
- 自分では気づかないが他人は知っている自己の部分である「盲点の窓」
- 自分だけが知っている他人には見せていない自己の部分である「秘密の窓」
- 自分も他人も知らない自己の部分である「未知の窓」
の4つの領域に分類して自己分析します。
ジョハリの窓を用いることで、自分自身の特性や行動パターンを客観的に見つめ直し、他者からのフィードバックを受け入れることで、自己理解を深められるでしょう。
また、自己開示を促進し、他者とのコミュニケーションを円滑にするための手段としても利用されます。
マンダラチャート
マンダラチャートとは、9×9のマスで構成されたシートを利用する手法です。
マンダラートと呼ばれることもあります。
マンダラチャートの語源は仏教の「曼荼羅」にあり、経営コンサルタントの松村寧雄氏が考案しました。
中心にメインテーマを置き、その周囲に8つのサブテーマを配置します。
そして、各サブテーマを完了するための課題やアクションを設定し、具体的な行動計画を視覚化します。
マンダラチャートにより、大きな目標を細分化し、達成のためのステップを明確化できるでしょう。
マンダラチャートは、目標設定だけでなく問題解決にも有効です。
中心に直面している問題を記入し、8つのサブテーマとして問題解決の要素やアクションを分析することで、多角的な視点から解決策を導き出せます。
強み弱みをアピールするためには、詳細を伝えるだけでなく、入社後にどのように活かしたり、改善したりするかも伝えなければなりません。
マンダラチャートを使用すると、入社後に強み弱みを基にどのようなキャリアビジョンを歩むかを伝えることができるでしょう。
5W1H
5W1Hとは、ビジネスにおける情報伝達のフレームワークです。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
の6つの要素で構成されています。
5W1Hは、情報を漏れなく、わかりやすく伝えるために利用されます。
強み弱みを考える際、5W1Hの要素を明確にすることで、採用担当者が知りたい情報を的確に把握できるような主張を考えられるでしょう。
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析とは、発生した問題に対して「なぜ(why)」を繰り返し問いかけることで、根本的な原因を探り出す手法です。
トヨタ生産方式の一環として広まりました。
なぜなぜ分析は、真因(本当の原因)にたどり着くための方法で、論理的な問題解決を目指します。
一例として、心配性という弱みがある場合、やることを終えても問題なく終えているか心配になるなど、表層的な問題を掘り下げていくことで、高校時代に自分のミスを担任教師に指摘されたことが原因であることを突き止められます。
一般的に「なぜ」を4〜5回繰り返すことで、隠れた原因を明らかにできるでしょう。
なぜなぜ分析は、複雑な知識やスキルを必要とせず誰でも実施可能です。
思考のフレームワークとして、最短で効果的な解決策を導き出すため、多くの就活生に利用されています。
ーまとめー
強みと弱みを明確にし、再現性を意識して準備しよう
今回は、面接で応募者の強み弱みのアピール方法を具体例とともに紹介しました。
面接で採用担当者から聞かれたことへ回答する際は、内容の明確さだけでなく、入社後の再現性をアピールしなければなりません。
自分の強み弱みが思いつかない場合は、家族や友人に聞いてみてください。
また、回答内容を何度も見直すだけでなく、考えた回答が採用担当者へ上手くアピールできるかも確かめる必要があります。
面接対策では、就職エージェントや大学のキャリアセンターなどの意見も聞いてみてください。
入念な選考対策を講じることにより、理想的なキャリアビジョンを実現させましょう。
まとめ
強みと弱みを明確にし、再現性を意識して準備しよう
今回は、面接で応募者の強み弱みのアピール方法を具体例とともに紹介しました。
面接で採用担当者から聞かれたことへ回答する際は、内容の明確さだけでなく、入社後の再現性をアピールしなければなりません。
自分の強み弱みが思いつかない場合は、家族や友人に聞いてみてください。
また、回答内容を何度も見直すだけでなく、考えた回答が採用担当者へ上手くアピールできるかも確かめる必要があります。
面接対策では、就職エージェントや大学のキャリアセンターなどの意見も聞いてみてください。
入念な選考対策を講じることにより、理想的なキャリアビジョンを実現させましょう。