転職を考えている方の中には、ブランクができることを避けるため、働きながら転職活動をすることを検討している方も多いと思います。
しかし、今の仕事と転職活動・転職先企業との兼ね合いなどで、様々な不安や疑問もあるでしょう。
この記事では、働きながらの転職活動について、よくある疑問にQ&A形式でお答えしていきます!
よくある疑問リスト
Q. 在職中に転職したらいつから働けますか?
Q. 働きながら転職するのは違法ですか?
Q. 面接での「いつから働けますか?」にはどう答えればいいですか?
Q. 面接日程の調節はどうすればいいですか?
Q. 内定から入社までどれくらい待ってもらえますか?
Q. 20代は働きながら転職活動した方がいいですか?
Q. 働きながらでもハローワークを利用できますか?
Q. 転職活動を始めることを会社に相談した方がいいですか?
Q. 働きながら転職活動するとどれくらいかかりますか?
Q. 働きながらでも職場から離れた場所に転職できますか?
Q. 派遣で働きながらでも転職活動できますか?
在職中に転職したらいつから働けますか?
多くの場合、内定から1〜3ヶ月後になります。
転職先の企業から内定が出た時点でまだ働いている場合、まずは上司に退職の意思を伝えましょう。
それから正式に退社した後で、次の会社で働き始めることができます。
内定後に働き始めるまでの期間は、もちろん転職先の企業にもよりますが、できる限り早く来てほしいという企業がほとんどです。
そのため、働き始めるまでにかかる時間は、退職の意思を伝えてから退社できるまでの時間と考えて良いでしょう。
退職の意思を伝えてから退社できるまでにかかる期間
法的には、退職の意思を伝えてから2週間経てば、退社して良いことになっています。
しかし多くの会社では、それとは別に「退職の何ヶ月前に退職の意思を伝えるべきか」が就業規則で定められています。
この期間は企業によって異なりますが、引き継ぎや退職の手続きにかかる時間を考慮して、1〜3ヶ月程度とされている場合が多いようです。
また、役職や状況によっては、就業規則以上の時間がかかることもあります。
正確にいつ退職できるのかは、退職の意思を伝えた時に、上司と相談して決めることになります。
働きながら転職するのは違法ですか?
基本的に違法ではありませんが、会社との契約を確認する必要があります。
日本国憲法では、「職業選択の自由」が認められています。
このことから、在職中であっても、自分の職業を自由に選ぶことができます。
ただし、会社との契約によっては、働きながらの転職活動が契約違反となり、賠償責任を問われる可能性があります。
転職活動を始める前に、雇用契約や就業規則を確認しておくことが大切です。
特に、「競業避止義務」の契約の有無には注意しましょう。
競業避止義務とは
競業避止義務とは、競合企業への転職や、競合する企業の設立をしないという義務のことです。
これは、自社社員が競合企業と関わることで、内部情報や会社独自のノウハウ・スキルなどを競合企業に奪われ、企業に大きな損失となる可能性があることから、企業の利益を守るために締結されます。
自分が今の会社に対して就業避止義務を負っているかどうかは、入社時の誓約や就業規則などで確認できるので、転職活動の前に必ず確認しておきましょう。
もし競業避止義務があったら?
競業避止義務契約を締結していた場合、在職中に競合企業への転職活動をすることはできません。
在職中に競業避止義務に違反すると、退職金が減額またはもらえなくなったり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
在職中に転職活動したいのであれば、競合ではない企業を選びましょう。
同業他社に転職したい場合は、一度退職する必要があります。
また、退職後に関しても「○年は競合企業へ転職してはいけない」などの規定がある場合もあります。
退職時に契約を求められることもあるので、同業他社への転職を望んで退職する場合は注意しましょう。
面接での「いつから働けますか?」にはどう答えればいいですか?
在職中であることを伝え、現職を退職できるまでの期間を答えましょう。
働きながら転職活動を行い、内定が出てから退職する人は珍しくないので、緊急の求人でなければ退職がまだでも全く問題ありません。
まずは在職中であることを伝え、現職を退職できるまでにどのくらいかかりそうかを伝えましょう。
退職できるまでの期間は、就業規則を参考にして答えましょう。
もちろん、役職や仕事の状況によっては、就業規則の通りの期間で退職することが難しい場合もあります。
そのため、退職の意思を伝える前は、正確な退職日は分からないことがほとんどです。
しかし、面接ではあくまで目安を伝える形で問題ありません。
一番やってはいけないのは「分からない」という回答です。
会社の就業規則や自分の仕事についての理解が不十分という印象になってしまいます。
就業規則と自分の状況を分析して、具体的に何ヶ月くらいで退職できそうかをあらかじめ考えておくと良いでしょう。
「いつから働けますか?」という質問の意図とは?
面接で「いつから働けますか?」と聞く意図には、純粋に自社の希望する日程で仕事を始めてもらえるかどうかの確認のほかに、間接的に志望度を確認するという意図があることもあります。
特に既に退職済みの人の場合は、基本的に内定が出た直後から働けるはずですが、その会社の志望度が低い場合、志望度の高い会社の選考結果を待つために、内定が出てからすぐに入社可能とは言えません。
そのため、この質問から間接的に志望度を確認できるのです。
しかし、働きながら転職活動をしている場合、入社までにある程度時間がかかるのは普通のことなので、たとえその会社の志望度が低く、他社の選考を待ちたい場合でも、そのことをあえて伝える必要はありません。
また、この質問を聞かれたことで、「選考に通過した」と思う人もよくいるようです。
しかし、上記のような理由で、面接をした人全員にこの質問をしている場合も多いため、これで選考結果を知ることはできないと考えておいた方が良いでしょう。
面接日程の調節はどうすればいいですか?
平日に有給休暇を取得し、複数の面接をまとめて受けましょう。
基本的に面接は相手側企業の就業時間内に行われます。
そのため、平日の昼間に面接が設定されることが一般的です。
面接の日程を休日などに調整してもらえる場合もありますが、ほとんどの場合、有給休暇などをとって平日に時間を作ることになります。
しかし、働きながらの転職活動では、転職活動によって今の会社に迷惑がかからないようにするという配慮も大切です。
面接の時期が有給休暇を取得しても業務に支障が出にくい時期になるようにスケジュールを調整する、複数社の面接の予定をまとめて仕事を休む日をなるべく少なくする、といった工夫も必要です。
また、働きながらの転職活動では、基本的に今の会社に迷惑がかからないようにするのがマナーですが、一度面接の日が決定したら、急な仕事の用事が入っても極力面接の予定を優先しましょう。
確定した面接の予定の変更やキャンセルは印象が悪く、これが原因で不採用となるケースもあります。
内定から入社までどれくらい待ってもらえますか?
多くの場合1〜3ヶ月です。
就業規則などからも分かる通り、多くの会社は退職の意思を伝えてから実際に退職するまでに1〜3ヶ月かかります。
そのため転職先の会社側も、在職中の人を採用する場合は入社までに1〜3ヶ月ほどかかると想定していることがほとんどなので、そのくらいの期間は待ってもらえると考えて良いでしょう。
しかし、内定から入社まで4ヶ月以上かかる場合は、転職先の企業の希望に合わない場合が出てくるため、相談や調整が必要になり、場合によってはそれが理由で内定が見送りになってしまうこともあります。
そのため、今の仕事の規則や状況から退職まで4ヶ月以上かかりそうな場合は、入社まで長期間待ってもらえる求人を選ぶ、転職先の目処が立ったところで退職するなど、工夫する必要が出てきます。
入社日が決まっている場合、基本的には延期できない
また、一度入社日が決まったら、基本的に入社日の延期は避けるべきです。
入社日が決まった後では、転職先では新しく入社する社員に仕事を任せる前提でプロジェクトの計画などが進んでいる場合があり、入社日を延期することで転職先に大きな迷惑をかけてしまう可能性があります。
そのため、入社日は確実に仕事を始められる日に設定しましょう。
特に、内定をもらった時点でまだ今の職場に退職の意思を伝えていない方は、自分が思っているよりも退職までに時間がかかってしまう可能性があります。
入社日は内定をもらった時に聞かれることが一般的ですが、その場ですぐに答える必要はありません。
事情を話して一度解答を保留し、今の会社と相談して退職日が決まってから入社日を決めるようにしましょう。また、それでも急遽入社日を延期しなければならなくなった場合は、1ヶ月ほどは待ってくれる企業が多いようです。
転職先の会社に事情を説明し、延期してもらった入社日に確実に入社できるよう調整しましょう。
20代は働きながら転職活動した方がいいですか?
ブランクを作らないためにも、働きながら転職活動するのがおすすめです。
20代の方の場合、一度仕事を辞めるよりも、今の仕事を続けながら転職活動するのがおすすめです。
仕事を辞めてから転職活動すると、なかなか転職先が決まらなかった場合に、長いブランクができてしまうというリスクがあります。
そして、20代での長いブランクは、経歴として大きなマイナスになってしまいます。
特に新卒で入社してから数年後に長いブランクがあると、「仕事が続かない人」という悪印象になってしまうかもしれません。
また転職の求人では、新卒の求人と比べて即戦力となるようなスキルや経験を重視する傾向にあります。
20代はそもそも経験が浅いのが普通ですが、そこに長期間のブランクもあると、スキルや経験の点で一層不十分と見られてしまうことになります。
ブランクが長くなればなるほど、転職先が決まりにくくなってしまうため、仕事を辞めずに転職活動を進めた方が安心です。
20代は働きながらの転職活動におけるデメリットも小さい
働きながらの転職活動では、仕事と転職活動を両立させるのが難しいというデメリットがあります。
しかし、20代の場合は上の年代と比べて、まだ重要な役職についている人が少なく、仕事量も比較的調整しやすいため、働きながらでも転職活動のための時間が作りやすいと言えます。
また、転職先が決まって退職する際も、上の世代では引き継ぎなどに時間がかかり、内定が出ているのにすぐに退職できなくなってしまうこともありますが、20代ではそのようなトラブルの可能性も低いでしょう。
このように、働きながら転職活動する時のデメリットが小さいため、あえて仕事を辞めるよりも転職で上手くいく可能性が高くなります。
20代でも辞めてから転職した方がいいケース
もちろん、20代でも全てのケースで働きながら転職活動すべき、というわけではありません。
今の会社の環境が極端に悪く、精神面や体力面で大きな負担がある場合は、心身を壊してしまう前に退職した方が、転職も上手くいきやすいでしょう。
そのような職場では、働きながら転職活動のために時間や労力を割くことが難しくなってしまい、思うように転職活動を進められない可能性があります。
また、人手不足が深刻な会社では、転職活動が会社にバレてしまったり、転職先が決まって退職を伝えたりした際にしつこく引き止められるなど、トラブルになってしまうこともあるようです。
20代の転職活動では、長いブランクができることが比較的大きなリスクになってしまいますが、将来性があるという理由で比較的需要が高く、他の世代と比べて転職の難易度が低いのも事実です。
一度仕事を辞めてからでも、努力次第でブランクを短くすることは十分可能と言えます。
そのため今の職場に問題がある方は、一度仕事を辞めてしまった方が、上手くいく場合が多いでしょう。
働きながらでもハローワークを利用できますか?
ハローワークは在職中の方の転職相談も受け付けています。
ハローワークは失業中の人のサポートをするところというイメージがあるかもしれません。
しかし、ハローワークは今仕事をしているかどうかに関わらず、就職・転職についての相談を受け付けています。
求人の紹介や転職に関するアドバイスの他、職業訓練などのサービスも利用可能です。
しかし、多くのハローワークは平日の日中のみの営業となっています。
そのため、平日に休みがない方の場合は、働きながらハローワークに通うのは難しいでしょう。
また、企業への紹介状は離職票がなければ発行してもらえません。
在職中でも退職届を提出し、離職票を受け取った後であれば紹介状を出してもらえますが、内定をもらってから退職する予定の方は、ハローワークの紹介状を利用した転職活動はできないので注意しましょう。
転職活動を始めることを会社に相談した方がいいですか?
内定が出るなど、退職することが確定してから相談しましょう。
働きながらの転職活動は、スケジュール的にも体力的にも厳しい面が多々あります。
それでも働きながら転職活動をする大きなメリットのひとつとして、もし転職が上手くいかなくても、今の会社がセーフティーネットになるということが挙げられるでしょう。
しかし、転職活動を周囲に公表してしまうことで、転職をやめても会社に残りづらくなってしまうかもしれません。
また、それとは逆に会社の状況や職場内での立場、役割によっては、転職をしつこく引き止められてしまい、トラブルになることもあるようです。
無用なトラブルを避けるためにも、今の会社への相談は、内定が出るなど、転職活動にある程度目処が立ち、退職することが確定してからにしましょう。
働きながら転職活動するとどれくらいかかりますか?
平均的には半年前後かかります。
2019年に実施された、パーソナルキャリア株式会社の「転職に関するアンケート」によると、転職先が決まってから退職した方の平均転職活動期間は5.6ヶ月という結果が出ています。
一方、転職先が決まる前に退職した方の平均転職活動期間は4.9ヶ月と、働きながら転職活動をした方の場合よりも短くなっています。
これは、働いていると転職のために使える時間が限られているということや、退職した後では、転職活動期間が長引くほどキャリアの面でも経済面でも苦しくなるため、早めに転職先を決める人が多い、ということが要因になっていると考えられます。
働きながらでも職場から離れた場所に転職できますか?
オンライン就活や転職エージェントを活用しましょう。
希望の転職先が遠方になる場合、説明会や面接で自宅から遠くへ移動しなければならない場合も多いでしょう。
働きながら転職活動する場合、遠方へ行く時間を作るのは大変です。
そこで、オンラインでの面接に対応してもらえる会社に応募するなど、インターネットを活用するのがおすすめです。
また、遠方での就職を希望の方は、転職エージェントの利用も検討しましょう。
転職したい地域の求人を扱う転職エージェントは、その地域の企業情報に精通し、自分の条件に合っていて、遠方からの転職活動がしやすい求人を紹介してもらえます。
それに加え、企業との交渉もできるため、面接日程や方法の調整もしやすくなります。
特に、その地域で働きたい、住みたいという気持ちが大きい場合、その地域の複数の求人に応募することになるでしょう。
しかし、仕事をしながら何度も移動することは、時間的にも経済的にも大きな負担になります。
面接日を調節してもらって、一回の移動で複数社の面接を済ませたり、オンライン面接に変更してもらったりすることで、負担を大幅に軽減できます。
派遣で働きながらでも転職活動できますか?
転職活動はできますが、退職が雇用期間中にならないように注意しましょう
派遣社員でも、基本的には正規雇用の社員と同様に、競業避止義務などの特別な契約がない限り、自由に転職活動を行えます。
実際、正社員として働き続けながら転職活動するのが難しく、転職のために退職した人が、ブランクを作らないために短期の派遣社員として働くという例もあります。
ただし、派遣社員の方の転職活動では、退職のタイミングに特に注意が必要です。
派遣社員は職場と雇用期限のある有期雇用契約を締結することになります。
有期雇用契約では、基本的に契約期間の途中で辞めることはできないため、契約期間が終了してから次の会社で働き始めるように、タイミングを調整する必要があります。
有期雇用契約の辞職について
雇用期間が特に定められていない場合、法的には2週間、会社の就業規則では1-3ヶ月で辞職できます。
一方、雇用期間が決まっている有期雇用契約は、「雇用期間中は働く」という内容を含む契約です。
そのため、就労環境が極端に悪かったり、病気や怪我をしたりといったやむを得ない理由がなければ、雇用期間中に辞職することはできないということが、民法で定められているのです。
さらに、やむを得ない理由があったとしても、損害賠償を請求される場合もあります。
また、雇用期間が1年以上の場合は、働き始めてから1年以上経過していれば辞職が認められる可能性があります。
しかし、この場合でも雇用期間が終わらないうちに辞職してしまうと、職場に迷惑がかかってしまうでしょう。派遣社員の場合、雇用期間中の辞職はマナー違反と言えます。