
転職活動において、費用面を懸念している方も少なくないでしょう。
とくに、現職を退職してから転職活動を始める方は、生活費なども考慮しながら転職活動を進めなければなりません。
そこで、本記事では転職活動にかかる費用の内訳や費用を節約するための方法などを解説します。
この記事を参考に、転職活動にかかる費用を理解し、余裕を持って転職活動を進めましょう。

転職活動にかかる費用とは?

リクナビNEXTによると、転職活動にかかる費用の合計金額は、以下のとおりです。
金額 | 10万円未満 | 10~30万円未満 | 30~60万円未満 | 60~90万円未満 | 90万円以上 | 覚えていない |
割合(%) | 67.6 | 11.5 | 4.4 | 2.4 | 0.6 | 13.5 |

どうして転職活動は、こんなに費用がかかるんですか?
という疑問を持っている方のために、転職活動にかかる費用の内訳を6つの項目にわけて紹介します。
交通費
面接や企業説明会を対面で実施する場合、居住地と面接地の距離や利用する交通手段によって金額は異なりますが、交通費が発生します。
一般的な交通費の相場
- 近距離(同一都市内):数百円〜1,000円程度
- 中距離(隣接県など):1,000円〜3,000円程度
- 長距離(新幹線や飛行機利用):5,000円〜10,000円以上
転職活動中の交通費は、基本的に自己負担です。
しかし、企業によっては支給される場合もあります。
交通費については、事前に募集要項や面接案内で確認しておきましょう。
また、支給されない場合、確定申告で「求職活動に関する費用」として一部控除対象になることもあります。
交通費が発生するときは、領収書や記録をきちんと残してください。
スーツ・服飾費
転職活動ではスーツや靴、カバンなどが欠かせません。
服装自由の職場で働いている方や転職活動用にスーツなどを新調する方は、服飾費が発生します。
スーツ一式の相場
- スーツ一式(ジャケット・パンツ・シャツ):約30,000〜50,000円
- ネクタイやベルトなどの小物:約5,000〜10,000円
- ビジネスシューズ:約10,000〜20,000円
転職活動で利用するスーツ一式は、過度に高価なものを揃える必要はありません。
スーツ一式を選ぶときは、清潔感ときちんとした印象を重視してください。
なお、業界や職種によってはオフィスカジュアルでも問題ない場合があります。
服装については、事前に確認しておきましょう。
また、スーツ一式の購入費用は、確定申告の経費には計上できないため注意しましょう。
転職活動における服装の注意点について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。




履歴書・証明写真代
転職活動では、履歴書や証明写真を準備しなければなりません。
履歴書・証明写真代
- スピード写真機(証明写真機):約700〜1,000円
- 写真館・フォトスタジオ:約2,000〜10,000円
- スマホアプリ+コンビニ印刷:約200円(撮影は無料またはアプリ内課金)
履歴書用紙:約100〜300円
紙媒体の履歴書を求める企業もありますが、最近はデータ提出を求める企業も増えています。
履歴書・証明写真代は、基本的に自己負担です。
また、確定申告でも経費としては基本的に認められません。
履歴書や証明写真について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。




資格取得・教材費
転職活動中に資格取得やスキルアップのためにかかる教材費や受験料は、自己投資として重要な支出です。
国家資格の相場(例:宅地建物取引士、中小企業診断士、社会保険労務士)
- 受験料:5,000〜15,000円
- 教材費:4万〜9万円程度
- 学習期間:半年〜1年程度
専門職資格の相場(例:介護福祉士、登録販売者)
- 受験料:12,800〜18,200円
- 教材費:約1万〜2万円
- 学習期間:数ヶ月
とくに、希望職種に直結する資格は、選考時にプラス評価されることがあります。
なお、資格取得・教材費も原則として確定申告の経費にはできません。
計画的に学習を進め、無駄な出費を抑えましょう。
転職活動に役立つ資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


引っ越し費用
家庭の事情などにより、転職時に引っ越す場合は、荷物の量や引越し業者の有無によって異なりますが、引っ越し費用が発生します。
単身者の引っ越し費用相場
- 同一市区町村内の引越し:約27,000円〜44,000円
- 同一都道府県内の引越し:約35,000円〜54,000円
- 同一地方内の引越し:約50,000円〜81,000円
- 遠距離引越し(500km以上):約90,000円〜140,000円
家族(2〜3人)の引っ越し費用相場
- 同一市区町村内の引越し:約60,000円〜100,000円
- 同一都道府県内の引越し:約66,000円〜116,900円
- 同一地方内の引越し:約97,000円〜180,000円
- 遠距離引越し(500km以上):約198,000円〜345,600円
賃貸物件の初期費用相場
- 敷金:1ヶ月分
- 礼金:1ヶ月分
- 仲介手数料:0.5〜1ヶ月分
- 前家賃:1ヶ月分
- 鍵の取り換え費用:15,000〜20,000円
- 火災保険料:15,000〜20,000円
- 保証会社利用料金:0.5〜1ヶ月分
転職に伴う引っ越し費用は、自己負担が基本です。
しかし、企業によっては、支援制度を整備していることもあります。
内定承諾前に引っ越し支援の有無を確認しましょう。
また、転職による引っ越しは、条件を満たすと確定申告で「引越し費用控除」の対象になる可能性もあります。
領収書や契約書類は、必ず保管しておきましょう。
生活費
転職活動中は収入が不安定になりやすいため、生活費を見直さなければなりません。
個人の生活スタイルや居住地域によって異なりますが、総務省統計局によると、単身世帯の1カ月あたりの平均生活費(消費支出)は約16万円とされています。
また、収入が途絶える期間を乗り切るためには、少なくとも給与の2カ月分以上の貯蓄が必要です。
家賃や食費、通信費などを必要最低限に抑え、無理のない資金計画を立てましょう。
とくに、転職活動は予想以上に活動が長引くこともあるため、余裕を持った資金準備を意識してください。
転職活動の費用を抑えるための対策【5つ】


転職活動の期間や経済力は、個人差があります。
転職活動で内定が出るまでの期間 | 3週間以内 | 1ヶ月間 | 2ヶ月間 | 3ヶ月間 | 4~6ヶ月間 | 7ヶ月以上 |
割合(%) | 21 | 16 | 19 | 17 | 20 | 7 |
退職時の貯金額 | 50万円未満 | 50~100万円未満 | 100~200万円未満 | 200~300万円未満 | 300~400万円未満 | 400~500万円未満 | 500万円以上 |
割合(%) | 32 | 9 | 16 | 9 | 8 | 7 | 19 |
とくに、転職活動は、入社してから収入を得るまで1ヵ月以上必要なため、費用面を考慮しなければなりません。
コストを抑えることで、期間が長くなったとしても、余裕を持って転職活動を進められます。
ここからは、転職活動の費用を抑えるための対策を5つ紹介します。
Web面接の活用
| 転職活動の交通費を抑えるためには、Web面接を活用しましょう。
Web面接は、自宅でできるため、金銭面の負担を抑えられます。
また、スケジュール調整もしやすく、遠方の企業にも応募しやすくなります。
なお、オンライン面接を受けるためには、以下のようなものを事前に準備してください。
Web面接に必要なもの
- PCまたはタブレット・スマートフォン
- 音声機器(イヤホンやヘッドセット)
- インターネット環境(有線LANやWi-Fi)
- オンライン面接用ツール(ZoomやMicrosoft Teamsなど)
また、Web面接では、通信環境やカメラ映りに注意し、対面と同様に身だしなみを整えましょう。
Web面接の注意点を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


転職エージェントの活用
| 転職活動の費用や時間を抑えるためには、無料で利用できる転職エージェントを活用しましょう。
エージェントは、履歴書添削や面接対策、企業との日程調整までサポートしてくれます。
そのため、自己負担や時間的コストを減らせます。
また、非公開求人へ応募でき、効率的に転職活動を進められる点も魅力のひとつです。
スーツレンタル
| 転職活動中のスーツ・服飾費を抑えるためには、スーツレンタルサービスを利用しましょう。
スーツのレンタルサービスとは、必要な期間だけスーツを借りられるサービスです。
短期間の使用なら購入よりコストを抑えられ、クリーニング不要で手間も省けます。
スーツレンタルの相場(ビジネス・リクルート用(3泊4日))
- 基本セット(スーツ上下、ネクタイ、ベルト):約4,800円〜6,800円
- フルセット(スーツ上下、ネクタイ、ベルト、ワイシャツ、鞄、靴):約5,800円〜7,800円
また、サイズやデザインも豊富なため、自分に合った一着を選べます。
とくに、普段スーツを着ない業界への転職希望者は、スーツレンタルサービスを利用してみてください。
無料の証明写真アプリの活用
| 転職活動の履歴書・証明写真代を抑えるためには、無料の証明写真アプリを活用しましょう。
無料の証明写真アプリは、スマホで撮影した写真を簡単にサイズを調整したり、背景を加工したりできます。
そのため、写真館や証明写真機を使うよりコストを大幅に節約できるでしょう。
また、無料の証明写真アプリを利用すると、コンビニで安価に印刷できます。
さらに、Web上で公開されている履歴書のテンプレートなどを利用すると、履歴書の費用も節約できます。
公共交通機関の割引制度の活用
| 転職活動中の交通費を抑えるために、特定の期間に適用される割引チケットや回数券など、公共交通機関の割引制度を活用しましょう。
また、通勤定期券を利用して、面接にかかる交通費を最小限に抑えることも可能です。
事前に最寄りの交通機関の割引情報を確認して、賢く節約しましょう。
転職活動中に利用できる公的制度や支援策【5つ】


政府は、転職活動に活用できる制度や支援策を設けています。
転職活動中に公的制度や支援策を活用することで、金銭的な不安を軽減し、スキルアップや再就職のチャンスを広げられるでしょう。
ここからは、転職活動中に利用できる公的制度や支援策を5つ紹介します。
転職で活用できる補助金・助成金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。




求職者支援制度
求職者支援制度とは、雇用保険を受給できない求職者が、無料の職業訓練を受けながら生活支援を受けられる制度です。
厚生労働省が所管し、ハローワークを通じて利用申請ができます。
求職者支援制度が指定している訓練の受講期間中は、条件を満たすと月10万円の「職業訓練受講給付金」も支給されます。


再就職手当
再就職手当は、ハローワークを通じて申請すると支給される手当です。
雇用保険の基本手当(失業手当)の受給資格者が、所定給付日数の残日数が一定以上ある状態で早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。
厚生労働省が管轄している制度で、条件を満たすと基本手当の支給残日数の50%または60%に相当する支給額を受け取れます。


教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、厚生労働省が所管する雇用保険制度の一環で、働く人のキャリア形成や再就職を支援するための制度です。
厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了すると、受講費用の一部が給付金として支給されます。
給付の種類には、「一般教育訓練給付」、「特定一般教育訓練給付」、「専門実践教育訓練給付」があり、それぞれ支給率や上限額が異なるため、事前に確認しておきましょう。


早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、再就職支援会社を活用して離職者の早期再就職を図る企業に対し、一定の費用を助成する制度です。
厚生労働省が所管しており、ハローワークを通じて申請できます。
対象となるのは再就職支援が必要な従業員を離職させる企業で、条件を満たすと最大60万円の助成が受けられます。
早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)は、転職希望者に直接関係するわけではありません。
しかし、職業紹介や訓練など、企業によっては支援制度を整備していることもあります。
どの支援を受けやすくなるため、早期の再就職が期待できるでしょう。


人材開発支援助成金(業展開等リスキリング支援コース)
人材開発支援助成金(業展開等リスキリング支援コース)は、厚生労働省が所管する制度です。
企業が事業転換や新分野への進出にともない、従業員に新たな知識や技能を習得させる訓練を実施した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成します。
一例として、中小企業では訓練経費の最大75%、賃金助成として1人1時間あたり1,000円が支給されます。
在職中に新たなスキルを習得する機会が増えることで、キャリアの幅が広がり、転職活動において有利に働くでしょう。
アルバイトやフリーランスで資金を補填することについて


働きながら転職活動を進めるのは、金銭面に余裕を持って転職活動を進めるのに有効です。
株式会社マイナビによると、現職に在籍しながら転職活動を進めている人の割合は、2020年時点で67.5%だったのに対し、2022年時点では73.1%と増加傾向にあります。
しかし、業務量が多いなどの理由で、現職に在籍しながら転職活動を進めるのが難しいこともあるでしょう。
そのようなときには、アルバイトやフリーランスで転職活動に必要な資金を補填することもできます。
転職活動中にアルバイトで資金を補填することは、経済的な不安を軽減し、精神的な余裕を持って活動を進めるための有効な手段です。
その一方で、アルバイトの選び方や働き方には注意しなければなりません。
ここからは、転職活動中にアルバイトするメリットとデメリットを紹介します。
メリット①:金銭的な不安を軽減できる
アルバイトやフリーランスを活用して資金を補填することは、転職活動中の金銭的な不安を軽減する有効な手段です。
アルバイトやフリーランスで収入を補うことで、安定した収入源を確保しながら、次のキャリアに向けて準備できます。
また、時間や仕事の内容を調整できるため、転職活動と並行して効率よく資金を得られるでしょう。
メリット②:転職活動のモチベーションや集中力を保ちやすくなる
転職活動中は、将来への不安や周囲からのプレッシャーなどにより精神状態が不安定になります。
アルバイトやフリーランスで収入源を確保することで、転職活動中の金銭的な心配を軽減し、精神的に安定させられるでしょう。
また、経済的に余裕があると、転職活動へのモチベーションや集中力を保ちやすくなり、より冷静に面接や求人選びに取り組めます。
メリット③:自己肯定感を保てる
アルバイトやフリーランスにより収入源を確保することで、金銭的な不安から解放され、自己肯定感を保ちやすくなります。
また、仕事を通じて成果を出すことで、自分に対する自信が高まり、転職活動にも前向きに取り組めるようになるでしょう。
デメリット①:アルバイトが主目的になることがある
アルバイトやフリーランスは、転職活動期間中の収入確保が主な目的です。
しかし、アルバイトやフリーランスの時間が多くなると、転職活動よりも短期的な生活の安定を優先することがあります。
その結果、転職活動への時間やエネルギーを割くことが難しくなり、アルバイトが主目的となることもあります。
転職活動へ集中するためにも、計画的な時間管理を意識しましょう。
デメリット②:選考がシフトと被ることがある
アルバイトやフリーランスで資金不足を補うと、シフトや仕事の時間が転職活動の選考と重なることがあります。
とくに、面接や応募締切が予想外のタイミングで設定されると、調整が難しくなるでしょう。
転職活動中にアルバイトやフリーランスで金銭的な負担を軽減する場合は、事前にスケジュールを調整し、転職活動との両立を意識しましょう。
デメリット③:転職活動の準備時間が少なくなる
アルバイトやフリーランスで資金を補填する際、仕事の時間が長くなると転職活動の準備時間が減少することがあります。
履歴書の作成や企業研究、面接の準備など、転職活動には時間と労力が必要です。
しかし、仕事のシフトや納期に追われると、十分な時間を確保するのが難しくなるでしょう。
アルバイトやフリーランスを活用して転職活動費用を確保する場合は、時間管理を工夫し、転職活動に専念する時間を確保しましょう。


ーまとめー
転職活動にかかる費用を把握し、無駄な支出を抑えよう!


今回は、転職活動にかかる費用の内訳や費用を節約するための方法などを解説しました。
転職活動中は、収入が不安定になる恐れがあります。
そのため、生活費の見直しや貯蓄の確保が欠かせません。
転職活動にかかる費用の内訳を把握することで、無駄な支出を控え、効率的に転職活動を進められるようになります。
予算を計画的に管理し、余裕を持って転職活動を進めましょう!
まとめ
転職活動にかかる費用を把握し、無駄な支出を抑えよう!


今回は、転職活動にかかる費用の内訳や費用を節約するための方法などを解説しました。
転職活動中は、収入が不安定になる恐れがあります。
そのため、生活費の見直しや貯蓄の確保が欠かせません。
転職活動にかかる費用の内訳を把握することで、無駄な支出を控え、効率的に転職活動を進められるようになります。
予算を計画的に管理し、余裕を持って転職活動を進めましょう!