食品を扱う仕事がしたい方は、食卓の主役である食肉関連の仕事を一度は思い浮かべたことがあるでしょう。
食肉関連の仕事には、例えば精肉加工などがありますが、精肉加工がどんな仕事なのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では精肉加工について興味がある方に向けて、詳しく解説していきます。
精肉加工の仕事に興味がある方や、この分野でキャリアを積みたい方は、
ぜひこの記事を参考にして一歩踏み出しましょう。
精肉加工とは?どんな魅力がある?
精肉加工と聞くと、動物を解体しなければならないのか…と思う方もいるかもしれませんが、精肉加工で行うのは、解体後の肉の加工です。
精肉加工の魅力には次のようなものがあります。
魅力① 肉に関する知識がつく
肉は種類や部位、産地によって、特徴や扱い方が異なります。
また、肉のカットでは繊維の方向や調理方法に応じた切り方を学ぶことになります。
そのため、精肉加工に携わることで、肉に関する様々な知識が身に付くでしょう。
この知識は、日常生活にも役に立つはずです。
魅力② 精肉加工の技術が身に付く
精肉加工で行う作業のうち、肉のカットには、魅力①で紹介したような知識を習得した上で、そこから上手くできるようになるまでに時間がかかります。
その分、一度技術を身につけると転職の際に非常に有利です。
これまでの職場を辞めなければならなくなった時にも、次の仕事に困ることは少ないでしょう。
魅力③ 売り上げに貢献できる
スーパーの精肉部門の売り上げは、スーパーの売り上げ全体の1割ほどを占めます。
そのため、精肉部門はスーパーの様々な部門の中でも、特に売り上げに貢献している部門であると言えます。
カット済み・調理済みのお肉の販売など、お客様のニーズに合わせた売り 方を考えることで、売り上げアップにつなげることができるのも魅力です
魅力を知っておくと、肉を扱う飲食店への転職に役立つ!
精肉加工業に就職しても、職場や仕事内容が合わないということが出てくるかもしれません。
たとえ合わなかったとしても精肉加工業で働いた経験は次の転職に活きてきます。
精肉加工の仕事で身についたお肉の品質管理方法、部位や産地別の特徴、調理方法、カットの仕方、お肉の目利きなどに関する知識・技術は、特にお肉を扱う飲食店で重宝されます。
精肉加工業に携わった後に焼肉屋に転職する方も多いようです。
精肉加工の就職先・転職先は?
精肉加工で働くと言っても、あまりイメージがわかない方も多いかもしれません。
ここでは、精肉加工業の具体的な働き先、関連企業、転職について紹介していきます。
精肉加工業の就職先
精肉加工業に就く場合、主な就職先には次のようなものがあります。
- お肉の専門店
- お客様との直接的なやりとりをしたい方は、お肉屋さんなど、お肉の専門店で働くと良いでしょう。
その分、お客さんに美味しい食べ方や調理方法、お肉の特徴などを説明できるだけの知識や接客能力が必要になります。
しかし最近はお肉屋さんは減少傾向である上、少人数で運営している場合が多いため、求人が少ないのが難点です。
- スーパーやデパートの精肉部門
- スーパーやデパートに入荷したお肉をカット、調理、パック詰めして店頭に並べるお仕事です。
お肉の加工だけでなく、陳列棚の整理や見切りなども仕事の一つとなります。
正社員としての働き方以外にも、パートやバイトの募集も豊富です。
- スーパーやデパートの精肉部門
- スーパーやデパートに入荷したお肉をカット、調理、パック詰めして店頭に並べるお仕事です。
お肉の加工だけでなく、陳列棚の整理や見切りなども仕事の一つとなります。
正社員としての働き方以外にも、パートやバイトの募集も豊富です。
精肉加工の関連企業
ここでは精肉加工業界に入る上で知っておきたい、精肉加工の関連企業を3つ紹介します。
日本ハム株式会社
日本ハムは、日本の食肉業界における最大手企業です。
食肉事業以外にも様々な食品関連事業に関わっていますが、食肉事業はニッポンハムグループの売り上げの50%以上を占める主要事業です。
生産飼育から処理・加工、物流、販売までを一貫して行う「バーティカル・インテグレーション・システム」を構築し、オリジナルブランドを多数開発・販売しています。
食肉加工に関しては、国内12カ所、海外5カ所に工場を設けています。
農場が隣接しているため、新鮮なお肉の安定的な供給が可能です。
伊藤ハム
伊藤ハムも日本では知らない人がいない大手の食肉企業で、食肉・食肉加工品の製造販売、調理加工品・惣菜の製造販売を行っています。
伊藤ハムグループには、伊藤ハム以外の食肉関連企業として、伊藤ハム米久フーズや伊藤ハム米久プラントなどがあり、特に食肉加工品を多く製造しています。
ニチレイ
ニチレイは冷凍食品メーカーで2022年度の売り上げランキング1位の企業で、食肉企業としても日本で5本の指に入ります。
国内だけでなく、世界でも今後市場規模が大幅に拡大すると予想されているアジアを中心に販売を拡大しており、非常に将来性のある企業と言えます。
ニチレイの子会社には、水産品や畜産品などの生鮮食品を世界中から調達して、加工・販売し、オンラインショップの運営などもを行うニチレイフレッシュや、宅配食サービスのニチレイフーズダイレクトなどがあり、現代のニーズに応える様々な事業を展開しています。
精肉加工の仕事内容:工場の場合
工場での精肉加工の仕事には、例えば次のようなものがあります。
肉のカット
解体された肉をカットする作業です。
切り分け方によって、スライサーなどの機械を使う場合と、手作業で行う場合があります。
特に手作業の場合は技術と腕力が必要となり、初めのうちは体に負担がかかるかもしれません。
ソーセージ・ベーコンなどへの加工
生肉を加工して、ソーセージやベーコンなどの加工肉を作る仕事です。
工場のラインに入って、一部の工程を担当することになります。手順も決まっているので、お肉のカット作業とは異なり、特別な技術が必要とされないことがほとんどです。
パック詰め
加工した肉をパックに詰めて出荷できる状態にします。
工場の場合、出荷先は給食センター、弁当屋、飲食店などになる場合が多いようです。
精肉加工の仕事内容:スーパーの場合
スーパーに就職する場合、精肉加工の仕事は「精肉部門」にあたります。精肉部門の仕事には次のようなものがあります。
発注
生肉や加工肉の発注を行うのも精肉部門の仕事です。
最近は自動発注化が進み、特に加工肉は自動で発注作業を行っている所が多いようです。
肉のミンチ・スライス
ミンチ肉や薄切り肉は機械を使って作ります。
ミンチの場合は、チョッパーという機械に肉を入れてスイッチを入れるだけでできるので、比較的簡単な作業です。
スライス肉もカット自体は機械がやってくれますが、こちらはスライスしたお肉を綺麗にトレーに入れるのに少しコツが必要です。
肉の手切り
ミンチやスライスでできない加工は手作業で行うことになります。
一番簡単なのは鶏肉のカットです。
カレー用、唐揚げ用など、そのまま使えるサイズにカットされている鶏肉を作ります。
難しいのが焼肉用・ステーキ用の牛肉のカットで、知識や技術が必要とされる作業になります。
二次加工
カットしたりミンチにしたりした肉を、さらに加工する仕事です。
スーパーには味付けがされている肉や、成型済みであとは焼くだけのハンバーグ、衣がついている揚げ物用の肉など、カット以上の加工がされている商品が売っていることもありますよね。
そのような料理の前準備をする仕事になります。
値付け・品出し・在庫整理
加工した肉をパック詰め、値付けして陳列します。
最近では、入力した商品名・値段・消費期限の登録と同時にパックや値札付けができるオートパッカーという機械を導入している店舗が多いので、特別な技術は必要ない単純作業になります。
ただし、商品の情報や入力の仕方など、覚えることも多い仕事です。
また、品出しした後も売り場の商品を手前に出して整理する前進陳列や、足りない商品の追加も必要に応じて行います。
品出しした商品の値引き作業や、消費期限切れの商品の撤去も精肉部門の仕事です。
清掃
精肉加工に用いた道具や機械、作業場の掃除も行います。
生肉を扱うので、衛生面の管理は非常に重要な仕事です。
大きなスーパーでは、バイトやパートの方に任せている場合もあるようです。
精肉加工に魅力を感じられるのはどんな人?
ネットの体験談などで、精肉加工の仕事がつらいという話を見かけたことがある方もいるかもしれません。
確かに精肉加工の現場には、人によってはつらさを感じる部分もあります。
しかしそれが気にならない人、むしろ好きな人は、精肉加工に魅力を感じられるでしょう。
自分に精肉加工が向いているか、仕事を楽しめるか気になる方は、次のようなポイントをチェックしてみましょう。
室温が低くても大丈夫
精肉加工の作業場は、肉が傷んでしまわないように室温が低く保たれています。
そのため、寒さがどうしても苦手な方にとってはつらく感じてしまうようです。
部屋が寒くても気にならない人、むしろ涼しい方が良いという人の方が向いていると言えます。
血のにおいなどに耐えられる
精肉加工では生肉を扱うので、作業場にはどうしても血のにおいがするものです。
また、精肉加工業で扱うのは解体された後の肉ですが、処理をする前のものなので、肉から血が出てくることもよくあります。
特に肉のカットを行う仕事では、そのような機会が多いでしょう。
料理が好き
精肉加工の業務は、料理と共通する部分が多々あります。
お肉のカット作業や、スーパーでの二次加工などは、特に料理好きの方が楽しめる作業と言えます。
単純作業が好き
精肉加工の仕事では、肉を均等の重さに切り分け続けたり、ソーセージなどを加工するラインに入って同じ作業を繰り返したりと、単純作業も多々あります。
単純作業を無心でやり続けるのが好きな人は、楽しんでできるはずです。
足腰が強い
工場の場合もスーパーの場合も、基本的に立ち作業がメインになります。
そのため、普段運動をしない人は辛く感じる方が多いようです。
精肉加工業の給料と待遇
食肉加工業の給料は、正社員の場合、年収300-400万円が相場です。
また、契約社員やパート、アルバイトでの雇用もあり、報酬の相場はそれぞれ以下の通りです。
・契約社員:日給7300-11000円
・パート・アルバイト:時給820-876円
3つの求人例から、精肉加工業の業務内容や待遇を見てみましょう。
老舗の精肉店でお肉の販売や精肉加工を行うアルバイト、正社員の求人です。
【業務内容】
- 接客、レジ打ち
- 精肉加工の補助(梱包作業)
- 清掃
【待遇】
- 正社員:月給20万円〜
- アルバイト・パート:時給1030円〜
- 昇給制度あり(正社員)
- 賞与:年2回
- 福利厚生:雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金
- 時間外労働の上限:1ヶ月80時間、1年720時間
- 休日:週休二日制、年始1/1-1/3
資格やスキルがなくても大丈夫?
精肉加工には資格は必要ありません。
また、経験不問の求人もあるため、資格がなく未経験の状態からでも就職が可能です。
ただし、資格やスキルがあると優遇される場合があります。
精肉加工で持っておくと優遇される資格
食肉加工で優遇される資格には次のようなものがあります。
部分肉製造マイスター
産地食肉センターや部分肉製造工場で精肉加工に携わる人材の食肉処理技術を向上させるために実施されている資格試験です。
牛、豚と畜種別の部門があり、正確な部分肉処理技術だけでなく、食肉関連法規などに関する幅広い知識が求められる資格です。
これを取得することで、部分肉製造技術者のプロとしての実力を証明することができます。
部分肉製造1級・2級
部分肉製造マイスターは、十分な経験、スキル、知識のある方向けの難易度の高い資格ですが、部分肉製造1級・2級はそれよりも取得難易度の低い資格になっています。
実務経験が浅くても受験できるので、精肉加工に慣れてきた頃に実力試しのためにチャレンジしてみると良いでしょう。
こちらも部分肉製造マイスターと同様、牛と豚の部門に分けられています。
食肉販売技術管理士
食肉専門小売店やスーパーの精肉部門のチーフレベルの方向けの、食肉の販売や衛生管理に関する専門的な技術・知識に関する資格です。
また、食肉関連企業では人材育成システムの一貫として活用している場合もあるようです。
資格取得には専門的な部分を習得するための講習会を受講し、実技試験と学科試験を突破する必要があります。
精肉加工の仕事の中には特別な技術は特に必要ない仕事もありますが、肉のカットなどは経験を積んでスキルを身につける必要があります。
そのため、即戦力になる経験者は優遇される傾向にあり、給与も上がる場合があるようです。
精肉加工業の市場動向と将来性
精肉加工業への就職を考えている人にとっては、市場動向や将来性も気になるところだと思います。
2022年度のデータから、市場動向を見てみましょう。
2022年度の肉類生産量
農林水産省の食料需給表によると、2022年度の肉類生産量は全体で347万トンでした。
種類別に見ると、次のような成果がありました。
- 牛肉:50万トン(3.5%増)
- 豚肉:129万トン(2.4%減)
- 鶏肉:168万トン(0.2%増)
特に牛肉と鶏肉の生産量が増加している点が注目されます。
これらの増加は、農家の努力と技術革新の成果と言えるでしょう。
一方で、豚肉の生産量は129万トン(2.4%減)となりましたが、政府やJAは農家の規模拡大を支援し、持続可能な生産体制の確立に向けた取り組みを進めています。
農家の高齢化や小規模経営の課題にも対応し、これからの生産能力向上に期待が持てます。
食肉市場の動向
農畜産業振興機構の調査によると、2022年度の国内食肉消費量は変動が見られました。
牛・豚・鶏の輸入品の消費量は若干減少しましたが、国産品の消費量は安定しており、ほぼ横ばいの状態を維持しています。
輸入品の消費減少は、主に居酒屋などの外食産業での利用が多いため、外食産業の一時的な落ち込みが影響したと考えられます。
しかし、この傾向は一時的なもので、今後の回復が見込まれます。
一方、2023年の輸出額は牛・豚・鶏のすべてで前年と比べ大幅に増加しました。
これは台湾や香港で外食需要が回復したことが主な要因とされています。
国内では安定した消費が続く中、海外での需要増加が日本の食肉産業にとって明るい兆しとなっています。
- 牛肉の輸出額:578億円(11%増)
- 豚肉の輸出額:27億円(15%増)
- 鶏肉の輸出額:26億円(28%増)
精肉加工の将来性
新型コロナウイルスの流行により、食肉市場の規模は落ち込みましたが、2023年に輸出額が回復していることから、これは一時的なものと見られます。
食肉市場は基本的に拡大傾向にあり、将来性は十分にあると言えます。
また、食肉の加工は全ての人の日常生活になくてはならない仕事です。
そのため、精肉加工は生活に必要不可欠な仕事である「エッセンシャルワーカー」と呼ばれているものの一つになっています。
特に、技術が必要となる精肉加工の技術を持っている人は、精肉加工や肉を扱う飲食店などで重宝されるため、安定して職に就くことができるでしょう。
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