
リファラル採用とは、社員の紹介を通じて候補者を採用する仕組みです。
信頼性が高く、ミスマッチが少ない採用方法として注目されています。
本記事では、リファラル採用の仕組みや注意点などを紹介します。
この記事を参考に、リファラル採用への理解を深め、キャリアの幅を広げましょう。

リファラル採用とは?

リファラル採用とは、企業の社員や関係者からの紹介を通じて候補者を採用する制度です。
株式会社プロフェッショナルバンクが実施した調査からもリファラル採用は、中途採用において効果的な手法のひとつであることがわかります。
実施されている中途採用において効果的な手法は何ですか?
手法 | 人材紹介 | ダイレクトリクルーティング | リファラル採用(社内) | 転職サイト | 自社採用ページ・メディア | ハローワーク | リファラル採用(社外) | アルムナイ採用 | その他 |
割合(%) | 87 | 45 | 44 | 34 | 23 | 15 | 9 | 6 | 2 |
中途採用において今後力を入れて取り組みたい手法は何ですか?
手法 | リファラル採用(社内) | 人材紹介 | ダイレクトリクルーティング | リファラル採用(社外) | 自社採用ページ・メディア | 転職サイト | アルムナイ採用 | ハローワーク | その他 |
割合(%) | 53 | 46 | 46 | 23 | 22 | 17 | 15 | 7 | 4 |
リファラル採用は、1950年代のアメリカで始まり、信頼性の高い採用手法として普及しました。
日本では2010年代に注目され、IT業界を中心に導入が進みました。
また、株式会社プロフェッショナルバンクの調査にて、75%の企業がリファラル採用を実施したことがあり、そのうちの80%は通常の採用と比べた際のリファラル採用の成功確度が高いと感じていると明かされています。
さらに、リファラル採用の情報源の多くは、友人や知人とされています。
リファラル採用の情報源として最も多いものは何ですか?
情報源 | 社員紹介(友人・知人) | 社員紹介(取引先) | 社外関係者 |
割合(%) | 88 | 8 | 4 |
縁故採用とのちがい
縁故採用とは、親族や知人などのつながりを通じて実施する非公開の採用方法です。
縁故採用は、親族や知人などの私的な関係を基に行われることが多く、選考の透明性が低い場合もあります。
一方、リファラル採用は、社員が信頼できる知人を紹介し、通常の選考プロセスを経て採用されるため、公正性や適性が重視されます。
企業がリファラル採用を導入する理由【5つ】

近年では、多くの企業がリファラル採用を導入しています。
ここからは、企業がリファラル採用を導入するメリットを5つ紹介します。
採用コストの削減
リファラル採用は、社員や関係者経由で候補者を探すため、求人広告や人材紹介会社を利用する際にかかる広告費・紹介手数料などのコストを抑えられます。
また、信頼できる社員からの紹介であるため、選考の精度が高く、採用後の早期離職リスクも低くなるため、再採用にかかるコストも軽減できます。
ミスマッチの防止
リファラル採用では、社員や関係者が自社の文化や業務内容を理解したうえで適した人材を紹介します。
そのため、企業と候補者の相性が良いケースが多くなります。
また、候補者も紹介者を通じて企業の雰囲気や仕事内容を事前に把握できるため、入社後のギャップが少なくなり、結果としてミスマッチを防げるでしょう。
定着率が向上する
定着率とは、採用した社員が一定期間会社に在籍し続ける割合のことです。
リファラル採用では、仲のいい社員や関係者がいるため、入社前から安心感や信頼感が生まれ、職場への順応がスムーズになります。
また、紹介者が社内でのサポート役を担うことも多く、新入社員が孤立しにくいため、働きやすさを感じやすくなります。
こうした環境が離職リスクを下げ、定着率の向上に寄与するでしょう。
転職活動していない優秀な人材にアプローチできる
リファラル採用では、社員が信頼できる知人や元同僚を推薦します。
そのため、今すぐ転職はしないが、良い機会があれば転職を考える「転職潜在層」にもアプローチできます。
また、転職活動していない優秀な人材でも、知人からの紹介であれば信頼性が高く、企業に関心を持ちやすくなるでしょう。
これにより、企業は新たな人材層にリーチできます。
採用までの期間を短縮できる
リファラル採用では、社員が事前に候補者のスキルや人柄を把握して推薦します。
そのため、書類選考や一次面接の工程を簡略化できる場合があります。
また、候補者との連絡も紹介者を通じてスムーズに進められるため、意思決定のスピードも速まるでしょう。
その結果、採用までの期間を短縮し、迅速に人材を確保できます。
リファラル採用における紹介者・紹介された側のメリット

リファラル採用は、企業だけでなく紹介者(社員)や紹介された側(候補者)にもメリットがあります。
ここからは、リファラル採用における紹介者・紹介された側のメリットを紹介します。

紹介者のメリット1:報酬やインセンティブを獲得できる
リファラル採用では、信頼できる人材を社員や関係者が紹介します。
そのため、採用効率が高まるだけでなく、コスト削減も期待できるため、多くの企業が導入・活発化を検討しています。
リファラル採用を活発化するために、紹介者に報酬やインセンティブを与えることで、より多くの優秀な候補者を集めやすくしています。

紹介者のメリット2:自社理解を深められる
リファラル採用で候補者を紹介するには、自社の業務内容や文化、求める人物像を理解しなければなりません。
そのため、紹介する側は、自然に自社について深く考えたり、情報を整理したりする機会が増え、自社への理解が深まります。
また、紹介後の活動を意識することで、より主体的に会社の在り方を捉えられます。

紹介者のメリット3:職場環境がよくなる
リファラル採用では、紹介者が自分と相性の良い人や価値観の合う人を推薦します。
そのため、職場内の人間関係が良好になりやすく、チームの連携やコミュニケーションが円滑になります。
また、紹介者がいることで新しいメンバーも早く職場に馴染みやすくなり、安心して働ける環境が生まれやすくなるでしょう。

紹介された側のメリット1:リアルな企業情報を入手できる
求人票や企業の公式サイトでは、企業概要や募集している職種は詳細に書かれているものの、現場の雰囲気をリアルに感じ取るのは難しいでしょう。
リファラル採用の候補者は、紹介者である社員から直接話を聞けます。
そのため、実際の職場の雰囲気や業務内容など、求人票ではわからないリアルな企業情報を得られます。
転職活動における情報収集方法について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


紹介された側のメリット2:職場へスムーズに馴染める
リファラル採用では、知人や友人の紹介で入社します。
そのため、事前に職場の雰囲気や文化を理解しやすく、不安が少ない状態で働き始められます。
また、紹介者が職場にいることで相談しやすく、転職先でもスムーズに馴染めるでしょう。
リファラル採用の流れ

リファラル採用の概要を把握していても、実際にどのように進めればいいかわからないという方もいるでしょう。
そこで、ここからはリファラル採用の流れを5つのステップにわけて紹介します。
社員や関係者による候補者推薦
リファラル採用は、社員や関係者が信頼できる知人や元同僚を企業へ推薦することからはじまります。
紹介者が候補者と面識があるため、適性や社風との相性を見極めやすく、ミスマッチが少なくなります。
リファラル採用の推薦方法については、人事部に問い合わせるのが一般的です。
| 社内のイントラネットに案内ページや専用フォームがある場合は、そちらを活用しましょう。
候補者が応募
社員や関係者からの推薦が済んだら、実際に応募しましょう。
リファラル採用は、紹介を受けてから選考が進みます。
そのため、企業側も信頼性を感じやすく、選考がスムーズに進むでしょう。
また、非公開求人への応募も可能です。
| 応募時には、履歴書や職務経歴書が必要なこともあるため、事前に準備しておきましょう。
選考を受ける
リファラル採用では、通常の応募同様、採用選考を受けなければなりません。
リファラル採用の選考では、推薦者の紹介を踏まえて候補者の適性を判断します。
通常の採用と同様に書類選考や面接を実施しますが、信頼性の高い人材とされるため、選考が円滑に進むケースが多い傾向があります。
内定通知
選考が終了し、適性があると判断された場合は、内定通知が届きます。
リファラル採用における内定通知は、候補者だけでなく、推薦者にも結果が共有されることがあります。
なお、報酬やインセンティブは、入社後に支給される場合が一般的です。
| 正式な支給条件は、社内規定を確認したり、人事部に聞いてみたりしましょう。
入社手続き
内定を承諾した後は、入社手続きに進みます。
リファラル採用でも通常の採用と同様に、必要書類の提出や各種情報の登録が求められます。
ただし、推薦者がいることで社内からのサポートを受けやすく、入社に対する不安も和らぐでしょう。
| 給与などの条件に希望がある方は、入社手続き前に交渉しておきましょう。
リファラル採用の注意点【5つ】

リファラル採用を利用した転職活動は、メリットばかりではありません。
ここからは、リファラル採用で注意すべきことを5つ紹介します。
選考基準は一般応募と同じ
リファラル採用は社員や関係者の紹介によるものですが、企業は公正な採用を実施するために一般応募と同じ選考基準を設けています。
そのため、紹介だからといって特別扱いされません。
| 採用担当者にスキルや経験、適性が企業とマッチしていると感じてもらうために、通常の選考同様、対策を講じましょう。
紹介者との関係性
リファラル採用では紹介者との関係性が近すぎると、業務上の遠慮や私情が入りやすくなる恐れがあります。
また、トラブルが起きた場合、候補者だけでなく紹介者にも影響することがあります。
| リファラル採用で入社する場合は、お互いの立場や関係性を客観的に考慮し、適切な距離感を保ちましょう。
情報に偏りがある
リファラル採用では、紹介者からの情報が主な情報源です。
紹介者から情報を聞く場合、企業の良い面ばかりが強調されやすく、客観的な情報が不足しやすい傾向があります。
その結果、候補者が企業の実態を正確に把握できず、入社後にギャップを感じることも少なくありません。
制度が適切に運用されているか確認しなければならない
リファラル採用は、制度の運用方法によって公平性や効果が大きく変わります。
適切に運用されていないと、不透明な選考や紹介者への偏った評価が生じるでしょう。
候補者は制度の内容や運用状況を確認し、公平で納得感のある採用が実施されているかを見極めましょう。
リファラル採用の制度内容に対して、専門的なアドバイスがほしい方は、労働組合やハラスメント相談窓口などに相談してみてください。
他の選考を進めにくくなる
リファラル採用では、候補者の親しい間柄の人がつくってくれた特別な機会です。
そんな貴重な機会を無下に扱うことは、交友関係に影響を及ぼします。
そのため、他の選考と並行して進めにくくなり、気軽に比較検討しづらくなるという心理的なプレッシャーが生じます。
リファラル採用を受けるためのコツ【4つ】

リファラル採用は、限られた人だけができる転職活動の進め方です。
ここからは、リファラル採用を受けるためのコツを4つ紹介します。
紹介者との信頼関係を築く
| リファラル採用を受けるためには、紹介者となる人との信頼関係を築きましょう。
リファラル採用では、紹介者が候補者の人柄や能力を企業に伝える重要な役割を担います。信頼関係がないと、紹介をためらわれたり、推薦内容に説得力が欠けたりします。
紹介者が安心して推薦できるためにも、日頃からの誠実なコミュニケーションを心掛けましょう。
また、転職先として希望する企業や業界が決まっている方は、それらに精通している人脈をつくりましょう。
企業情報を事前に収集する
リファラル採用では、紹介者からの情報に頼りきってしまう傾向があります。
紹介者の情報に頼っていると、情報の偏りが生じてしまうでしょう。
| 企業の公式サイトや口コミなどからも情報を集め、仕事内容や文化を多角的に理解しましょう。
業務内容や職場の雰囲気をさまざまな視点から把握すると、入社後のミスマッチを防げます。
選考プロセスを確認する
| リファラル採用を利用するときは、選考プロセスを確認しましょう。
リファラル採用でも、通常の応募と同様に書類選考や面接などの選考プロセスがあります。事前に流れを把握しておくことで、自分の強みを効果的にアピールできるでしょう。
また、紹介者にも適切に相談や報告ができるため、スムーズな選考につながります。
他の選考とのバランスを考える
| リファラル採用を活用する際は、他の選考方法とのバランスにも注意を払いましょう。
リファラル採用は、紹介者との信頼関係へ大きな影響を及ぼします。
そのため、途中で辞退したり、他社に進む際に気を使ったりすることが少なくありません。
他の選考と並行する場合は、紹介者や企業に失礼がないよう配慮し、選考の優先度やスケジュールを慎重に調整しましょう。
リファラル採用ならではの質問【6選】

リファラル採用の面接では、通常の選考でもよく聞かれる質問もありますが、リファラル採用ならではの質問もあります。
ここからは、代表的な質問例と回答例を6つ紹介します。

ポジティブな表現を意識しつつ、具体例を踏まえながら答えるようにしましょう!


ーまとめー
リファラル採用で自分に合ったキャリアを探そう!


今回は、リファラル採用の仕組みや注意点などを紹介しました。
人脈が広いのにもかかわらず、上手くいかせていないという方もいるでしょう。
リファラル採用は、紹介者から企業の文化や仕事内容を深く理解したうえで応募する機会です。
信頼できる紹介者の推薦を受けることで、自分の意志で挑戦することに強い責任感を感じます。
これから転職活動を始める方は、リファラル採用を検討してみてください。
また、リファラル採用は、新卒採用でも活用できます。
興味がある方就活生は、ぜひ利用してみてください!
まとめ
リファラル採用で自分に合ったキャリアを探そう!


今回は、リファラル採用の仕組みや注意点などを紹介しました。
人脈が広いのにもかかわらず、上手くいかせていないという方もいるでしょう。
リファラル採用は、紹介者から企業の文化や仕事内容を深く理解したうえで応募する機会です。
信頼できる紹介者の推薦を受けることで、自分の意志で挑戦することに強い責任感を感じます。
これから転職活動を始める方は、リファラル採用を検討してみてください。
また、リファラル採用は、新卒採用でも活用できます。
興味がある方就活生は、ぜひ利用してみてください!