50代の転職成功者に共通する戦略とは？現実を踏まえたキャリアステップ

パーソルキャリア株式会社によると、2024年度に転職した人の平均年齢は、32.7歳でした。

転職者の割合は、キャリアの模索段階にある20,30代が多い傾向があります。

その一方で、定年が近づいている50代で今のキャリアに不満を感じていたとしても、転職を諦めてしまうことがあります。

しかし、50代だからといって、転職を諦める必要はありません。

本記事では、50代で理想的なキャリアステップを高めるポイントを紹介します。

データから考える50代転職の現状

厚生労働省によると、2023年時点での年齢階級別転職割合は、以下のとおりでした。

年齢	19歳以下	20～24歳	25～29歳	30～34歳	35～39歳	40～44歳	45～49歳	50～54歳	55～59歳	60～64歳	65歳以上
男性の割合（%）	16.6	14.6	15.6	10.0	8.5	6.3	5.3	5.6	6.6	13.5	12.6
女性の割合（%）	17.5	16.5	19.1	14.2	12.4	11.4	8.9	9.0	7.6	7.6	6.6

参照元：転職入職者の状況｜厚生労働省

ポテンシャルが高く企業側からの需要も高い20代やライフイベントが多い30代などと比べ、50代は転職者の割合が低い傾向があります。

また、50代の主な転職理由は、以下のとおりです。

転職理由	仕事の内容に興味を持てなかった	能力・個性・資格を生かせなかった	職場の人間関係が好ましくなかった	会社の将来性が不安だった	級両党の収入が少なかった	労働時間、休日等の労働条件が悪かった	介護・看護	定年・契約期間の満了	会社都合	その他
50～54歳	10.9	6.0	6.8	5.1	9.8	5.1	1.0	4.3	16.3	18.7
55～59歳	3.7	3.0	12.9	2.1	9.8	6.3	0.8	6.2	9.5	31.0

参照元：転職入職者の状況｜厚生労働省

さらに、同調査で50〜54歳の34.6%、55〜59歳の27.7%が転職により賃金が上がったとされています。

50代転職が厳しいとされる理由【4つ】

一般的に50代転職は、20,30代よりも難しいとされています。

ここからは、50代転職が厳しいとされる理由を4つ紹介します。

50代の転職が厳しい理由のひとつは、年齢によるバイアス（先入観）です。

企業側は、50代の転職者に対して、

といった固定観念を持つことがあります。

 また、指導がしにくい、扱いにくいといった印象を抱かれやすい傾向があります。

さらに、実際のスキルや経験よりも年齢を理由に選考段階で不利になるケースも少なくありません。

このようなバイアスが50代転職の難しさの一因となっています。

パーソルキャリア株式会社によると、年代別の平均年収は以下のとおりです。

年代	全年代	20代	30代	40代	50代以上
平均年収（万円）	426	360	451	519	607

参照元：年齢別・年代別に見る日本の平均年収（平均年収ランキング最新版）｜パーソルキャリア株式会社

50代はキャリアを重ねてきた分、給与水準が高くなる傾向があります。

 そのため、企業側は同じ能力なら若手を低コストで採用したいと判断し、採用をためらってしまいます。

また、給与交渉でミスマッチが起きやすく、コストパフォーマンスの面から不利と見なされることも少なくありません。

このような給与水準が、50代の転職の難しさにつながっています。

50代向けの求人は、全体の中で割合が少ない傾向があります。

とくに、管理職や専門職など限られたポジションに集中しています。

 そのため、選択肢が少なく、希望に合う仕事を見つけにくいことが少なくありません。

また、企業側も年齢層の高い人材の採用には慎重になる傾向があります。

結果として、50代の転職活動は長期化しやすく、競争も激しくなるため、難易度が高くなります。

 企業にとって50代の採用は、再教育に手間やコストがかかるという懸念があります。

とくに、新しい業務フローやITツールへの習熟に時間がかかると想定されています。

また、50代は若手よりも教育効率が低いと見なされることも少なくありません。

その結果、企業は即戦力を重視し、再教育が必要な50代を敬遠します。

このような教育に対する懸念が転職のハードルを高める要因となっています。

50代転職を成功させるポイント【5つ】

50代転職には、いくつかの障壁があります。

しかし、50代だからといって、転職を諦める必要はありません。

ここからは、50代転職を成功させるポイントを5つ紹介します。

  | 50代転職を成功させるためには、経験の豊富さをアピールしましょう。

50代の転職では、若手にはない経験の豊富さが大きな強みとなります。

とくに、過去の実績や知識、トラブル対応力は即戦力として高く評価されやすく、企業にとっては安心材料になるでしょう。

また、多様な環境で培った柔軟性や人間関係のスキルも、自己PRとして効果的です。

  | 50代転職を成功させるためには、最新の知識やスキルを身につけましょう。

50代の転職では、豊富な経験だけでなく、最新の知識やスキルを身につけることで成長意欲のある即戦力として高評価されます。

また、業界や技術の変化に対応できる姿勢は、年齢に対する懸念を払拭します。

知識を身につけるためには、資格の取得もおすすめです。

転職に役立つ資格について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

  | 50代転職を成功させるためには、前向きな転職理由を考えましょう。

否定的な発言は、採用担当者にネガティブな印象を与え、選考で不利になる恐れがあります。

前向きな転職理由を伝えることで、意欲的で信頼できる人材としてアピールできるでしょう。

採用担当者に好印象を与える転職理由の考え方を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

  | 50代転職を成功させるためには、年収や役職に拘りすぎないようにしましょう。

年収や役職に過度にこだわると、転職先の選択肢が狭まり、採用のチャンスを逃す恐れがあります。

柔軟な姿勢を持つことで、まずは新しい環境に適応し、実力を発揮してから評価される道が開けるでしょう。

また、長期的なキャリア形成を見据え、経験を活かせる環境を探すことで、活躍できる職場を探せます。

  | 50代転職を成功させるためには、再度自己分析しましょう。

転職において、これまでの経験やスキルを整理し、自分の強みや価値を明確にすることは重要です。

とくに、50代は、最後に転職したときと価値観が変わっている可能性が高いため、自己分析の重要性が高まります。

自己分析を通じて適した職種や働き方を把握することで、自己PRに説得力が増すでしょう。

また、自分の希望と現実のギャップにも気づけるため、現実的かつ納得のいく転職活動を進めやすくなります。

効率的に自己分析したい方は、こちらの記事をご覧ください。

50代転職の注意点【3つ】

50代転職は、メリットがある一方で、いくつか注意しなければならないものもあります。

ここからは、50代転職の注意点を3つ紹介します。

 50代転職では、未経験分野に挑戦するのが難しくなります。

中途採用では、新人教育に時間やコストをかけるよりも経験豊富な人材を優先する傾向があります。

50代は、年齢による習得スピードや体力面の不安も懸念されます。

そのため、未経験職では50代を採用することへのハードルが高くなるでしょう。

50代の転職では、既にできあがった職場の人間関係に後から加わる形になります。

 そのため、馴染むまでに時間がかかります。

また、年齢差による価値観やコミュニケーションのギャップも生じやすく、若い上司や同僚との関係づくりに苦労することも少なくありません。

入社後に人間関係を再構築するのが難しいため、50代転職はハードルが高いとされています。

多くの企業では、即戦力である若手を採用することを優先しています。

 そのため、50代は、応募先の選定や内定獲得が後回しになることが少なくありません。

また、希望条件と企業のニーズが合わないこともあります。

このように、マッチする求人が限られるため、転職活動が長期化しやすくなります。

50代転職に求められるスキル【4選】

50代転職では、経験だけでなく、業務に役立つスキルも求められます。

求められるスキルは業界や企業によって異なりますが、どの業界や企業でも共通して求められるスキルもあります。

ここからは、50代転職に求められるスキルの代表例を4つ紹介します。

  シニア層は、組織運営や人材育成、トラブル対応などを任せられる即戦力として期待されています。

そのため、50代転職では、豊富な経験を活かしたマネジメントスキルが求められます。

また、若手社員の指導やチーム全体のパフォーマンス向上にも貢献できる存在としてマネジメントスキルは欠かせません。

企業は、効率的な業務改善やトラブル対応を任せられる人材を求めています。

  とくに、シニア層は長年の経験に基づく複雑な課題への対応力があるため、即戦力として期待されています。

そのため、50代転職を成功させるためには、問題解決力のアピールが欠かせません。

冷静かつ的確に問題を分析し解決策を導き出せる力をアピールすることで、採用担当者に好印象を与えられます。

  シニア層は、豊富な経験をもとに多様な世代や部署と円滑に連携し、チームをまとめる役割が期待されています。

そのため、50代転職を成功させるためには、コミュニケーション能力のアピールが欠かせません。

適切に情報を共有したり、チームの意見をまとめられるようになることで、職場の信頼関係を築き、生産性向上や問題解決に貢献できます。

  企業では、急速な技術進歩や働き方の変化に適応できる人材が求められています。

そのため、50代転職を成功させるためには、柔軟性のアピールが欠かせません。

年齢に関係なく新しい知識や環境に対応し、チームや組織のニーズに柔軟に応える姿勢をアピールすることで、長期的に活躍できる人材として採用担当者に好印象を持ってもらえます。

50代転職におすすめの業界【8選】

業界によって転職しやすさが変わります。

ここからは、50代転職におすすめの業界を8つ紹介します。

製造業は、50代転職におすすめの業界です。

 製造業界は、年齢よりも経験や技術力が重視されます。

また、職種によっては人手不足が続いており、即戦力としての採用ニーズが高いことも50代転職しやすい理由のひとつです。

さらに、体力やスキルに応じて仕事を選べるため、安定した働き方が期待できます。

ものづくりに興味があり、現場力や改善意識を活かしたい方は、製造業への転職を検討してみてください。

商社も50代転職におすすめです。

 商社は、営業経験や人脈、交渉力などを活かせる場がたくさんあり、50代も即戦力として期待されます。

とくに、海外取引や専門分野での知見がある人は、重宝されます。

また、マネジメントや後進育成の役割も担いやすく、活躍の場が広がるでしょう。

交渉力や語学力があり、多様なビジネスに柔軟に対応できる方は、商社への転職を検討してみてください。

小売・流通業も50代転職におすすめの業界です。

 小売・流通業は、年齢よりも接客や店舗運営の実務経験、人との関わりを大切にする姿勢が重視されます。

また、マネジメント経験がある方は、管理職や教育係などのポジションでの活躍も期待されています。

顧客対応力が高く、現場での改善や売上向上に意欲的な方は、小売・流通業への転職を検討してみてください。

代表的な小売・流通業であるスーパーについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

金融業も50代転職におすすめの業界です。

 金融業は、長年の経験による信頼性や専門知識が評価されます。

とくに、営業や資産運用、融資管理などの分野では、顧客対応力や判断力が求められるため、即戦力として活躍しやすいでしょう。

また、落ち着いた対応力や責任感も業界で重宝されます。

数字に強く、正確性や信頼性を重視しながら提案力も発揮できる方は、金融業への転職を検討してみてください。

医療・福祉業も50代転職におすすめの業界です。

医療・福祉業は、人手不足が問題視されている業界のひとつです。

 そのため、年齢や経験よりも思いやりや責任感、コミュニケーション能力などの人間性が重視されます。

また、人生経験を活かし、利用者や患者に寄り添って対応することも期待されています。

さらに、資格取得により未経験からの挑戦もしやすく、安定した働き方が期待できることもおすすめな理由のひとつです。

人と向き合う力があり、思いやりと責任感を持って支援できる方は、医療・福祉業への転職を検討してみてください。

官公庁・公社・団体も50代転職におすすめです。

 官公庁・公社・団体は、年齢に関係なく経験やスキルを活かせる業務がたくさんあります。

また、事務処理や調整業務、地域貢献などで社会人としての信頼性や責任感が評価されるため、定年後の再雇用も視野に入れやすくなります。

社会貢献意識が高く、公的なルールや組織運営に誠実に取り組める方は、官公庁・公社・団体への転職を検討してみてください。

教育・人材関連業も50代転職におすすめの業界です。

 教育・人材関連業は、豊富な人生経験や社会人としての知見を活かし、指導や育成に貢献できます。

また、人間的な深みが求められる分野であるため、若手への助言やキャリア支援において信頼されやすいでしょう

さらに、対人スキルやマネジメント経験など、人生経験の豊富さが強みになります。

人の成長を支援する意欲があり、傾聴力と指導力を活かしたい方は、教育・人材関連業への転職を検討してみてください。

サービス業も50代転職におすすめの業界です。

 サービス業は、年齢よりも接客や対応力といった人間関係のスキルが重視されます。

人生経験からくる落ち着いた対応や丁寧なコミュニケーションは、顧客満足の向上に貢献するため、重宝されています。

また、未経験でも挑戦しやすい職種が多いこともおすすめする理由のひとつです。

人と接することが好きで、気配りや臨機応変な対応ができる方は、サービス業への転職を検討してみてください。