寿司職人が使う道具とは？本格的な寿司を作るためには何が必要？

寿司職人として一人前になるためには、知識やスキルだけでなく、道具も必要不可欠です。

しかし、どのような道具が自分に適しているかわからないという方もいるでしょう。

そこで、本記事では寿司職人に必要な道具の選び方や入手方法などを解説します。

寿司職人に欠かせない道具【10選】

ここからは、寿司職人として働くために必ず手に入れるべき道具を10個紹介します。

  寿司職人の包丁は、職人の繊細な技術を支える重要な道具です。

用途に応じてさまざまな種類があります。

一例として、魚を捌く「柳刃包丁」や細かい作業に適した「出刃包丁」、野菜の加工に使う「薄刃包丁」などがあります。

寿司職人の包丁には、魚をスムーズに捌くために鋭い切れ味が必要です。

  | 定期的に研ぎ、切れ味を長持ちさせましょう。

また、切れ味と耐久性に優れた鋼（白紙・青紙）や錆びにくいステンレス鋼などの包丁がおすすめです。

  飯台（はんだい）は、酢飯を適温に保ち、均一に混ぜるために使われる木製の大きな桶です。

主に杉や檜などの吸湿性に優れた木材で作られており、余分な水分を吸収しながら、酢飯の風味を引き立てます。

  | 飯台を選ぶときは、適度な大きさがあり、職人が手際よく作業できるものを選びましょう。

また、使用後はしっかり乾燥させ、長く愛用できるようにしましょう。

  しゃもじは、酢飯を混ぜたり盛り付けたりするために欠かせない道具です。

木製や竹製のものが多く、余分な水分を吸収しながら、米粒を潰さずにふんわりと仕上げる役割を果たします。

とくに、木製のしゃもじは、酢との相性がよく、酢飯の風味を損なわない点が魅力的です。

  | 使用後は清潔に保ち、しっかり乾燥させることで、長く使い続けましょう。

  まな板は、魚や野菜を切る際に使用する重要な道具です。

木製や合成樹脂製などさまざまな素材が使われていますが、とくに木製のまな板は、包丁の刃当たりが柔らかく、寿司職人に好まれます。

また、適度な弾力があり、魚の切り口を美しく仕上げるのに適しています。

  | まな板は、衛生管理が重要なため、使用後はしっかり洗浄・乾燥し、定期的に削り直しましょう。

  巻きすは、巻き寿司や太巻きを美しく形作るための道具です。

細い竹ひごを糸で編んでつくられます。

適度な弾力と柔軟性があるため、均一な圧力で巻けます。

  | 巻きすを使うときは、軽く湿らせ、ご飯や海苔がくっつきにくくなるようにしましょう。

また、使用後はしっかり洗って乾燥させ、カビや臭いを防ぎましょう。

  うろこ取りは、魚の表面についたうろこを効率よく取り除くための道具です。

金属製やプラスチック製があり、ギザギザした刃が魚の皮を傷つけずにうろこを落とします。

包丁でもうろこを取れますが、うろこ取りを使うと、飛び散りを抑えながら素早く処理できます。

  | うろこ取りを使うときは、しっかり洗浄し、乾燥させることで衛生を保ちましょう。

  すり鉢・すりこぎは、調味料や薬味を細かくすりつぶし、風味を引き出すために使われる道具です。

とくに、ごまをすりつぶして風味を高めたり、山芋やわさびをなめらかにしたりするときに使用されます。

すり鉢の内側には細かい溝があり、すりこぎと組み合わせることで効率よく食材をすりつぶせます。

  | すり鉢・すりこぎも使用後は丁寧に洗い、しっかり乾燥させることで、長持ちさせましょう。

  ネタ箱は、新鮮な魚介類や寿司ネタを適切な温度と湿度で保管するための容器です。

木製のものが一般的で、食材の鮮度を維持しながら乾燥を防ぐために、檜や杉などの吸湿性に優れた素材が使われます。

また、蓋がついているため、魚介類や寿司ネタを衛生的に保存できる点も魅力です。

  | ネタ箱を長持ちさせるには、洗浄後に水分をしっかり拭き取って乾燥させ、直射日光や高温多湿を避けて保管しましょう。

  骨抜きは、魚の小骨を丁寧に取り除くための道具です。

先端が細くしっかりと噛み合う形状になっており、骨を傷つけずに抜けます。

また、骨抜きを使うことで、包丁では取りにくい細かい骨も簡単に除去でき、食感の良い寿司ネタに仕上げられます。

  | ステンレス製のものが多いため手入れは楽ですが、定期的にメンテナンスし、長く愛用しましょう。

  玉子焼き器は、寿司屋で提供される厚焼き玉子を均一にふっくらと焼くための専用の調理器具です。

熱伝導に優れている銅製や、アルミ製の四角い鍋が多い傾向があります。

玉子焼き器を使うことで、厚焼き玉子をムラなく焼き上げられます。

  | 適度な厚みのある玉子焼きをつくりたいときは、油をなじませながら丁寧に焼きましょう。

また、使用後はしっかり手入れし、焦げ付きや錆を防ぎましょう。

本格的な寿司をつくるために必要な道具【8つ】

ここからは、本格的な寿司をつくるために必要な道具を8つ紹介します。

寿司職人としてステップアップしたい方は、参考にしてください。

  寿司職人の盛箸（もりばし）は、繊細な盛り付けや寿司ネタの取り扱いに使われる長い箸です。

先端が細く、細かい作業に適しています。

とくに、刺身や薬味を美しく配置したり、崩れやすい寿司ネタを丁寧に扱う際に欠かせません。

金属製や竹製が一般的で、金属製の盛箸は衛生的で耐久性があり、竹製は軽く手になじみやすい特徴があります。

  | 盛箸は、定期的にメンテナンスし、長持ちさせましょう。

  寿司下駄は、握った寿司を美しく盛り付けるための木製の台です。

主に檜や杉などの吸湿性に優れた木材が使われ、寿司の余分な水分を適度に吸収し、シャリがべたつくのを防ぎます。

また、下駄のように脚がついているため、通気性がよく、見た目にも高級感を演出できます。

  | 寿司下駄を使用した後は、しっかり乾燥させ、木材の劣化やカビの発生を防ぎましょう。

  竹串は、食材の固定や焼き物の調理、盛り付けの際に用いられる道具です。

竹は耐熱性があり、食材に優しく馴染むため、穴子や海老を焼く際、形を崩さずに仕上げるために使用されます。

また、押し寿司を成形する際や、飾り串として寿司の見た目を美しく整える役割も果たします。

  | 竹串を使用した後は、しっかり洗浄し、乾燥させることで清潔に保ちましょう。

  海苔乾燥器は、湿気を含んだ海苔を電熱や遠赤外線などでパリッとした食感に戻すための専用器具です。

湿った海苔をそのまま使うと、巻き寿司が崩れやすくなります。

乾燥させることで香ばしさが増し、寿司の風味を引き立てます。

  | 海苔乾燥器を使用後は、隅々まで清掃し、衛生的に保ちましょう。

  手水鉢（てみずばち）は、握り寿司を作る際に手に適度な水分をつけるための器です。

適度な湿り気を与えることで、シャリが手に付きすぎるのを防ぎ、ふんわりとした握りを実現できます。

一般的に、手水鉢は衛生的に管理しやすい陶器や金属製のものが使われます。

  | 水に少量の酢を加えると、手を清潔に保ちつつ、寿司の風味を損なわないため、ぜひ実践してみてください。

  温度計は、酢飯や魚の鮮度を適切に管理するための重要な道具です。

とくに、シャリの温度が高すぎると寿司が崩れやすく、低すぎると口当たりが悪くなるため、適温（人肌程度）に保つことが求められます。

また、刺身や寿司ネタの保存温度をチェックし、鮮度を維持する役割も果たします。

  | デジタル式とアナログ式がありますが、スムーズかつ正確な温度管理ができるような温度計を選びましょう。

  酢差しは、寿司作りに欠かせない酢を適量に素早く扱うための道具です。

シャリを扱う際に手水に加えたり、巻きすや包丁に塗って食材のくっつきを防いだりするために使用します。

酢差しは、ガラスや陶器、プラスチック製のものが一般的で、細口の注ぎ口を持つタイプが多く、少量ずつ調整しやすいのが特徴です。

  魚焼き器は、寿司ネタや焼き物を香ばしく仕上げるための調理器具です。

ガス式や炭火式、電気式などがあり、特に炭火焼きは遠赤外線効果でふっくらとした食感と香ばしい風味を引き出します。

魚焼き器は、穴子や鰻、炙り寿司のネタなどに使用され、表面をパリッと焼き上げることで食感を向上させます。

魚焼き器は、適切な火加減と焼き時間の調整が重要です。

  | 扱う魚に合った火加減と焼き時間で、魚のよさを最大限に引き出しましょう。

寿司職人が使う道具を選ぶときのポイント【5つ】

寿司職人になったばかりの人の中には、どのような道具が自分に合っているかわからないという方も少なくないでしょう。

そこで、ここからは寿司職人が使う道具を選ぶときのポイントを5つ紹介します。

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  | 道具を選ぶときは、品質や素材に注目しましょう。

品質・素材がいいものを選ぶことで、クオリティの高い寿司を提供できるようになります。

一例として、鋼材が良質な包丁は、切れ味が持続し、鮮魚の繊維を潰さず美しい切り口を実現できます。

また、まな板や飯台の素材が使用する食材や調理環境に合っていると、衛生管理がしやすく、寿司の風味を保てるでしょう。

  | 道具を選ぶときは、使いやすさに注目しましょう。

使いやすい道具を選ぶことで、作業の効率と精度を向上させられます。

一例として、手に馴染む包丁を使うと、細かい技術を発揮しやすく、スムーズに握り寿司をつくれるでしょう。

また、適切なサイズや重さのまな板や飯台を選ぶことで、負担を減らし、長時間の作業でも疲れにくくなります。

寿司の品質を一定に保ち、職人の技術を最大限に引き出すためにも使いやすい道具を選びましょう。

  | 道具を選ぶときは、機能性に注目しましょう。

機能性の高い道具を選ぶことで、作業の精度と効率を高め、安定した品質の寿司を提供できます。

一例として、用途に合った刃の形状や材質の包丁を利用すると魚を美しく切り分けられ、シャリの崩れを防げます。

また、温度管理機能のある飯台や、適切な水切りができるしゃもじなどを利用すると、シャリの状態を最適に保てるでしょう。

機能性の高い道具で、完成度の高い寿司を提供できるようになりましょう。

  | 道具を選ぶときは、耐久性に注目しましょう。

耐久性の高い道具を選ぶと、長期間にわたり安定した品質の寿司を提供し続けられます。

一例として、高品質な鋼でできた包丁を使用すると、頻繁に研ぎ直さなくても切れ味を維持できます。

また、耐久性の高い木製の飯台やまな板は、反りや劣化を防ぐため、衛生的に使用できるでしょう。

耐久性の高い道具を選び、職人の技術を最大限に活かしましょう。

  | 道具を選ぶときは、価格に注目しましょう。

高価な道具は、品質や耐久性が優れています。

しかし、すべての要素がハイクオリティでなければならないわけではありません。

一方で、安価すぎる道具は寿命が短く、頻繁な買い替えが必要になる場合もあります。

適正な価格帯の中で、機能性や耐久性を見極め、コストパフォーマンスの高い道具を選びましょう。

寿司職人の服装【5つ】

寿司職人は、道具だけでなく身なりも整える必要があります。

ここからは、寿司職人が身につけるアイテムを5つ紹介します。

  調理白衣は、清潔感を保ちつつ動きやすさを重視した制服です。

白を基調としたデザインが一般的です。

長袖や半袖のタイプがあり、袖口がゴム仕様のものもあります。

 調理白衣は、耐久性や制菌加工が施された素材が使われることが多く、食品の衛生管理にも適しています。

また、通気性の良い生地を選ぶことで、長時間の作業でも快適に過ごせます。

  和帽子は、衛生管理と清潔感を保つために身につける白い布製の帽子です。

 頭髪が料理に落ちるのを防ぎ、見た目にも清潔な印象を与えます。

和帽子には紙製や布製があり、使い捨てタイプや洗濯可能なものなど、用途に応じた種類があります。

また、通気性がよく、長時間の作業でも快適に着用できるでしょう。

  前掛けは、衣服を汚れから守るために着用する布のことです。

 腰から下を覆う形状で、作業中に食材や調味料が服につくのを防ぎます。

防水加工が施されたものやポケット付きのデザインが多く、機能性が高いのも特徴のひとつです。

また、耐久性のある素材でつくられており、長時間の使用にも耐えられます。

  作務衣は、動きやすさと快適さを重視した和装スタイルの衣服です。

カジュアルな寿司店や和食店でよく使用され、上着とズボンがセットになっています。

 また、素材は通気性がよく、作業時に身体を自由に動かしやすいデザインです。

作務衣は、色や素材が多様で、店舗の雰囲気や職人の個性に合わせて選ばれます。

  足袋（たび）は、和装に合わせて履く伝統的な履物です。

 足元を清潔に保つだけでなく、滑りにくく安定感があるため、作業中の安全をサポートしてくれます。

現代では、ゴム底の足袋や靴下タイプの足袋が一般的で、履きやすさや快適さが魅力的です。

寿司職人の道具を手に入れる方法【6つ】

一般的に、寿司職人が使う道具は、各店舗で用意されます。

しかし、店舗によっては、自分で道具を用意しなければなりません。

独立・開業する場合も同様です。

ここからは、寿司職人の道具を手に入れる方法を6つ紹介します。

寿司職人の道具を扱っている専門店は、全国各地に存在しています。

 専門店では、職人向けの高品質な包丁や飯台、しゃもじなどが揃っており、実際に手に取って使い心地を確認できます。

また、店員が専門知識を持っているため、用途に合った道具の選び方や手入れ方法のアドバイスを受けられるでしょう。

高品質な道具を求める職人や、実際に手に取って使い心地を確かめたい方は、専門店を利用してみてください。

料理道具の卸売市場で道具を手に入れることは、有効な入手方法のひとつです。

 料理道具の卸売市場では、プロ向けの包丁や飯台、まな板などが豊富に揃っています。

また、専門店よりも安価で購入できるのも魅力的です。

さらに、複数の店舗を比較しながら、自分に最適な道具を選べます。

料理道具の卸売市場は、職人同士の交流の場にもなっており、道具の選び方や使い方の情報を得られるでしょう。

コストを抑えつつ寿司職人向けの道具を揃えたい方や、さまざまな選択肢を比較したい方は、料理道具の卸売市場を利用してみてください。

業務用厨房機器店で道具を手に入れることも、有効な入手方法のひとつです。

 業務用厨房機器店は、寿司ケースなどの大型機器まで幅広く取り扱っています。

また、店舗によっては業務用特価で購入できることもあります。

さらに、実際に手に取って選べるだけでなく、専門スタッフのアドバイスを受けられることも魅力的です。

大量調理に適した道具を安価で手に入れたい方は、業務用厨房機器店を利用してみてください。

自宅や店舗の近くに寿司職人向けの道具を扱っている店舗がない寿司職人は、通販サイトを利用することがあります。

 通販サイトを利用すると、専門店に行く時間がない場合でも購入できるだけでなく、さまざまな商品を比較し、レビューを参考にしながら選べます。

なお、実物を確認できないため、信頼できるショップやブランドを選びましょう。

修行中や寿司職人になったばかりのときは、職人仲間や師匠から道具を譲り受ける寿司職人も少なくありません。

寿司職人が道具を職人仲間や師匠から譲り受けることには、伝統や技術の継承という意味があります。

 使い込まれた道具は、職人の手に馴染んでおり、実際の作業において高い精度を発揮します。

さらに、道具には過去の経験や知恵が込められており、その価値を実感しながら使い続けられるでしょう。

寿司職人の修行について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

自分の手にぴったり合った道具がほしい方には、オーダーメイドがおすすめです。

 包丁や飯台、まな板などを職人の要望に合わせて作成してもらうことで、使いやすさや作業効率が向上します。

とくに、包丁は、握りや切れ味にこだわり、長時間の使用に耐えられるように設計されたものを手に入れることで、長期的に高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

なお、オーダーメイドは、既製品を購入するよりもコストが高いため、経済状況を踏まえて検討してください。