【保存版】一流寿司職人のための包丁ブランド完全ガイド

一流の寿司職人にとって包丁は、技と心を映す相棒であり、命とも言える存在です。

知識やスキルに磨きをかけることも重要ですが、寿司職人としてレベルアップするためには、包丁選びも重要視されます。

本記事では、包丁の選び方や一流寿司職人が愛用する包丁ブランドなどを紹介します。

寿司職人にとって包丁が重要とされる理由【3つ】

寿司職人にとって包丁は、命ともいえる大切な存在です。

ここからは、寿司職人にとって包丁が重要視されている理由を3つ紹介します。

食材の旨味や鮮度は、美味しい寿司を提供するために欠かせません。

  寿司職人にとって包丁は、食材の旨味と鮮度を最大限に引き出す重要な道具です。

一例として、鋭い切れ味の包丁を使うことで、魚の細胞を壊さず、美しい断面と滑らかな食感を保てます。

また、酸化や水分の流出を防ぐことで、ネタ本来の味わいを引き立てられます。

いい食材を見分ける目利き力を磨くことも重要ですが、自分に合った包丁を使うことで、食材のよさをより一層引き出せるようになるでしょう。

  寿司職人にとって包丁は、見た目の美しさと食感を高めるために極めて重要な道具です。

一例として、正確な包丁さばきにより、ネタの形や厚みが均一になり、視覚的な美しさが際立ちます。

また、繊細に切ることで食感も滑らかになり、口当たりが向上します。

日本では「目で楽しむ食文化」が古くから発達しており、懐石料理や和菓子など、季節感や色彩、器との調和が大切にされてきました。

自分にあった包丁により、見栄えをよくすることで、美味しさだけでなく視覚からの情報による食欲や満足度の向上も期待できます。

  寿司職人にとって包丁は、技術だけでなく職人としての精神性を養う象徴的な存在です。

一例として、日々の手入れや研ぎを通して、道具への敬意と責任感が育まれます。

また、包丁の状態は職人の心を映す鏡とも言われています。

包丁を丁寧に扱う姿勢は、仕事全体の質にもつながり、真摯な職人道を築く土台になるでしょう。

養った精神性を活かしながら寿司職人として一人前になりたい方は、こちらの記事をご覧ください。

寿司包丁の種類【6選】

寿司職人は、調理方法や扱う食材によって包丁を使い分けています。

ここからは、代表的な寿司包丁を6つ紹介します。

  柳刃包丁は、刺身用に使われる細長い片刃の寿司包丁です。

 ネタを一太刀で引き切ることで、断面を美しく仕上げられます。

とくに、寿司のようにシンプルな見た目の料理は、見た目が味に及ぼす影響が強くなります。

繊細な魚の筋繊維を潰すと、色艶が失われたり、食感が悪くなったりするでしょう。

柳刃包丁で魚の身を潰さず、滑らかな食感と見た目の美しさを保つことで、ふわっとなめらかな舌触りの寿司を握れます。

  出刃包丁は、魚をさばく際に使われる厚みと重みのある片刃の寿司包丁です。

 刃先は鋭く、刃元は頑丈なため、切る部位に応じて使い分けられます。

骨付きの魚を捌くためには、包丁の強度が高くなければなりません。

とくに、頭を落としたり三枚おろしにする作業では、部位に応じて最適な方法で切れる出刃包丁が重宝されています。

  薄刃包丁は、野菜の皮むきや飾り切り、かつらむきなどに使われる片刃の寿司包丁です。

 刃が薄く真っ直ぐな形状で、繊細な作業に適しています。

  関西の薄刃包丁は片刃で、刃先が直線的な「鎌形」なのに対し、関東では「片刃」の「薄刃」より「両刃」の「菜切包丁」が多用されています。

薄刃包丁により、魚だけでなく野菜も美しく整えることで、寿司全体の見た目やバランスを高められるでしょう。

  蛸引包丁は、刺身を美しく切るために使われる細長い片刃包丁です。

関東を中心に使われています。

柳刃包丁に似ていますが、以下のような点で異なります。

	蛸引包丁	柳刃包丁
主な使用地域	関東	関西
刃の形状	刃先が直線的で角張っている	刃先が緩やかにカーブしている
刃の長さ	比較的長め	長め（種類により異なる）
主な用途	刺身の引き切り（特に蛸などの軟体動物）	刺身の引き切り全般
特徴	繊維を潰さず、細かく薄く切れる	滑らかな切断面を作りやすい
見た目の印象	直線的でシャープな印象	柔らかく流れるような印象
包丁の重さ	やや軽め	種類によるがやや重めもある

 蛸引包丁は、切り口を美しく保ち、繊細な見た目と食感を追求する場面で重宝されます。

  ふぐ引包丁は、ふぐ刺しなどを極薄に切るために使用される非常に薄くて長い片刃の寿司包丁です。

柳刃包丁に似ていますが、以下のような点で異なります。

項目	ふぐ引包丁（ふぐびき）	柳刃包丁（やなぎば）
主な使用用途	ふぐ刺（てっさ）の極薄切り専用	刺身全般の引き切り用
刃の形状	非常に細く、薄く、直線的	細長く、刃先が緩やかにカーブ
刃の厚み	極めて薄い	薄いが、ふぐ引よりは厚め
刃のしなり	よくしなる（薄い分たわみやすい）	ある程度しなるが、ふぐ引ほどではない
切れ味	超薄切りに適し、素材を潰さない	滑らかな切れ味で汎用性が高い
主な素材	主にふぐ（高級魚）	魚全般（マグロ・鯛・イカなど）
使用地域	主に関西や高級料亭	全国的に使用される
包丁の長さ	長め（30cm前後）	長め（24〜33cmほど）

 ふぐ引包丁により、美しい盛り付けと独特の食感を演出することで、ふぐの魅力を最大限に引き出せます。

  鱧切包丁は、鱧をさばくために特化した寿司包丁です。

鮎やサンマ、ウナギなどを裁くときにも使われます。

 鱧切包丁は、刃が長く、先が細くなっているため、鱧の細かい小骨をスムーズに取り除けるでしょう。

また、骨を正確に切るために、頑丈で強固な設計になっています。

寿司包丁の選び方【4つ】

寿司包丁は、専門店やオーダーメイドだけでなく、業務量販店や通販などさまざまなルートで入手できます。

たくさんの寿司包丁を比較していると、どの包丁が自分に合っているかわからなくなる人も出てくるでしょう。

そこで、ここからは寿司包丁の選ぶときに着目してほしいポイントを4つ紹介します。

  | 寿司包丁を選ぶときは、価格をチェックしましょう。

寿司包丁は、素材や製法、ブランド、サイズなどによって価格が異なります。

価格帯別の寿司包丁の特徴は、以下のとおりです。

価格帯	特徴
～5,000円	初心者向け。ステンレス製が主流で、手入れが簡単。耐久性や切れ味はやや劣る。
5,000～15,000円	中級者向け。炭素鋼やダマスカス鋼など多様な素材が選べ、切れ味と耐久性のバランスがいい。
15,000～30,000円	上級者向け。職人による手仕上げや高級素材を使用し、切れ味や美しさに優れる。
30,000円以上	プロフェッショナル向け。名工の手による逸品で、最高級の切れ味と美観を持つ。

寿司職人になるためには、包丁以外にも揃えなければならないものがあります。

高価な寿司包丁を購入すると、他の道具が買えなくなる恐れがあります。

寿司包丁を入手するときは、予算と用途に合わせて選びましょう。

  | 寿司包丁を選ぶときは、素材に注目しましょう。

寿司包丁に使われる主な素材は、以下のとおりです。

寿司包丁の素材は、切れ味や耐久性、メンテナンス性などに大きく影響します。

寿司包丁の素材は、使用頻度や技量に合わせて選びましょう。

  | 寿司包丁を選ぶときは、形状や長さをチェックしましょう。

寿司包丁の形状や長さの目安は、以下のとおりです。

使用者	長さの目安
初心者〜家庭用	約240〜270mm
経験者・プロ	約270〜330mm
特殊用途（ふぐ・鱧など）	300mm以上

寿司包丁は、切る食材や用途に合わせて選びましょう。

また、扱いやすさや作業スペースに応じて寿司包丁の形状や長さを調整してください。

  | 寿司包丁を選ぶときは、柄の素材や形状に着目しましょう。

寿司包丁の柄の素材や形状には、以下の用のものがあります。

寿司包丁の握りやすさは柄の形状・太さ・重心バランスで決まります。

手の大きさに合っており、長時間使っても疲れにくい寿司包丁を選びましょう。

寿司包丁のメンテナンスしやすさは素材や構造によって異なります。

一例として、炭素鋼は研ぎやすく切れ味に優れますが、錆びやすいため手入れが必要です。

また、ステンレス鋼や粉末ハイス鋼は錆びにくく、初心者でも扱いやすい反面、研ぎにくい場合があります。

  | 使いやすさだけでなく、長期的に利用することも考慮して包丁を選びましょう。

一流寿司職人が愛用する包丁ブランド【10選】

近年は、さまざまな包丁ブランドが寿司包丁を提供しています。

ここからは、数多ある包丁ブランドから一流の寿司職人を目指す方におすすめしたい包丁ブランドを10個紹介します。

  藤次郎は、新潟県燕三条を拠点とする日本の包丁ブランドです。

伝統的な鍛造技術と最新の製造技術を融合させた高品質な包丁を提供しています。

とくに、切れ味とコストパフォーマンスに優れた製品が多い傾向があります。

家庭用からプロ仕様まで幅広いラインナップの包丁を提供しているため、国内外の料理人から高い評価を得ている包丁ブランドです。

  正本は、1845年創業の老舗包丁ブランドです。

初代・松沢巳之助氏の志を受け継ぎ、六代にわたり職人技を磨き続けています。

和包丁の最高峰として知られている包丁ブランドで、とくに寿司職人や和食の料理人から高い評価を受けています。

切れ味、耐久性、バランスに優れた正本包丁は、プロの現場で信頼される逸品です。

  堺孝行は、大阪府堺市に拠点を置く青木刃物製作所が展開する包丁ブランドです。

600年以上の伝統を受け継ぐ堺打刃物の技術をもとに、熟練の職人たちが一本一本丁寧に仕上げています。

和包丁から洋包丁まで幅広いラインナップを揃えており、プロの料理人から家庭の料理愛好家まで、世界中で高い評価を得ています。

とくに、グランドシェフシリーズは、ボーラーウッデホルム特殊鋼を使用し、切れ味と耐久性に優れた最高峰の洋包丁として知られている逸品です。

  貞宗は、日本の伝統的な刃物製造技術を受け継ぐ包丁ブランドです。

とくに、寿司包丁などの和包丁において高い評価を受けています。

貞宗は、熟練の職人が一本一本丁寧に仕上げることで、鋭い切れ味と美しい仕上がりを実現しています。

その品質の高さから、プロの料理人から家庭の料理愛好家まで幅広く支持されている逸品です。

  志津匠は、岐阜県関市に本拠を置く志津刃物製作所が展開する包丁ブランドです。

寿司職人や和食のプロから高い評価を受けています。

志津匠の包丁は、伝統的な鍛造技術と現代の素材を融合させ、鋭い切れ味と耐久性を兼ね備えていることが魅力のひとつです。

とくに、柳刃包丁や出刃包丁など、寿司や刺身の調理に適した製品が豊富に揃っており、職人の手によって一本一本丁寧に仕上げられています。

また、手に馴染むバランスの良さや美しい仕上がりも特徴で、長時間の使用でも疲れにくい設計となっています。

その品質の高さから、プロの現場だけでなく、料理愛好家にも支持されている逸品です。

  有次は、1560年に刀鍛冶である藤原有次が創業した老舗包丁ブランドです。

京都と東京・築地に店舗を構えている有次では、400年以上にわたり受け継がれてきた鍛造技術と職人の手仕事により、すべての包丁を手作りで仕上げています。

包丁の切れ味と美しさは、国内外のプロ料理人から高く評価されており、和包丁から洋包丁まで多彩なラインナップを展開しています。

また、店舗内の工房では、購入時に職人がその場で包丁を研ぐサービスも提供しているため、寿司包丁のメンテナンスに慣れていない寿司職人にもおすすめです。

  郷右馬允義弘は、堺市の老舗・山脇刃物製作所が展開する高級包丁ブランドです。

とくに、寿司職人や和食のプロに支持されています。

郷右馬允義弘の包丁は、伝統的な鍛造技術と現代素材を融合させ、鋭い切れ味と美しい仕上げが特徴です。

柳刃包丁や出刃包丁など、寿司調理に適した製品が豊富に揃っています。

  関孫六は、日本の刃物の名産地・岐阜県関市で生まれた、包丁ブランドです。

貝印株式会社が展開しています。

戦国時代の名刀工・関孫六の名を受け継ぎ、高い切れ味と使いやすさを両立しています。

伝統技術と現代の製造技術を融合しており、家庭用からプロ向けまで幅広いラインナップを揃えている人気と信頼の高い包丁ブランドです。

  鍛冶工房いわいは、福井県越前市に拠点を置く包丁ブランドです。

700年以上の歴史を持つ「越前打刃物」の伝統技術を継承しています。

匠の技で一本ずつ丹念に仕上げられた包丁は、切れ味が鋭く見た目も美しいと絶賛されています。

鍛冶工房いわいは、和包丁から洋包丁まで幅広いラインナップを展開し、プロの料理人から家庭の料理愛好家まで、国内外で高い評価を受けている包丁ブランドです。

また、伝統技術を活かしつつ、現代のニーズに合わせたデザインや機能性も追求しており、使いやすさと美しさを兼ね備えた製品づくりに取り組んでいます。

  龍泉刃物は、福井県越前市に本社を構える1948年創業の包丁ブランドです。

700年以上の歴史を持つ「越前打刃物」の伝統技術を継承しつつ、革新的な製品開発にも取り組んでいます。

職人の手仕事による美しい波紋模様「龍泉輪」や、天然木を使用したハンドルなど、機能性と美しさを兼ね備えた製品は、国内外の料理人から高い評価を受けています。

また、2013年から5年連続でグッドデザイン賞を受賞するなど、デザイン性の高さも広く認められている包丁ブランドです。

寿司包丁とセットで揃えるべき道具【6つ】

寿司職人には、寿司包丁以外にも揃えなければならない道具があります。

ここからは、寿司包丁とセットで揃えるべき道具を6つ紹介します。

今回紹介した道具以外で、寿司職人にどのような道具が必要か知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

  砥石は、包丁の切れ味を保つ道具です。

荒砥石・中砥石・仕上げ砥石の3種を状態に応じて使い分けます。

とくに、中砥石は日常のメンテナンスに適しています。

また、仕上げ砥石を使用することで、滑らかな切れ味を実現できるでしょう。

砥石を使って丁寧に包丁を研ぐことで、食材の味と美しさを高められます。

 炭素鋼の包丁は錆びやすいため、使用後は椿油などの専用オイルを塗布して錆を防ぎます。

また、寿司包丁を保管するときは、防錆紙や新聞紙で包むと、錆びの原因となる湿気を防げます。

このように、包丁用オイルや錆止め用品を併用することで、包丁の切れ味と美観を長期間保てるでしょう。

  包丁ケースや鞘は、刃を安全かつ衛生的に保管・運搬するために欠かせない道具です。

とくに、木製の鞘は通気性が良く、湿気を防いで錆の予防にも役立ちます。

また、布製や合皮の包丁ケースは、持ち運びに便利です。

包丁ケース・鞘は、複数本収納できるタイプもあり、出張や移動時にも重宝されます。

  まな板は包丁の切れ味を守り、食材の風味や衛生を保つ重要な道具です。

主に、木製や合成ゴム製が使われています。

とくに、檜やイチョウのまな板は刃当たりが柔らかく、包丁を傷めにくいとされています。

  刃の水分や汚れを素早く拭き取り、錆や菌の繁殖を防ぐために包丁拭き用の布やタオルは欠かせません。

とくに、綿や麻素材の吸水性が高い布が好まれています。

包丁の切れ味や衛生管理を保つためにも、専用の布を用意してください。

  包丁立てや収納スタンドは、包丁を安全かつ清潔に保管し、作業効率を高めるために欠かせません。

木製やステンレス製のスタンドが一般的で、刃に傷がつかないよう設計されています。

また、通気性や安定性にも配慮されており、刃の劣化や錆の防止にも役立ちます。